ODAとは?

G8開発大臣会合(概要)

平成22年4月

 4月26日から28日,カナダ・ハリファックスにおいてG8開発大臣会合が開催されたところ概要以下のとおり(議長:オダ・カナダ国際協力大臣,我が方代表別所総政局長,独,ECからは開発担当閣僚が出席。)。なお,28日の議長国記者会見の際に議長サマリー(PDF) 他のサイトヘ (仮訳)が公表されました。

1. ミレニアム開発目標(MDGs)

 2015年までのMDGs達成は可能であるという希望を維持しつつ,そのために最大限の努力をすべきことが改めて確認されました。また,本年9月の国連MDGsサミットに向け,G8は引き続き協調して取り組んでいくべきであるが,あまり期待値を高めるべきではなく,資金の問題も含めて,これまでの成果や未達成部分をきちんと評価した上で,今後何に取り組むべきかを明らかにすることが重要との意見が大勢を占めました。また,MDGs達成については迅速に成果を出すことを重視すべきとする意見が表明される一方で,中長期的な視点から,持続可能な成果を出すことに重点を置くべきとする意見も出されました。また,世銀をはじめ多くの参加者より経済成長の重要性が指摘されました。

2. 母子保健

 MDGsの中でも乳幼児・妊産婦の死亡率削減が特に遅れており,母子保健に取り組むことの重要性が確認されました。また,保健システムの強化と保健サービスへのアクセスの確保が重要であることについても意見の一致が見られました。新たな支援スキームやメカニズムの立ち上げについては否定的な意見も見られたが,いずれにしても首脳レベルにあげて更に議論する必要がある旨議長は述べました。また,様々な援助プログラムが乱立している現状への懸念が表明され,被援助国に計画を作らせ,それを支援する方向でプログラムを整理すべきとの意見が出されました。
複数の国より,納税者の支持を得るためには,例えば支援により救われた妊産婦,幼児の人数等のよりわかりやすい指標が重要との指摘がありました。また,母子保健の一環として家族計画に取り組むことの重要性を指摘する国もありました。新興ドナー,企業のCSR活動,NGO等を上手く巻き込んでいくことが重要性を指摘する国もありました。
基礎データの整備,成果を計る指標を確立することの重要性については意見の一致が見られ,それぞれ国連機関及びWHOに作業を依頼することとなりました。WHOは,開発成果の計測方法が確立していないことを認めつつ,例えば,携帯電話,データ通信端末等21世紀型の技術を使って出生数等の統計を計測する方法を確立すべき旨述べました。

3. 説明責任と援助効果

 ミレニアム開発目標達成のためにも,パリ宣言,アクラ行動計画に基づき,援助のコストパフォーマンスを最大化させることが重要であり,そのためには説明責任と援助効果に関する取り組みを更に進めていくことが鍵であることについて一致しました。援助の予測可能性,開発成果,また開発成果について納税者にわかりやすい説明を行うこと,ドナー間及びドナーと被援助国との間の調整,被援助国の説明責任の重要性等についても意見の一致を見ました。説明責任や援助効果に関する作業を更に進めるようにOECDに要請がなされました。開発資金については,ODAとともに各種の民間資金,革新的資金メカニズムの重要性が指摘されました。
我が方より,TICAD4年次報告書概要を議場で配布し,我が国の対アフリカ支援及び人間の安全保障の考え方を紹介しつつ,高い透明性をもって説明責任と援助効果に取り組んでいることを説明しました。また,新興ドナーを関与させていくことの重要性を指摘し,各国の賛同を得ました。
また,援助において多種多様なプレイヤーが活動する中で,様々な援助がばらばらに行われている(fragmentation)が問題視され,一層の援助協調が必要との意見が多く出されました。この関連で,ハイチの復興支援をモデルケースとすべきとの指摘もありました。

4. 食料安全保障

 G8の食料危機への対応は更に進めていくべき成功事例であり,2008年洞爺湖サミット,2009年ラクイラ・サミットにおける日,伊両国のリーダーシップに高い評価が表明されました。また,ラクイラ・サミットにおける食料支援コミットメント等を引き続き着実に実施していくことで意見の一致を見ました。また,我が国が主導する責任ある農業投資に関する行動原則の策定作業が進展していることに歓迎の意が表明されました。

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