地球環境

令和3年7月14日

国連における取組

  • 1992年(6月) UNCED(国連環境開発会議)
  • 1995~1999年 IPF(森林に関する政府間パネル)
  • 1997年(6月) UNGASS(国連環境開発特別総会)
  • 1997~2000年 IFF(森林に関する政府間フォーラム)
  • 2001年~ UNFF(国連森林フォーラム)

1 世界の森林の減少・劣化

(1)背景

 森林問題を巡っては、従来から、特に熱帯林を中心として急速な減少・劣化の進行等が指摘され、1992年6月UNCED(国連環境開発会議、通称「地球サミット」)で採択された『アジェンダ21』第11章「森林減少対策」には、熱帯林、温帯林、北方林を含む全ての種類の森林の多様な役割・機能の維持や、森林の持続可能な経営及び保全の強化等が挙げられている。また、UNCEDでは「森林原則声明」(注)も採択された。

(注)「森林原則声明」("Forest Principles")
 正式名称:「全ての種類の森林の経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明」
 森林に対する各国の主権の確認、森林の保全・回復及び持続可能な経営の実施に向けて各国は努力し、国際社会は協力すべきこと等、森林の保全、持続可能な経営・開発の実現に向け国レベル、国際レベルで取り組むべき15項目の内容を規定。

(2)世界の森林の減少・劣化(deforestation and forest degradation

(ア)世界の森林面積(2005年)= 約39.5億ヘクタール(地球の陸地面積の約30.3%)

<地域別>
アフリカ 16.1%
アジア 14.5%
欧州(含:ロシア) 25.3%
北中米 17.9%
オセアニア 5.2%
南米 21.0%

(イ)世界の森林面積の減少(2000~2005年)

  • 年間平均約-731.7万ヘクタール(1990~2000年)
  • 年間平均約 -886.8万ヘクタール

(ウ)世界の森林面積増減の比較(2005年森林面積:2000年比)

  • アフリカ -0.62%
  • アジア +0.18%
  • 欧州 +0.07%
  • 北中米 -0.05%
  • オセアニア -0.17%
  • 南米 -0.50%
  • 世界全体 -0.18%

(エ)熱帯林が減少している理由

  • アフリカ・アジア地域における自給農業の拡大、南米・アジア地域における再移住、農業及び基盤整備関連の経済開発計画の実施等。
  • 森林火災(1997~1998年にかけてエル・ニーニョ現象による影響により、ブラジル及びインドネシアで大規模な火災が発生、それぞれ200~300万ヘクタールの熱帯林が焼失した。)
  • 違法伐採(例えば、インドネシアでは、生産される木材の50%が、ロシアでは10%が違法伐採木材であるとの報告がある。)

 上記出典:国連食糧農業機関(FAO)State of the World's Forests 2005

(3)森林は地球環境の保全と経済社会の発展に重要な役割を担っているが、森林の減少・劣化の進行は止まっていない。森林問題は各国、関係国際機関、NGO等が、持続可能な森林経営の推進に向けて、協力して解決していくべき地球的規模問題の1つである。

2 森林政府間パネル(IPF:Intergovernmental Panel on Forests)

(1)経緯

[1995~1997年]
年月 経緯
1992年6月 UNCED(「地球サミット」)の『アジェンダ21』に「森林減少対策」(第11章)が含まれ「森林原則声明」も採択された。
1995年4月 国連持続可能な開発委員会(CSD)第3回会合においてアドホックで自由参加(open-ended)のIPFをCSDの下に設置することを決定。IPFは1997年第5回CSD会合へ最終報告を提出することとされた。
<IPFの設立目的>
 
森林問題に対して行われてきた各種国際的取り組みについての評価をさらに推し進める
環境、社会、経済に対する影響をも考慮に入れた全ての種類の森林の管理、保全、持続可能な開発を推進するための総合的な提案の形成及び合意を追及する
森林原則声明」と両立する多くの専門分野にわたる活動を推進する
1995年6月 第50回経済社会理事会組織会期において同パネルの設置に関する決議案を採択
1995年9月 ~1997年2月までに4回の会合を開催
1997年4月 第5回CSDへ、国家レベル、国際レベルで取り組むべき多数の行動提案("proposals for action")を盛り込んだ最終報告書を提出

