軍縮・不拡散

第6回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合(概要と評価)

平成24年9月28日

  • (写真)第6回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合-1
  • (写真)第6回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合-2
  • (写真)第6回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合-3

 9月27日,ニューヨークの国連本部において第6回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合が開催されたところ,概要及び評価は以下のとおり。

1.概要

  1. (1)今次会合には,共催国である我が国,豪州,オランダ,カナダ,フィンランド,スウェーデン,メキシコを含め,約80か国が参加(このうち17か国の外相が出席)。カー豪外相及び玄葉外務大臣が共同議長を務め,両外相が会合冒頭にそれぞれ演説を行った。
  2. (2)続いて,潘基文国連事務総長が核実験禁止を法的拘束力のあるものとするため未批准国に対し早急に締結手続きを進めるよう求める演説を行った。その後,条約の発効に批准が必要となる国(発効要件国)であり本年2月に批准したインドネシアのナタレガワ外相,包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)事務局長,「原子爆弾の誕生」等核開発に関する著書でピュリツァー賞を受賞した作家のリチャード・ローズ氏がCTBT発効の重要性を訴えるステートメントを行った。また,イラクのズィバーリー外相及びタイの代表がCTBT批准に向けた国内手続きが進んでいる旨の演説を行った。
  3. (3)会合ではCTBT発効促進に向けた閣僚共同声明(日本語英語)を採択した。

2.玄葉大臣による演説(日本語英語)のポイント

 CTBT発効に向けた動きを進めていくため,すぐに取るべき3つの共同行動を提案。第1に,核実験禁止の事実上の国際的な規範化の動きを強化するため,全ての国が核実験を自制すべきであること,第2に,CTBT未署名・未批准国に対して可能な限り早期に署名・批准するよう説得するための,更なる域内のイニシアティブを促すこと,第3に,核実験を探知する国際監視制度(IMS)の整備を加速すること。その上で,国際社会の先頭に立って取り組んでいく決意を改めて表明した。

3.評価

  1. (1)本件会合は,CTBTの早期発効の重要性を訴えることを目的に開催したものであり,17カ国の外相を含む約80か国からハイレベルの出席を得たことで,本件に大きな関心を集めることができた。
  2. (2)発効要件国の中で本年批准を行ったインドネシアのナタレガワ外相は,残りの発効要件国の批准を促すための対応を具体的に検討する必要がある,と発効促進に向けた熱意を表明した。また未批准国のイラクのズィバーリー外相及びタイの代表が,共同声明を支持した上で早期批准に向けて積極的に取り組んでいく姿勢を表明したことは,CTBTの発効促進及び普遍化に向けたモメンタムを高める上で有意義であった。
  3. (3)我が国は,本会合の共同議長として準備段階から主導的役割を果たした。玄葉外務大臣の演説においては,CTBT発効に積極的に取り組んでいく決意を表明しつつ,すぐに取るべき3つの具体的な共同行動を提案することにより,我が国のリーダーシップを印象付けることができた。

(参考)フレンズ外相会合

  1. 本会合はCTBT発効促進会議(2年に1度。外相レベル)が開催されない年に,CTBT発効促進の機運を維持・強化するために開催され,会議の成果として閣僚共同声明を発出してきている。2002年,日豪蘭が共催国となり第1回CTBTフレンズ外相会合を開催。これまでに計5回開催。
  2. CTBTフレンズとは,主に包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の所在するウィーンを中心に,CTBT発効促進活動を調整・推進するため,日豪蘭が結成した国家グループ。現在は右3か国の他,カナダ,フィンランド,及び発効促進調整国(第7回発効促進会議の共同議長国)であるスウェーデン・メキシコの計7か国がメンバーとなっている。

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