地球環境

世界防災閣僚会議in東北 
中川防災担当大臣による閉会式総括コメント

(7月4日(水曜日)於:仙台国際センター)

1.はじめに

 世界防災閣僚会議は,先ほどの全体会合をもって,すべてのプログラムを終えました。2日間にわたる皆様の活発なご議論に,心より敬意を表します。

 皆様にもご覧いただいたとおり,被災地は,世界中の皆様から寄せられた寛大なご支援に勇気づけられながら,復興に向け,力強く前進を続けています。その確かな歩みは,皆様にもお感じいただけたものと確信します。

2.我が国の国際防災協力への取組

 日本は,これまでの災害経験から得た知見と技術を最大限に活用して,世界の防災に貢献してまいりました。国際緊急援助隊の派遣はもとより,平常時においても,国連等の国際機関,アジア防災センター,JICAの活動等を通じて,各国の防災の取組支援を推進しています。

 再び大規模災害に見舞われた際の被害を最小限に抑えるため,我が国では,防災教育や防災訓練を通じたresilientな社会の構築,とりわけ,被災する前よりも優れた状態へ復興を成し遂げる「よりより復興(Build Back Better)」の推進に取り組んでいます。このような「防災先進国・日本」の姿を世界に発信し続けていくことは,東日本大震災を経験した我々の最大の使命といっても過言ではありません。

3.国連防災世界会議の開催実績

 1987年に,国連総会は,1990年代を「国際防災の10年(IDNDR)」とすることを決定しました。我が国は,防災分野で初の世界会議である「第1回国連防災世界会議」を横浜に招致し,「より安全な世界に向けての横浜戦略」の採択に貢献しました。

 また,2005年には,「第2回国連防災世界会議」を,阪神・淡路大震災から10年を迎えた神戸に招致し,「兵庫行動枠組」の採択に貢献しました。

 この「兵庫行動枠組」は,現在,防災分野での唯一の国際的枠組となっており,2015年までの10年間に渡る国際的な防災の道しるべとなっています。

4.国際防災協力の重要性の高まり

 二度の世界大会の開催と国際枠組の締結を通じて,防災の重要性はもはや世界中の共通認識となりました。先月リオデジャネイロで採択された「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)の成果文書では,「兵庫行動枠組」のさらなる推進が,持続可能な開発を実現するための重要な鍵として明確に位置づけられました。

 防災認識の高まりの一方で,ここ数年の間だけでも,ハイチ,ニュージーランド,日本,タイなど,世界中で地震や洪水などの巨大災害が相次いでいます。このような災害の影響が,広く世界へ拡大する背景として,世界経済の相互依存性の高まりも原因の一つであると思われます。

 もはや,他国の災害は決して他人事ではないのであり,国際社会の構成員全員が,発展途上国や先進国の区別なく,互いに手を取り合って,resilientな社会の構築に取り組まなければなりません。このような中で,次なる防災世界会議を開催し,「兵庫行動枠組」に続く新たな国際防災の枠組を定めることは急務です。

 今回の世界防災閣僚会議では,いくつかの点について皆様と確認ができたと考えています。すなわち,

  1. 1)防災の取組における,目標値の設定,評価方法の確立,施策の 体系化を検討する必要性
  2. 2)災害を完全に防ぐことは困難との認識に立った上で,減災を目 指して,緊急対応から復旧・復興までを含めた包括的な取組の重要性
  3. 3)防災の主流化を定着させるため,ノウハウと資源を有する国際機関や専門機関のさらなる関与の必要性

 などであります。これらはポスト兵庫行動枠組の基本的な方向性となるものであると考えます。

5.さいごに(第3回国連防災世界会議の招致)

 野田内閣総理大臣が昨日の開会式において改めて表明したとおり,我が国は,2015年に開催される第3回の国連防災世界会議を招致する意向です。

 過去に2度の国連防災世界会議を開催し,世界の防災をリードしてきた実績。そして,東日本大震災という未曾有の大災害の被災地で開催した今回の世界防災閣僚会議の成功。これらの成果を踏まえて,私は,第3回国連防災世界会議の日本招致を,改めて表明したいと思います。

 3年後,皆様と再び日本でお会いできることを楽しみにしています。


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