(2)IPFの検討事項

(ア)各国及び国際的なレベルでの森林に関するUNCED合意の実施状況

  • (1)国家森林計画及び土地利用計画等を通じたUNCED合意の実行方策
  • (2)森林減少・劣化の原因究明
  • (3)森林に関連した伝統的知識の保護・利用の促進方策
  • (4)砂漠化の影響を受けた脆弱な地域及び大気汚染の影響を受けた地域における(再)造林と森林回復のための支援方策
  • (5)森林低被覆率国における森林保全対策等

(イ)資金協力及び技術移転における国際協力

(ウ)科学研究、森林評価及び持続可能な森林経営の基準・指標

  • (1)全ての種類の森林の多様な利益の評価
  • (2)森林の多様な利益の適切な評価方法についての検討
  • (3)基準・指標の適用、統一化等の促進方策

(エ)森林の生産物及びサービスに関連した貿易と環境

(オ)国際機関及び適切な法的メカニズムを含む多国間の措置等

  • (1)国際機関等の取組み状況等の把握
  • (2)法的措置を含む新たな国際約束の検討

(3)議論の結果

 IPF第4回(最終)会合(1997年2月、ニューヨーク):

 国レベル、国際レベル等で取り進めるべき行動提案("proposals for action")等を含む最終報告書を採択(最終報告書は第5回CSDへ提出)。なお、ポストIPFを如何なる形でフォローアップすべきかの点については、森林に関する法的文書(legally binding instrument)(森林条約を含む)の取り扱いに関する各国の考えの相違も絡み、第5回CSD会合での議論に持ち越された。

(4)IPFの未解決事項

  • 森林に関する法的文書(legally binding instrument)等への取組
  • 新たな国際基金(資金メカニズム)の創設
  • 貿易と環境問題(林産物貿易に関わる市場アクセスの改善)等

(5)日本の支援

 日本は、IPFの事務局運営を支援するため、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じてIPF事務局長及びスタッフ1名のセカンドメント経費を支出した他、IPF事務局(ニューヨーク)に対し10万ドルを拠出した。

3 森林政府間フォーラム(IFF:Intergovernmental Forum on Forests)

(1)経緯

[1997~2000年]
年月 経緯
1997年6月  第19回国連環境開発特別総会(UNGASS)において、IPFの後を受け、アドホックで自由参加(open-ended)のIFFを期限付きでCSDの下に設置することを決定。
IFFは1999年第7回CSD及び2000年第8回CSD会合へ報告を提出することとされた。
<IFFの設立目的>
IPF行動提案の実施促進
持続可能な森林経営の進捗状況の把握
IPF未解決事項の検討
森林に関する法的文書等の国際的な取決め及びメカニズムの内容の検討及び右に向けたコンセンサス形成
1997年7月 経済社会理事会において上記内容からなる決議を採択

(2)IFFの日程

  • 第1回会合:1997年10月1日~3日 ニューヨーク
  • 第2回会合:1998年8月24日~9月4日 ジュネーブ
  • 第3回会合:1999年5月3日~14日 ジュネーブ
  • 第4回会合:2000年1月31日~2月11日 ニューヨーク

(3)IFFの討議項目

カテゴリーI:森林に関する政府間パネル(IPF)行動提案の実施促進等

  • (a)IPF行動提案の実施促進方策
  • (b)持続可能な森林経営の進捗状況のモニター

カテゴリーII:IPFからの未解決事項などの検討

  • (a)新たな国際基金の創設・その他の資金調達方法
  • (b)貿易と持続可能な森林経営の調和方策
  • (c)持続可能な森林経営のための環境保全上適正な技術移転の方策
  • (d)その他のIPF検討項目で更なる検討が必要な事項の検討
  • (e)国際機関、森林関連条約("instrument")の役割・活動等の分析

