ODAとは?

G8開発大臣会合議長サマリー(仮訳)

1. 2010年4月27~28日,G8の開発協力担当大臣及び政府高官は,同年6月のG8ムスコカ・サミットに向けて,開発に関する諸課題の基盤を整えるためにハリファックスに集まった。マリ共和国の保健大臣,経済協力開発機構(OECD),国連及び国連機関並びに世界銀行の上級代表も会合に参加し,議論の質を高めることに貢献した。

2. 閣僚達は,経済危機と食料危機が途上国に影響を与え続けている時期に集まった。閣僚達は,開発援助の説明責任と効果の強化,途上国における母親,新生児,5歳未満の幼児の健康改善及び栄養の問題を含む食料安全保障の取組の加速という3つの鍵となるテーマに焦点を当てた。以下は,議長の理解による議論の要約を反映したものである。

国際援助の説明責任と効果

3. G8の閣僚達は,更なる援助の予測可能性と透明性の向上及び取引費用と援助の分散の削減を含め,既存の援助効果に関するコミットメントを達成するためには,一層決意を持った政治行動が必要であることで一致した。閣僚達は,国際援助の効果的利用のためには自国民に対する説明責任が重要であることを強調した。

4. 閣僚達は,期限どおりに約束を履行し,投入から持続的成果に焦点を移していくことがこれまで以上に重要であることを強調した。また,パートナー国が計画及び予算を策定しやすくなるよう,時宜を得た援助を増進していく約束を新たにした。閣僚達は,予測可能で,より透明性があり,より費用対効果の高い援助が達成可能であることを認識した。

5. 援助協調を改善するためにさらなる努力も成されるべきである。この点に関し,ハイチ復興は重要な試金石である。閣僚達は,パートナー国がそのオーナーシップ及び自国民への説明責任を強化するためには,援助を実施する際にその国のシステムを使う重要性を改めて表明した。G8各国は,多くのパートナー国が開発成果に向けて透明性と説明責任を強化する努力を支援していく。この開発成果には,立法による監視,市民社会の声の強化,効果的な制度,そして公的財産管理を含んでおり,これらは全て,効果的で説明責任のある開発の鍵となる。

6. 国際援助の効果を向上させるための次のステップについて,閣僚達は2010年12月の開発援助委員会ハイレベル会合の前に予測可能性に関連する進展と課題につき報告するようOECDに依頼した。また,閣僚達は,援助効果の根拠となる証拠を強化することを要請した。開発成果を測定することに伴う困難に留意しつつ,閣僚達はOECDが開発成果に関するその作業に優先順位をつけ,次回のG8開発大臣会合で本件につき報告することを要請した。閣僚達は,分野に焦点を当てることがこうした作業で有益であることに合意した。

7. 閣僚達はアカウンタビリティー上級作業部会での作業の重要性に留意した。

母子保健

8. 閣僚達は,健康な母親,健康な子供及び彼らの死亡率及び罹病率の低下がG8の最優先課題であることに合意した。閣僚達は,依然として毎年あまりに多くの母子が命を落としている事実に深い懸念を表明した。

9. G8サミットの母子保健でのイニシアティブの土台を築くため,過去のG8のコミットメントを基に,閣僚達は長期間持続する成果のための一連の中核となる原則に合意した。即ち,

  • 成果の持続可能性を確保し,
  • 立証され,費用対効果が高く,エビデンス・ベースの支援に立脚し,
  • 進展のある国を支援し続けると共に,ニーズが最も大きい国に焦点を当て,
  • 地域に支持された途上国主導の国家保健政策・計画を支援し,
  • 開発に係る取組の一貫性をより良い協調と調和を通して向上させ,
  • アカウンタビリティーを向上させ,そして
  • モニタリング,報告,評価を強化する。

10. 閣僚達は,保健分野における進展は,新たなメカニズムや,基金,仕組みを必要としないことに合意した。むしろ,現行のメカニズムや仕組みが,共通の目標や,特に被援助国の国家計画や制度を支援するといった援助効果向上に関する原則と合致していることが必要である。

11. 対象範囲に関し,閣僚達は,母子保健の改善には以下の要素を含む国内のコミュニティレベルにおける包括的で効果の高い,以下の要素を含む対策が,継続ケア(妊娠前から,出産,5歳未満児まで)を通じて必要であることに合意した。

  • 産前ケア
  • 産後ケア
  • 避妊を含む家族計画
  • リプロダクティブ・ヘルス
  • 疾病の治療と予防
  • HIVの母子感染予防
  • 予防接種
  • 栄養

12. 閣僚達は,安全な飲料水と衛生へのアクセスやジェンダー平等など女性と子供の健康改善に寄与しうる他の要因に対する行動が必要であることを強調した。

13. こうした取組を効果的に行うために,閣僚達は,現場レベルで統合され,かつ包括的なサービスを提供するべく保健システムを強化する必要があることに合意した。これは,プライマリー・ケアへのアクセス,設備が整い資金のある施設,訓練を受け,専門性の高い保健医療従事者,強固な保健情報システムを含む。

