グローカル外交ネット

令和8年10月1日

在アメリカ合衆国日本国大使館 広報文化担当公使 大平 真嗣

1 日米をつなぐ474組:互いに最大の姉妹都市パートナー

 現在、日米間には474組もの姉妹都市関係が存在しており、お互いに世界で最大の姉妹都市提携を有する国です。これらの重層的な草の根のネットワークは、緊密な日米関係を支える極めて強固な基盤となっています。
 日米の姉妹都市交流の歴史は、1955年に締結された長崎市とミネソタ州セントポール市との間の姉妹都市提携に遡ります。また、翌1956年には、ドワイト・アイゼンハワー米大統領のイニシアティブにより、第二次大戦の惨禍を踏まえ、政府間のみならず市民同士の相互理解こそが恒久平和の基礎となるという理念の下、全米各都市の姉妹都市関係を統括する全米姉妹都市協会(Sister Cities International)(英語)別ウィンドウで開くが創立されました。
 全米姉妹都市協会創立から70周年という節目の年を迎えた今日、日米間の草の根の交流は、長年にわたる一つ一つの姉妹都市関係の積み重ねによって、両国をつなぐ大きなネットワークへと発展しています。今後は、こうした長年の友好と信頼を基盤に、地域が抱える課題についてもお互いに学び、協力する関係に発展させるなど、姉妹都市関係をさらに進化させていくことが重要です。昨年9月に大阪府泉佐野市で開催された初めての日米姉妹都市サミット(英語)別ウィンドウで開くは、そのための新たな一歩になりました。これまでのネットワークの力を活用して、各地で交流を担ってきた自治体や市民が一堂に会し、地域や世代を越えてつながり、互いの取組から学ぶ機会となりました。

1956年のセントルイス地元紙の紙面。当時の長崎市長がセントルイス市を訪問している様子(全米姉妹都市協会提供)。

2 70周年を新たな協力の出会いへ:大使公邸から広げる「横のつながり」

 こうした個々の姉妹都市関係の枠を越えた「横のつながり」を更に広げるために、当館は、全米姉妹都市協会創立70周年の機会を捉え、2026年7月23日にワシントンD.C.の大使公邸において記念レセプションを開催しました。10年前の60周年記念に続く開催であり、全米及び世界各地の姉妹都市協会代表、自治体関係者、米国務省関係者、日米草の根交流団体等200名を超える方々が一堂に会しました。
 レセプションの挨拶で山田大使は、日米の草の根の人的交流によって醸成された相互信頼こそが、今日の政府間関係を支える基盤であり、その最たる例である姉妹都市関係を、地方の枠を越えて多層的なネットワークにしていくことの重要性を強調しました。会場内には、自治体国際化協会(CLAIR)別ウィンドウで開く、JETプログラム別ウィンドウで開く、2027年国際園芸博覧会別ウィンドウで開く、全米日米協会連合会(NAJAS)(英語)別ウィンドウで開く、ワシントンDC日米協会(英語)別ウィンドウで開くの特設ブースを設置し、世界中から集まった参加者が日本食や日本酒を楽しみながら、新たなつながりを築き、今後の交流や協力の可能性を広げる機会となりました。

2026年7月23日の全米姉妹都市協会創立70周年記念レセプションにて山田駐米大使とカピュア理事長が懇談する様子。

3 日米姉妹都市交流の新たな可能性と変わらない原点

 日米姉妹都市交流は、伝統的には、文化紹介や代表団の相互訪問といった親善・友好が主たる目的でした。しかし近年は、それぞれの地域が抱える課題や目標を共有し、共に解決策を探るパートナーシップへと発展する事例も生まれています。例えば、東日本大震災からの復興を進める福島県浪江町と、クリーンエネルギーを軸とした街づくりを進めるカリフォルニア州ランカスター市別ウィンドウで開くは、水素を共通のテーマとして協力関係を築き、「スマート姉妹都市」として連携を深めています。こうした取組は、日米の姉妹都市交流が従来の親善・友好の枠を越え、新たな産業の創出や地域の活性化にもつながる可能性を示しています。
 一方、交流の形が時代と共に変化しても、姉妹都市関係を支える原点は変わりません。日米姉妹都市交流は、その歴史を振り返ると、個人の優しさや共感といった「ヒューマン・ストーリー(人と人の物語)」から生まれています。例えば、岩手の陸前高田市とカリフォルニア州クレセントシティ市デルノルテ郡の姉妹都市交流の始まりは、東日本大震災の津波で太平洋を渡ってカリフォルニアに漂着した高田高校の実習船「かもめ」でした。現地の保安官が船体に書かれた日本語を発見してから、多くの偶然と人々の善意を介して、無事にこの船が高田高校に返還され、その恩返しとして高校生交流が始まったという経緯は、そこに関わった一人一人の人間がいて、その一人一人の思いやりが連鎖することによって初めて実現した物語です。この「人と人の気持ちのつながり」こそが、制度や協定を超えた強い絆を形作っています。
 当館が現場で感じることは、どのような姉妹都市関係も、それを具体的に動かす熱意ある人々が不可欠であるということです。熱心な個人の善意や努力を引き継いでいく若い世代をどのように発掘して育てていくか。国際交流を地域の活性化につながる重要な施策として位置づけ、熱意ある若い世代が存分に活躍できるように支援をしていくことの重要性を感じています。

訪問団が陸前高田市にて交流する様子(カリフォルニア州クレッセントシティ提供)

4 おわりに:日米姉妹都市交流を次のステージへ

 姉妹都市関係の強みは、それ自体が交流のゴールではなく、新たな交流を生み出す「触媒」となることです。日米間に存在する474組の姉妹都市関係は、それぞれが長年の交流を通じて築いてきた貴重な財産です。今後は、こうした一つ一つの関係を更に深めるとともに、各地で生まれた新たな取組や成功を互いに学び合い、次の世代へとつないでいくことが重要です。全米姉妹都市協会側からも、日本は最大のパートナーであり、全米姉妹都市協会創立70周年を祝うにあたって日本の関与と発信は不可欠であったとの謝意が述べられ、今後とも草の根・人的交流分野での更なる連携強化を模索していきたいとの強い意欲が示されました。当館としても、自治体や関係団体の皆様と連携しながら、長年培われてきた友好と信頼を新たな協力へと発展させていくとともに、次の世代へとつないでいく取組を後押ししていきたいと考えます。

グローカル外交ネットへ戻る