カテゴリーIII:国際的な取決め及びメカニズムの検討

(4)IFFでの議論の結果

IFF第4回会合(2000年1~2月、ニューヨーク):「国連森林フォーラム」の設立

 IFFプロセスの最終会合として、最大の懸案事項であった「国際的な取決め及びメカニズム」の議論の動向に各国の高い関心が集まっていたが、条約作成推進派(加等)と反対派(米、伯等)の意見の差異は解消されず、結果として今後の条約作成の検討の可能性をも残した形で、「国連森林フォーラム(United Nations Forum on Forests;UNFF)を設立し、今後も持続可能な森林経営の実施の促進や政策対話等を継続することで各国は一致した。結果として、1997年10月から4回にわたって行われたIFF会合の最終報告書が採択され、同報告書は、2000年4~5月のCSD8に提出された。なお、条約については、各国や国際機関等による持続可能な森林経営に向けた取組のモニタリングや評価をふまえ、5年以内に法的枠組を策定するマンデートの要素(parameters)について検討することになっている。資金問題、技術移転等については今後UNFFの枠組で議論が続けられるものと見込まれる。

(5)日本の支援

 日本は、IFF事務局運営を支援するため、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じてIFF事務局スタッフ1名のセカンドメント経費を支出した。また、IFF事務局(ニューヨーク)に対し、5万ドルを拠出した。

4 国連森林フォーラム(UNFF:United Nations Forum on Forests)

(1)これまでの経緯

[2001年~]
年月 経緯
2000年10月 経済社会理事会再開会合でUNFFの設立決議を採択
2001年2月 組織会合及び非公式協議(事務局のNY国連本部内の設置を決定)
2001年6月11日~22日 UNFF第1回会合(於:ニューヨーク)
2002年3月4日~15日 UNFF第2回会合(於:ニューヨーク)(閣僚級)
2003年5月26日~6月6日 UNFF第3回会合(於:ジュネーブ)
2004年5月3日~14日 UNFF第4回会合(於:ジュネーブ)
2005年5月16日~27日 UNFF第5回会合(於:ニューヨーク)(閣僚級)
2006年2月13日~24日 UNFF第6回会合(於:ニューヨーク)
2007年4月16日~27日 UNFF第7回会合(於:ニューヨーク)
2009年4月20日~5月2日 UNFF第8回会合(於:ニューヨーク)
2009年10月30日 UNFF第9回会合特別会(於:ニューヨーク)
2011年1月24日~2月4日 UNFF第9回会合(於:ニューヨーク)(閣僚級)
2013年4月8日~19日 UNFF第10回会合(於:イスタンブール)(閣僚級)
2015年5月3日~14日 UNFF第11回会合(於:ニューヨーク)(閣僚級)
2017年1月20日 UNFF第12回会合特別会合(於:ニューヨーク)
2017年5月1日~5日 UNFF第12回会合(於:ニューヨーク)
2018年5月7日~11日 UNFF第13回会合(於:ニューヨーク)
2019年5月6日~10日 UNFF第14回会合(於:ニューヨーク)
2020年5月~7月 UNFF第15回会合(オンライン)
2021年4月26日~30日 UNFF第16回会合(オンライン)

(2)UNFFの主要目的

  • 持続可能な森林経営のための諸施策の検討
  • IPF/IFFの行動提案の実施の促進
  • 法的枠組を策定するマンデートの要素について経済社会理事会への報告

(3)森林に関する協調パートナーシップ(CPF:Collaborative Partnership on Forests

 UNFF活動を支援しIPF/IFF行動提案を実施するための森林に関する国際機関のパートナーシップ。世銀、FAO、ITTO、UNEP、UNDP、CBD等14の国際機関・条約事務局等からなる。

(4)UNFF第1回会合(UNFF1):

  • UNFFの5年間にわたる「多年度作業計画」を採択。
<多年度作業計画の主要点>
(ア)共通事項として「資金」「技術移転」「人材育成」「貿易」等を毎回議論。
(イ)各会合の重点分野
  • UNFF2:森林の減少・劣化への対策森林保全・保護等
  • UNFF3:森林の経済的側面、森林の健全性と生産性等
  • UNFF4:森林の社会・文化的側面、持続可能な森林経営の基準・指標等
  • UNFF5:活動状況のレビュー、法的文書策定の要否の検討等
  • IPF/IFF行動提案の実施を促進するための「行動計画」を策定。

(5)UNFF第2回会合(UNFF2):