14. 閣僚達は,マリの保健大臣と共に,現行の取組を認識し,コミュニティレベルにおいて統合された基礎保健サービスを利用可能にするため,効果的な保健システムの構築に直接取り組んでいるパートナー国を評価した。このイニシアティブの一環として,閣僚達は,熟練した保健医療従事者を含む十分に設備が整い資金のある保健システムを通じて,現場におけるアクセス向上に対するパートナー国の取組を支援することを約束した。

15. 命を救うための数多くの取組がすでに行われていることを認識し,改善された説明責任とより良い成果・影響の計測手法を望みつつ,閣僚達は,以下の行動を起こした。

  • 世界保健機構(WHO),国連児童基金(UNICEF),国連人口基金(UNFPA),国連世界食糧計画(WFP)及び世界銀行に対し,国際社会共通の具体的な目標と関連の指標を策定し,各国特有のニーズに基づき,それに適合させていくことができる,最も効果的で手の届く価格の総合的対策を決定するための共通の方法論を策定し,これらのアセスメントのための国内の能力を構築することを要請し,
  • WHOに対し,保健医療従事者の訓練及び効果的な活用と供給に係るガイドラインを仕上げるよう要請し,
  • WHO及び他の国連機関に対し,妊娠,出産,死亡に関するデータ収集を改善するために21世紀のテクノロジーを活用することを含め,途上国の保健情報及びマネージメントのシステムを強化するため,途上国と共に取り組むことを依頼し,
  • WHO及び他の国連機関に対し,各地域及び国における進捗状況を測定するための一連の簡潔な成果指標を選択することへの支援を依頼し,また
  • OECDに対し,母子保健に関わる資金の追跡を向上させるべく,ドナーと共に取り組むことを求めた。

食料安全保障

16. 閣僚達は,2009年のG8首脳会合において,開発パートナーが,持続可能な農業開発支援のため3年間で200億ドルを動員すると表明したことを想起し,包括的な途上国主導のイニシアティブへの支援の再確認を含め,ラクイラでのコミットメントを実施する努力を加速化させることに合意した。

17. さらに閣僚達は,ラクイラ・コミットメントに関する進捗報告を受け取った。閣僚達は,途上国主導の実施や,開発パートナー間の援助の調和化に対しより焦点を当て、成果を評価するための合意された枠組みを構築する必要性を強調した。閣僚達は,ラクイラ食料安全保障イニシアティブの国毎の実施状況に焦点を当てたドナー会合を2010年後半に招集するというカナダの提案を歓迎した。また,閣僚達は,責任ある土地の利用及び持続可能な農業投資を促進する原則やグッド・プラクティスを具体化する作業の進展を歓迎した。

18. 母親,新生児及び子供の健康並びに他の広範な開発プログラムにおける栄養の重要性に鑑み,閣僚達は,栄養のニーズを開発の取組に含めていくことの重要性を強調した。閣僚達は,栄養に対する投資がMDGsの進展を遂げるために触媒的な影響を持ちうることを認識した。この取組を支援するため,閣僚達は,国連事務総長が議長を務める世界食料安全保障危機に関する国連ハイレベル・タスクフォースに対し,この分野における成果をモニタリングするための一連の共通の指標と,栄養状態を改善するための運用指針を明らかにするよう依頼した。

19. 閣僚達は,包括的で専門的根拠に基づいた食料安全保障,農業及び栄養に係る計画の策定及び実施に対する途上国パートナーの取組への重要な進展があったことを認め,継続して支持することを確認した。閣僚達は,国の食料安全保障,農業及び栄養計画を実施するために今行動しなければならないことを支持した。研究の重要性が強調され,国際農業研究協議グループ(CGIAR)の最近の改革を歓迎した。

20. 閣僚達は,弱者への適切かつ効果的な食糧援助の供与に焦点を当てた21世紀の「食糧援助規約(FAC)」の価値を信じている。閣僚達は更に取組を進めることで合意した。

ミレニアム開発目標(MDGs)

21. 閣僚達は,かなりの改善がなされたとは言え,MDGsのいくつかの目標の進捗状況は世界,地域,国レベルで異なることを認識した。進捗が最も遅い目標と地域には特別の注意が必要である。全ての関係者 -政府,市民社会組織,民間基金,民間セクター及び国際機関- の役割が,この地球規模の取組の加速化には重要である。この点に関して,閣僚達は国内資金の動員と開発の新しいアクターとの対話が重要であることに留意した。

22. 閣僚達は,2010年9月のMDGsに関する国連首脳会合が,国際社会にとって進捗状況を把握し,ギャップを特定し,目標達成に向けて努力を加速化し,そして何よりも,成果が長期にわたって持続することを確保するための機会となることに合意した。特に国レベルでの,明確なアセスメントのための基礎的取組の重要性が進捗を加速化させる鍵となる。これを受け,閣僚達はUNDP主導で現在行われている国際的アセスメントに対する強い支持を表明した。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る