保健・医療

三大感染症について

平成23年7月

1.三大感染症の現状

 HIV/エイズ等の新しい感染症,また,近い将来克服されるとみられたにもかかわらず,再び大きな問題となっている結核,マラリア等の再興感染症は,その伝播性や対策に要する経費負担の大きさから,一国のみで解決できる問題ではなく,世界各国が協力して対策を進めなければならない地球規模の問題です。特に開発途上国にとっては,住民一人一人の健康への驚異であるだけでなく,社会・経済開発への重大な阻害要因となっています。

HIV/エイズ(2009年)

  1. (1)世界のHIV/エイズ感染・患者総数 3,330万人
  2. (2)年間新規HIV感染者数 260万人
  3. (3)2009年間エイズ死亡者数 180万人
  4. [2010年 UNAIDS統計]

結核(2009年)

  1. (1)年間発病者数 約940万人
  2. (2)年間死亡者数 約170万人
  3. [2010年 WHO世界結核対策報告書]

マラリア(2009年)

  1. (1)年間罹患者数 2億2,500万人
  2. (2)年間死亡者数 約78万人
  3. [2010年 WHO世界マラリア報告書]

2.国際社会による取り組み

 世界保健機関(WHO)や国連合同エイズ計画(UNAIDS)は,従来からこれら感染症対策のための国際協力を推進しています。感染症対策は,近年のG8サミットにおいても取り上げられてきました。特に,日本が主催した2000年7月のG8九州・沖縄サミットで,サミット史上初めて感染症対策を主要議題の一つとして取り上げたことが契機となり,2001年の国連エイズ特別総会,ジェノバ・サミットを経て,2002年1月,開発途上国における三大感染症対策に資金協力する世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立につながりました。

(1)エイズ

 2001年の国連エイズ特別総会で「HIV/エイズに関する誓約宣言」(Declaration of Commitment on HIV/AIDS)が決議され,2006年の国連エイズ特別総会ハイレベル・レビュー会議において「HIV/エイズに関する政治宣言」(Political Declaration on HIV/AIDS)が採択されました。さらに,2011年6月に国連HIV/エイズハイレベル会合が開催されました。この会合では,2001年の「HIV/エイズに関する誓約宣言」採択から10年を経て,HIV及びエイズを巡る問題が依然として国際社会における喫緊の開発課題であるとの認識の下,政治宣言が採択され,これまでのエイズ対策に関する実績についての評価が盛り込まれるとともに,包括的なHIV予防対策やエイズの治療や社会支援のユニバーサル・アクセスを達成するための努力を強化するとの決意が表明されました。

国連合同エイズ計画(Joint United Nations Programme on HIV/AIDS: UNAIDS

 HIV/エイズ対策活動の重複を廃し,包括的,効率的にエイズ対策を実施するため,1994年7月の国連経済社会理事会において設置が承認され,1996年1月に発足しました。現在までに,以下の10機関が共同スポンサーとしてUNAIDSに参加しています。

  1. (1)UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)
  2. (2)UNICEF(国連児童基金)
  3. (3)WFP(国連世界食糧計画)
  4. (4)UNDP(国連開発計画)
  5. (5)UNFPA(国連人口基金)
  6. (6)UNODC(国連薬物犯罪事務所)
  7. (7)ILO(国際労働機関)
  8. (8)UNESCO(国連教育科学文化機関)
  9. (9)WHO(世界保健機関)
  10. (10)世界銀行

(2)結核

 1998年の結核に関するロンドン会議,2000年のアムステルダムにおける「ストップ結核宣言」を経て,同年の世界保健総会において,「ストップ結核パートナーシップ他のサイトヘ」 が発足しました。WHOが中心となり,国際機関,各国政府や官民のドナー,NGO等の間での協力ネットワークを確立し,2015年までに結核を1990年のレベルから半減する,2050年までに世界の結核を100万人に一人まで減らすことを目標としています。

(3)マラリア

 1998年,世界規模のマラリア対策を進めるため,WHO,UNICEF,UNDP,世界銀行が,「ロールバックマラリア・パートナーシップ他のサイトヘ」 を立ち上げました。2010年までに,マラリアによる死亡率及び有病率を50%減らし,2015年までにさらにそれぞれを半減させることを目標とし,各国政府,NGO,研究機関等と連携して,マラリア高蔓延国における予防と治療を促進する活動を行っています。

3.日本の取り組み

 日本もその経験や知見を活用して,開発途上国の保健・医療向上に貢献するため,これらの国際機関やドナー国と密接な協力を進めてきました。平成17年(2005年)2月に改訂されたODA中期政策では,「人間の安全保障」の実現に向けた援助のアプローチを取り入れ,保健分野の改善を含めた貧困削減を重点課題の一つに掲げています。

 これまで日本は,「人口・エイズに関する地球規模課題イニシアティブ(GII)」,「沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)」,「国際寄生虫対策(橋本イニシアティブ)」,「保健と開発に関するイニシアティブ(HDI)」,「横浜宣言」とそれに基づく「横浜行動計画」,「国際保健に関する洞爺湖行動計画」などを通じて保健分野の様々な課題に取り組んできました。MDGs達成期限まで残すところ5年となった2010年には,日本は米国ニューヨークで開催されたミレニアム開発目標(MDGs)に関する国連首脳会合において新国際保健政策を発表しました(菅コミットメント他のサイトヘ)。

 また,結核対策に関し,2008年7月,国際結核シンポジウム『世界における結核の征圧に向けて:アジアからアフリカまで』において,外務省と厚生労働省は,JICA,財団法人結核予防会,ストップ結核パートナーシップ日本と共同で作成した,結核分野の国際協力に関する我が国のアクションプラン(行動計画)「ストップ結核ジャパンアクションプラン」(日本語版(PDF)PDF英語版(PDF)PDF)を発表しました。

 このほか国際機関等を通じた支援として,世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)への拠出があります。世界基金は途上国における三大感染症対策に資金支援を供与しており,これまで150か国に対する資金支援を承認しています。日本は,上記新国際保健政策のもと,世界基金に対して2011年以降当面最大8億ドルの拠出を行うことを表明しており,これまで世界基金に対し累計14億ドルを拠出しています。


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