  • 閣僚会合(2002年3月13~14日)で「閣僚宣言」が採択され、UNFFより2002年8月に南アフリカで開催されたヨハネスブルグサミット(WSSD)に対し以下の項目を含むメッセージがまとめられた。
  • (ア)森林の多様な価値を重視し、貧困、土壌劣化及び飲料水等の対策として持続可能な森林経営を進める。
  • (イ)森林法規の実行と生物資源を含む林産物の違法な国際貿易に対する取組を直ちに実施するとともに、国際社会は関連の制度・人材の能力育成のための支援を行うことを慫慂する。
  • (ウ)持続的な伐採の達成のための取組及び非持続的な伐採に対処するための取組を直ちに実施することを慫慂する。
  • (エ)持続可能な森林経営のための財源増、森林法施行等のためのパートナーシップと国際協力を創設・強化する。

(6)UNFF第3回会合(UNFF3):

  • (ア)モニタリング・評価・報告の手法、(イ)資金及び技術移転、(ウ)法的枠組み、の検討を行うためのアド・ホック専門家グループの設立を決定。
  • 森林の経済的側面、森林の健全性及び生産力、森林被覆の維持等に関するIPF/IFF行動提案の実施を促進するための決議を採択。
  • UNFFにおける協議の効果を発揮させるため、CPF(森林に関する協調パートナーシップ)に参加する国際機関・条約事務局等との更なる協力・対話の促進を奨励し、また、2002年のヨハネスブルグ・サミットの際に発足した新たな森林パートナーシップの役割を評価する旨の決議を採択。

(7)UNFF第4回会合(UNFF4):

  • 森林に関する科学的知見、森林の社会的・文化的側面、モニタリング・評価・報告、持続可能な森林経営の基準・指標、資金・環境に優しい技術移転等に関するIPF/IFF行動提案の実施を促進するための決議を採択。
  • NGO、産業界、先住民社会等からの参加を得て、上記分野に関する多様な利害関係者による対話を実施。同対話の中で、我が国等が推進しているアジア森林パートナーシップ等の役割が高く評価された。
  • 2005年の第5回UNFFの議題の一つである森林に関する国際的枠組みの実効性の評価の実施を促進する決議を採択。

(8)UNFF第5回会合(UNFF5):

  • 森林・林業分野に対する政治的関心や社会全体の支持の促進、具体的な行動の推進等の観点から、各国とも何らかの国際的枠組は必要との認識を共有していることが確認された。
  • 新たな国際的枠組は、実効性を高める観点から、世界レベル及び地域レベル双方の枠組を活用する方向で考えがほぼ一致した。
  • しかしながら、具体的な国際的枠組のあり方、同枠組が目指すべき目標などについて各国の意見の隔たりが大きく、2006年2月に第6回会合を開催して、これらの問題について合意を目指すこととなった。

(9)UNFF第6回会合(UNFF6):

  • 今後のUNFFのマンデート等について、1)森林減少傾向の反転、2)森林由来の経済的・社会的・環境的便益の強化、3)保護された森林及び持続可能な森林面積の大幅な増加と持続可能な森林からの生産物の増加、4)持続可能な森林経営のためのODAの減少傾向の反転を4つの世界的目標(Global Objectives on Forests:GOFs)とし、2015年までは、法的拘束力を有さない国際的枠組みの下で、同目標の達成及び持続可能な森林経営の推進を目指すことで一致した。
  • 違法伐採問題への対処の必要性につき幅広い支持が得られ、「各国の国内法に照らして違法な行為及び林産品の違法な貿易に対処するための各国の能力を強化する」よう各国に求めることが盛り込まれた。

(10)UNFF第7回会合(UNFF7):

  • 「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を持たない文書(NLBI)」及び「多年度作業計画(Multi-Year Programme of Work:MYPOW)」を採択。

(ア)NLBIの概要

 UNFF6で合意された森林に関する4つの世界的目標を掲げた上で、持続可能な森林経営の促進のために、(1)各国が講じるべき25項目の国内政策及び措置(国家森林プログラムの整備・実施、持続可能な森林経営を促進する政策の策定・実施等)、並びに、(2)19項目の国際協力及び実施手段(持続可能な森林経営のための実施手段強化に向けたハイレベルの政治的コミットメント確保に向けた努力、国内法に基づき森林に関する違法行為に対処するための能力強化、違法な林産品等の違法貿易への対処に向けた国際協力等)につき記述。

