4-1.質疑応答
各省代表者からのコメントに続いて行われた質疑応答結果は以下のとおりである。
◆まず、交通・運輸省の出席者から質問が2つ出された。
評価結果のプレゼンテーションにおいて、インフラ関係の有償資金協力案件について実施面等での遅れが見られ、まだ完成していない案件が少なくなく、その原因はベトナム側、日本側双方にあるという指摘があったが、具体的には、主な原因としてどのようなものがあるのか。そして、援助の実施をよりスムーズにするためにはどのような改善を行う必要があるのか。
これに対して調査団から次の見解を述べた。
調査におけるベトナム政府関係者との面会において得られた情報等に基づいて判断すれば、まず案件の承認までにかなりの時間がかかっており、それは日本側が定めている手続きが複雑で時間を要するものとなっているのが主な原因と考えられる。その一方で案件の承認後、実際の実施にとりかかるまでにもまたかなりの時間がかかっており、これについてはベトナム政府内での調整や住民移転等の手続きに手間がかかっていることが主な原因であると考えられる。このようにベトナム側、日本側双方に起因する原因により案件の承認・実施が遅れる結果になっている。
ドナーである日本側の原因を改善する方法としては、今回のセミナーにおいても報告があったように、手続き面での調和化を進めることや、現地への権限委譲や体制強化等が考えられる。ベトナム側の原因についてはベトナム政府側が改善策を考えるべきであって、調査団側としては特に言えることはない。
◆次にピオ・アジア開発銀行(ADB)主任プログラム・オフィサーから次のコメントがあった。
援助戦略の策定や見直しに先だって評価を行うことは極めて重要であるし、定量評価を行なうことは効果的であると言える。また、ドナー間における相互補完性の必要性及びその認識は重要だし、セクターワイド・アプローチに参加することはますます重要になっている。
さらに同氏から、現地サイドへの権限委譲に関するADBの取り組みについての紹介があった。
これに対して調査団は、いずれの指摘にも賛成できるし、日本の援助はその方向で改善が進められているし、進められるべきとコメントした。
4-2.クロージング・スピーチ
クロージング・スピーチとして、ミン計画投資省対外経済関係局次長より、本件評価調査の結果及び提言は非常に前向きであると述べたほか、以下のコメントを述べた。最後に再度、調査団、援助国、出席者に謝意を表明した。
- 日本のODAは、ベトナムの持続的な開発のために効果を発揮しているとともに、環境保護にも貢献している。
- ベトナム側の今後の課題は、手続調和化、職員のマネジメント能力の向上、省庁間の調整促進、ODA事業におけるオーナーシップの向上、そして分権化であり、今後これらに取り組んでいく。
- 日本のODA事業に関する手続きについて、日本側、ベトナム側双方で改善していくことが必要である。