ODAとは? ODA評価

第3章 評価結果に対するベトナム側コメント

◆ 計画投資省対外経済関係局ホー・クアン・ミン副局長

 援助受入れの窓口として本セミナーが開催されたことに感謝していること、評価結果の報告が総合的で客観的であること、日本の援助は規模が大きく持続的で効果的であると認識していることを強調した。また、日本の援助が経済開発とインフラ開発に大きな貢献を果たし、間接的に国家財政の支援になってきたこと、農業、教育、人材育成、環境、保健医療それぞれの分野で日本の援助が成果を上げていることにも言及した。
 さらに日本の援助が、ベトナムに対する日本の投資を促進し、ベトナム企業の経営改善にも貢献してきたことも述べた。
 最後に今後の課題として、ディスバースメントが遅れていることと、援助手続の調和化に言及した。

◆ ベトナム電力公社(EVN)ラム・ズー・ソン副社長

 電力供給がベトナム経済の成長にとって不可欠であり、それに対して日本はトップ・ドナーとしてこれまで大きな貢献をしてきていることを強調した。また、日本の有償資金協力で建設されたフーミー火力発電所やファーライ火力発電所などは、電力供給能力の増大に貢献し、電力不足を克服する上で非常に役に立っていると述べた。しかし、その一方で案件の実施に至る手続き面に関しては見直しが必要であると指摘し、手続きにおいて必要となる書類量や手続きにかかる時間をできる限り減らすべきであると述べた。さらに、2010年までの新しいマスタープランにおいて、今後新たに40基の発電所建設を計画しており、そのためには毎年200億ドルの資金を必要とするとして、今後も引き続き日本のODAによる支援が必要であると強調した。

◆ 労働・傷病兵・社会問題省国際関係局チャン・フィー・トォック次長

 同省として、日本の援助、調査団報告、計画投資省のそれぞれに感謝していると述べた。また、第7次国家開発計画では、教育セクターに高い優先順位をつけており、そのうち既に日本の援助によっていくつかの優先事項が支援されていると述べた。また、工業化と近代化の過程においてベトナムは職業訓練の仕組みと職業訓練施設を早急に整備しなければならないこと、市場経済化に向けた人材育成が特に必要であること、法制度整備を進めねばならないこと、ストリート・チルドレンや身障者など社会的に不利な立場の人々に対する社会保障制度の改善を進めねばならないこと、そして、それらに対する日本からの援助が必要であることに言及した。また、日本の援助案件の迅速化が望まれると指摘した。

◆ 郵政通信省国際関係局クアン・ズイ・グアン・ハー次長

 全国レベルでの通信網整備に対する日本からの有償資金協力や、開発調査、さらには現在実施中のプロジェクト方式技術協力案件等について、それらがベトナムにおける通信分野の発展に寄与していることを強調した。また、光ファイバー・ケーブル網の整備に関して有償資金協力に向けた手続きが進められているほか、インターネットの普及のための案件が計画投資省に対して現在提案中であり、この案件についても日本のODAによる支援を求めたいと述べた。さらには、案件の実施をより一層容易に進められるようにするために、手続き面での調和化が重要であると指摘した。

◆ 教育訓練省国際関係局ブイ・コン・トー次長

 高い評価結果に感謝していること、日本とベトナムの間の協力は非常に高い効果が上がっていることを強調した。また、日本の援助によって100校余りの小学校が整備され、教室不足が緩和されたこと、高等教育と様々な分野の大学レベルの教育が支援されたこと、日本の援助によって多数の奨学金制度が運営されていることに言及した。また、案件の実施をより迅速かつ容易にするために手続き面での調和化が重要であるとの指摘もなされた。

◆ 農業農村開発省国際関係局ダオ・チ・ロック専門官

 調査団は妥当な評価をしたとして、農業に関する日本の援助額は決して多くはないが、たいへん効果的であると述べた。農業に関する援助が限られている背景として、借款案件が存在しない一方で日本の援助は開発調査の実施に集中していること、日本の援助計画にて農業が高い優先順位を獲得することに成功していないこと、(ベトナム側が掲げた)農業開発の戦略を実現化する方法を見つけることに成功していないことを挙げた。

 提言として、次の援助計画においては日本の援助がベトナムの農業に調和した形で提案されるべきこと、日本・ベトナム間の農業関係を整理することが重要と指摘の上、農業分野における経済協力を制限している要因について対話を行なうことを提案した。最後に、再度日本の援助に対する感謝を表明するとともに、農業分野にさらなる援助が実施されることを希望すると述べた。

 (なお、交通運輸、保健医療、環境に関しては、担当省庁の関係者が都合により出席できなかったため、残念ながらコメントを得ることができなかった。)
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