(イ)MYPOWの概要

  • (1)2015年までのUNFFセッションは2年に1度開催。
  • (2)2015年までの各UNFFセッションの具体的な議題を以下のとおり設定。
    UNFF8(2009年) 「環境変化における森林」及び
    「持続可能な森林経営のための実施手段」
    UNFF9(2011年) 「人々、生計及び貧困削減のための森林」
    UNFF10(2013年) 「森林と経済開発」
    UNFF11(2015年) 「森林:国際的な森林枠組に関する進捗、課題及び進むべき道」
  • (3)各セッションにおける分野横断的な課題として、実施手段、森林法の施行及びガバナンスを設定。また、各セッションにおいて一つの緊急の課題についても議論。
  • (4)地域プロセス等による取組を慫慂し、事務局に対してそのインプットがなされる。
  • (5)UNFF9及びNFF11において、ハイレベル・セグメントを開催。

(11)UNFF第8回会合(UNFF8):

  • 「環境変化における森林」の議題の下、(ア)気候変動、森林減少・劣化、砂漠化、生物多様性の損失等の課題に対処する上での持続可能な森林経営の実施強化、(イ)森林に関連した国際機関及び関連条約における関連戦略への持続可能な森林経営の統合、(ウ)森林に関する地域・準地域の対話・協力の促進、(エ)持続可能な森林経営に関する南北協力・南南協力・第3国協力に係る戦略策定等に関する決議を採択。
  • 「持続可能な森林経営のための実施手段」として、持続可能な森林経営のための資金提供のあり方等についても議論が行われたが、新たな基金の設置の是非をめぐって各国の意見の溝が埋まらず、2011年に予定されるUNFF9に議論が持ち越された。

(12)UNFF第9回会合(UNFF9)特別会合:

 (ア)資金動員のための戦略を検討するアドホック専門家会合の設置、(イ)持続可能な森林経営及びNLBIの実施並びにGOFsの達成を推進するための「促進プロセス」の開始等を内容とする持続可能な森林経営のための実施手段に関する決議を採択。

(13)UNFF第9回会合(UNFF9):

 閣僚会合(2011年2月2~3日)の結果、2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)に向けたインプットとして、(ア)持続可能な森林経営に必要な条件作りを通じた人々の生計改善、(イ)クロス・セクター及びマルチ・セクターの政策・メカニズム等の策定・実施、(ウ)NLBI及びGOFsの達成努力の加速、(エ)リオ3条約事務局等関係機関の間の一貫性・シナジーの促進等へのコミットメントを含む「閣僚宣言」を採択。
 「人々、生計及び貧困削減のための森林」の議題の下、森林法の執行・ガバナンスの強化、途上国の能力構築の促進、参加型メカニズムの強化、地域・コミュニティ企業の促進、NLBIの国家開発戦略への統合等を主な内容とする決議を採択。

(14)UNFF第10回会合(UNFF10):

  • 「森林と経済開発」のテーマの下、持続可能な森林経営の国家開発戦略への統合を図り、森林からの便益の最大化と森林への負の影響を最小化する土地利用のあり方などのほか、4GOFsの達成状況及びNLBIの実施状況・進展、森林に関する国際的な枠組みの効率性、持続可能な森林経営の実施手段(資金・技術協力等)に関する決議を採択。
  • 現在の枠組みの最終年となる2015年に、これまでの成果を評価し、任意の世界森林基金の必要性を含む、森林に関する国際的な枠組みのあり方について協議することとし、会期間活動として専門家会合や独立的な評価を行うこととなった。
  • 2015年から先の国際開発目標及び持続可能な開発目標の検討においては、持続可能な森林経営を中心とした森林分野に相応の考慮が払われるべきであることで一致した。

(15)UNFF第11回会合(UNFF11):

 2015年は、森林に関する国際的な枠組み(IAF:International Arrangement on Forests)を見直す年にあたることから、今後のあり方について議論が行われ、森林に関する国際的な枠組を強化し、IAFにおける取組が2030年まで延長されることとなった。

決議(「2015年以降の森林に関する国際的な枠組み」)において、主に以下の点が決議された。
今後2030年までの戦略計画及び四年間の作業計画を策定し、同計画の実施状況をレビューする。戦略計画の策定に当たっては、UNFFの下部組織として、作業部会を開催する。
既存の資金へのアクセス向上を目的とした「促進プロセス」を強化し、より効果的にするため、名称を「世界森林資金供給促進ネットワーク(GFFFN: Global Forest Financing Facilitation Network)」に変更。各国は、持続可能な森林経営に向けたリソースを導入するための「国家森林資金戦略」を策定し、地球環境ファシリティ(GEF)や緑の気候基金(GCF)等、既存の基金や新たな資金メカニズムへのさらなるアクセス向上をめざす。

