地球環境

世界防災閣僚会議in東北
(概要と評価)

平成24年7月4日

 7月3日及び4日,「世界防災閣僚会議in東北」が開催されたところ,その概要は以下のとおり。(議長サマリー

 宮城県仙台市で全体会合が開催されたほか,4日には,岩手県一関市,宮城県石巻市,福島県福島市の3か所で分科会が開催された。外務省,内閣府,復興庁,国土交通省,国際協力機構(JICA)が主催し,国連開発計画(UNDP),国連国際防災戦略(UNISDR),国連人道問題調整事務所(OCHA),岩手県,宮城県,福島県,仙台市,一関市,石巻市,福島市が共催した。
 また,会議と並行して,官・民・学による多くのサイドイベント(PDF)が開催された。

1 会議の評価

  1. (1)世界で毎年2億人が被災(犠牲者の9割が途上国の市民)し,自然災害による経済的損失が年平均1000億ドルを超える中,防災の重要性を国際的に再確認。防災の主流化と強靱な社会の構築に向けた,国際社会の政治的コミットメントを表明した。そのための主要な要素として,高齢者,女性,障害者など脆弱層への配慮を含む人間の安全保障,ハードとソフトの効果的組合せによる対応,国と地方,官と民,地域の違いなどの垣根を越えた広範な連携などが提示され,「21世紀型の防災」を提案することができた。
  2. (2)2015年に開発分野の羅針盤である「ミレニアム開発目標(MDGs)」と防災分野の国際指針である「兵庫行動枠組」が期限を迎える中,ポストMDGsに防災を位置づけ,実効的なポスト兵庫行動枠組を策定していくとの国際社会の努力の方向性が明確になった
  3. (3)日本として,国際社会の防災分野の取組を主導していく決意を表明した (2013年からの3年間で30億ドルの支援を行うことを表明)。また,多くの外国要人が復興に向けた努力を進める被災地を訪問する機会となった。

2 参加者

 63か国(外務大臣,防災担当大臣を始めとするハイレベルが参加),14国際機関の代表のほか,国際・国内NGO,民間セクターの代表など,約500名が参加した。
 我が国から,野田内閣総理大臣,玄葉外務大臣,平野復興大臣・東日本大震災総括担当大臣,中川内閣府特命担当大臣,山根外務副大臣,奥田国交省副大臣,吉田復興庁副大臣,津川復興庁政務官,郡復興庁・内閣府政務官,佐藤福島県知事,三浦宮城県副知事,勝部一関市長,亀山石巻市長,瀬戸福島市長,伊藤仙台副市長ほかが出席した。

3 議論の概要 (開催プログラム(PDF)

7月3日(火曜日)

(1)開会式
  • 野田総理(他のサイトヘ)が,冒頭挨拶を行い,震災で得た知見と教訓を国際社会と共有していく,東日本大震災の際の支援に「恩返し」する意味でも日本は国際社会に貢献していくとして,防災分野で2013年から3年間で30億ドルの支援を行う旨述べた。
  • 玄葉外務大臣が主催者を代表して挨拶を行い,防災の主流化と強靱な社会の構築の重要性,そのために人間の安全保障と「フルキャストの力」が必要であることなどを訴えた。
  • クラークUNDP総裁から,日本の経験は国際社会の参考となる,防災を開発に真に組み込んでいくべき旨挨拶を行った。
(2)基調報告
  • 平野復興大臣(PDF)(他のサイトヘ)から,東日本大震災の被害の状況及び復興に向けた取組の現状を述べた。さらに,ピーリス外相(スリランカ)からスマトラ沖地震インド洋津波について,ブラウンリー震災復興大臣(ニュージーランド)からクライストチャーチ地震について,女川第一中学校の生徒から東日本大震災について,それぞれの経験と教訓を国際社会と共有し,議論の基礎を築いた。
(3)全体会合 パネル討論(1)
  • 玄葉外務大臣の議事進行の下,強靱な社会を構築する必要があること,その基礎に人間の安全保障があること,防災への投資は長期的に経済的に割に合う取組であること,途上国の防災強化が国際社会の利益に結びつくことについて認識が共有された。
(4)全体会合 パネル討論(2)
  • クラークUNDP総裁の議事進行の下,「防災の主流化」を国,地域,国際社会のあらゆるレベルで推進すべきこと,特にミレニアム開発目標(MDGs)の後継枠組みに防災を位置づけるべきことについて認識が共有された。
(5)玄葉外務大臣主催レセプション
  • 玄葉外務大臣がレセプションを主催し,東北の食材が提供された。

7月4日(水曜日)

(1)分科会

 岩手県一関市,宮城県石巻市,福島県福島市で分科会が開催され,それぞれ中尊寺,石巻漁港,民間工場の視察も行った。

  • 一関分科会:災害前の備えができた強靱な社会の在り方について議論が行われ,災害リスク評価やハード・ソフト双方の機能を駆使した防災力の最大化,防災教育の重要性が共有された。
  • 石巻分科会:災害後に必要な幅広い関係者の連携,早期復旧のための課題などについて議論が行われた。
  • 福島分科会:温暖化・都市化などの新たな災害リスクへの対応や業務継続計画(BCP)策定の重要性等について議論が行われた。玄葉外務大臣が冒頭挨拶を行い,山根外務副大臣がパネリストとして参加した。
(2)全体会合 パネル討論(3)
  • 玄葉外務大臣の議事進行により,実効的な兵庫行動枠組の後継枠組みを策定すべきとの認識が共有された。また,日本が2015年に第3回国連防災世界会議をホストし,本会議の成果を活用していくことに賛意が表された。
(3)閉会式
  • 中川防災担当大臣から総括コメントを述べるとともに,2015年の第3回国連防災世界会議のホストに向けた決意を表明した。
  • 玄葉外務大臣が閉会挨拶を行い,「21世紀型の防災」を東北から世界に向け発信することを表明するとともに,日本が防災の主流化と強靱な社会の構築のために主導的役割を果たすとして,(1)コミットメントを表明した30億ドルの支援を活用し,ハード面とソフト面の対策を効果的に組み合わせて途上国の総合的防災力を高める支援を行うこと,(2)ポストMDGs に防災を位置づけること,(3)2015年の第3回国連防災世界会議のホストと実効的なポスト兵庫行動枠組の策定に取り組んでいくことを表明した。また,玄葉外務大臣は,議長として議長サマリーをとりまとめ,発出した。


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