グローカル外交ネット
東日本大震災がつないだ絆
岩手県陸前高田市と米国カリフォルニア州クレセントシティ・デルノルテ郡の姉妹都市交流
在サンフランシスコ日本国総領事館
1 東日本大震災がつないだ絆
2011年、東日本大震災が東北一帯に甚大な被害をもたらした一方、遠く離れた米国との間で1つの姉妹都市関係を生み出したことをご存じでしょうか。米国カリフォルニア州クレセントシティ・デルノルテ郡は、東日本大震災の際に漂流した岩手県立高田高校の実習ボート「かもめ」が太平洋を横断し2013年にクレセントシティに漂着したことをきっかけに、2018年に陸前高田市と姉妹都市協定を締結しました。以来、陸前高田市はクレセントシティ・デルノルテ郡と経済・文化など多様な面で交流を行っており、2026年に総務大臣から自治体国際交流表彰を授与されています。
陸前高田市・クレセントシティ・デルノルテ郡の姉妹都市交流は、災害の惨禍を背景としつつも、海岸に流れ着いた「かもめ」を清掃したデルノルテ高校の生徒たちとボートの返還を受けた高田高校の生徒たちの交流に始まり、地方公共団体間の関係に発展しました。この東日本大震災がつないだ絆について日米問わず幅広い関心が寄せられており、2025年9月に全米姉妹都市協会が開催した日米姉妹都市サミットでも佐々木拓陸前高田市長やクリス・ハワード・デルノルテ郡議会議員、ブレーク・インスコア元クレセントシティ市長が登壇し、これまでの歩みを紹介しています。
2 カモメフェスティバル
今年4月、「かもめ」の漂着を記念するカモメフェスティバルに参加するため、佐々木市長がクレセントシティ・デルノルテ郡を訪問しました。この機を捉え、大槻耕太郎在サンフランシスコ日本国総領事も同地を訪問し、関係者と姉妹都市関係の発展に向けた打ち合わせを行いました。
大槻総領事は、佐々木市長とともに、イザイア・ライト・クレセントシティ市長やエリック・ワイアー・クレセントシティ・シティマネージャー、ジェフ・ハリス・デルノルテ郡統一学区教育長と姉妹都市交流の将来について意見交換を行いました。具体的には、学生交換プログラムや市長訪問などのこれまでの取組を継続すること、将来の交流を担う次世代人材を確保・育成すること、交流活動をカリフォルニア州における日本語教育の推進につなげることの3点について議論がなされ、これまでの活発な取組を次世代につないでいくため単なる姉妹都市関係に留まらない広範な取組を展開していくことで一致しました。
また、大槻総領事は、クレセントシティ・デルノルテ郡で姉妹都市交流を企画・実施するカモメファウンデーションが主催したレセプション「Taste of Japan」において挨拶を行い、姉妹都市交流の更なる発展に向け関係者を激励しました。レセプションでは、陸前高田市で活躍する菊池郷平氏・里歩氏兄妹が三味線・舞踊を披露しました。
カモメフェスティバルでは、このほかにも、折り紙を用いて言語を超えた交流を推進するオリガミプロジェクトのワークショップが実施されるなど、日本文化をクレセントシティ・デルノルテ郡に直に紹介するイベントが多数開催されています。
陸前高田市長・クレセントシティ市長と大槻総領事ら
カモメファウンデーション関係者と大槻総領事
折り紙にいそしむ参加者
3 姉妹都市関係の未来
陸前高田市とクレセントシティ・デルノルテ郡は活発な姉妹都市交流を展開しており、今後どのような活動に進化していくのか一層注目が集まっています。実は、クレセントシティ・デルノルテ郡も1964年のアラスカ地震で津波被害を受けた経験があり、東日本大震災で津波被害を受けた陸前高田市と防災をテーマとした交流活動を進めていくことが検討されています。また、陸前高田市側から英語教員を派遣し、現地で日本語を教えつつ英語に磨きをかける教員派遣プログラムの実施に向けた調整も進んでいます。
在サンフランシスコ日本国総領事館は、このような素晴らしい取組に代表されるカリフォルニア州の多様な姉妹都市交流を支援しています。