 なお、決議にかかる閣僚宣言(「我々の求める2015年以降の森林に関する国際的な枠組み(The International Arrangement on Forests We Want beyond 2015)」)が採択され、持続可能な森林経営の推進が持続可能な開発において重要な役割を果たすことが再確認された上で、持続可能な森林経営の推進に向けた政策対話の場としてのフォーラムの価値を認識し、森林に関する国際的な枠組みを継続すること等が盛り込まれた。

(16)UNFF第12回会合(UNFF12)特別会合:

  • 「2015年以降の森林に関する国際的な枠組み」(ECOSOC決議2015/33)に基づき、「2017~2030年国連森林戦略計画(United Nations Strategic Plan for Forests 2017~2030: UNSPF)」及び「2017~2020年の4か年作業計画」を採択。
  • 2030年までに国際社会が達成すべき目標として、6つの世界森林目標及び26の関連するターゲットが掲げられ、加盟国はその達成状況を評価した報告書を定期的に報告することとなった。

(17)UNFF第12回会合(UNFF12):

  • 既存の資金へのアクセスの向上を目的とした、「世界森林資金促進ネットワーク(Global Forest Financing Facilitation Network:GFFFN)」について、以下の内容の決議を採択。
    • 「2017~2030年国連森林戦略計画(UNSPF)」における優先事項を実施
    • 特定分野・地域に偏らない、バランスの取れた形で、効果的かつ透明性が確保されたプロセスにより運営する方針とする
  • ハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum:HLPF)でレビュー対象となる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)と森林との関係についても議論が行われ、2018年のHLPF会合に向けたインプットとして、各国における森林と関わりの深いSDGsのゴールへの貢献に関する情報を収集することを決定。

(18)UNFF第13回会合(UNFF13):

  • 「2017~2030年国連森林戦略計画(UNSPF)」及び「2017~2020年の4か年作業計画」に基づき、世界森林資金促進ネットワーク(GFFFN)の運営ガイドライン及びUNFFに関するコミュニケーション・アウトリーチ戦略(2018~2020年版)を採択。
  • 前回UNFF12において更なる改訂を求められたUNFFの国別報告様式が最終決定され、2019年11月中旬までに同報告様式による報告が提出されることとなった。

(19)UNFF第14回会合(UNFF14):

  • 「2017~2030年国連森林戦略計画(UNSPF)」について、各国から進捗状況の報告が行われたほか、2019年の国連ハイレベル政治フォーラムへのインプット案や2021年末までに各国の取組状況をまとめる報告書(Flagship Publication)の構成や内容等について検討された。
  • また、国連経済社会局(DESA)改革によるUNFF組織への影響や世界森林資金促進ネットワーク(GFFFN)の運営状況や今後の機能について、事務局から情報提供がなされた。

(20)UNFF第15回会合(UNFF15):

  • 新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大を受け、2020年5月に開催予定であった対面式会合を取りやめ、2021年までの活動に必要な最小限の決定事項を盛り込んだUNFF15 オムニバス決議案を、書面やオンライン会議等により調整し、サイレンス・プロシージャーで採択。
  • 次期4か年作業計画(2021年~2024年)のたたき台を検討し、2021年部分のみを採択。
  • 世界森林資金促進ネットワーク(GFFFN)の情報データベース(クリアリングハウス)の設計・整備に着手し、UNFF第17回会合にて進捗状況を報告することを決定。

(21)UNFF第16回会合(UNFF16):

  • 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の継続を受け、前回会合(UNFF15)から検討されていた次期作業計画(2022年-2024年)について、書面やオンライン会議等により調整し、サイレンス・プロシージャーで採択。
  • 本年7月に予定されている「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)2021」へのインプットや次回会合(UNFF17)で検討される主要テーマ、COVID-19パンデミックによる森林セクターへの影響等を含めた議長サマリーが採択。
  • 「2017~2030年国連森林戦略計画(UNSPF)」について、各国の取組状況をまとめる報告書(Flagship Publication)が正式にリリースされた。
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