2011年6月23~24日,オランダのノールドヴェイクにおいて開催された原子力供給国グループ(NSG)第21回総会の概要(注)は以下のとおり。NSG参加国は46か国で欧州委員会及びザンガー委員会がオブザーバー参加。
1.新議長の選出
オランダが新議長国として選出された(新議長はデ・クラーク同国大使)。オランダ政府を代表してクローネンブルフ外務次官(ローゼンタール外相代理)より開会の挨拶がなされた。その中で,同次官より,オランダは,核兵器の拡散を防ぎ,核テロリズムに対抗するための国際的な努力を支持する旨,また,核不拡散においては効果的かつ透明な輸出管理が重要である旨述べた。
2.東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故
参加国は,2011年3月11日に発生した東日本大震災及び同震災による福島第一原子力発電所の被害を受けて,日本国民に対し哀悼及び支援の意を表明した。参加国は,福島第一原子力発電所の事故から得られた教訓を踏まえ,世界的に原子力の安全を強化するための国際的な努力を歓迎した。
3.今次総会内容
- (1) 参加国は,核不拡散体制上の肯定的及び否定的な動き並びに特定の懸念国や地域に焦点をあてた情報交換を行った。
- (2) NSGの権限の枠内で,北朝鮮及びイランの核計画がもたらす拡散上の懸念が共有された。NSGは,イラン及び北朝鮮の核問題の平和的方法による解決に向けた外交努力に対する長年の支持を改めて表明した。
- (3) NSGは,合法的な貿易を阻害することなく拡散懸念に対処する必要性について言及し,また,NSGガイドライン及び同規制リストに基づいて審査・執行を行う重要性を再確認した。
- (4) NSGは,濃縮及び再処理の技術等の移転に関するガイドラインを強化することに合意した。(改訂されたガイドラインの該当箇所仮訳はこちら)
- (5) NSGは,2006年のブラジリア総会決定の条件と整合的な形で,IAEA追加議定書の遵守に係る状況を再検討した。
- (6) NSGは,技術の発展に応じ規制リストを改訂する重要性を強調し,NSGガイドラインの総合的見直しの作業を評価した。
- (7) NSGは,アウトリーチ計画に関する報告について協議し,アウトリーチのガイダンスに関する作業を行うことを決定した。
- (8) NSGは,2008年のインドに対する民生用原子力協力に関する声明の履行における全ての側面について検討を継続し,インドとNSGの関係について協議した。
- (9) NSGは,仲介及び通過の問題について協議し,いかなる方法で仲介及び通過の規制をNSGガイドラインに反映するのが最善かについての選択肢を検討することに同意した。
- (10) NSGは,全ての国に対し,いかなる貨物又は技術の輸出も核兵器計画に寄与することがないよう警戒し,最大限努力するよう要請した。
4.次回NSG総会は,2012年6月に米国が主催することとなった。
(注)同総会にて発出されたパブリック・ステートメントについてはこちら(PDF)に掲載されている。
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