エネルギー安全保障
国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の概要
令和5年8月30日
1 設立
IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、第1次石油危機後の1974年に、キッシンジャー米国務長官(当時)の提唱を受けて、OECDの枠内における自律的な機関として設立された。事務局所在地はパリ。事務局長は、ファティ・ビロル(Dr. Fatih Birol)前チーフエコノミスト(2023年9月から3期目(4年間)を務める)。
2 メンバー国
- (1)IEAの参加要件は、OECD加盟国(現在38か国)であって、かつ、備蓄基準(前年の当該国の1日当たり石油純輸入量の90日分)等、国際エネルギー計画(IEP)に関する協定が定める義務を満たす意思と能力があることである。
- (2)現在のメンバー国は、豪州、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、仏、独、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、伊、日本、韓国、リトアニア、ルクセンブルク、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、オランダ、トルコ、英国、米国の31か国。EUはオブザーバー。(OECD加盟国のうち、IEA非メンバー国は、チリ、コロンビア、コスタリカ、アイスランド、イスラエル、ラトビア、スロベニア、の7か国。)。
- (3)チリ、コロンビア、イスラエル、ラトビアが、アクセッション国として正式加盟を目指している。
- (4)アルゼンチン、ブラジル、中国、エジプト、インド、インドネシア、ケニア、モロッコ、セネガル、シンガポール、南アフリカ、タイ、ウクライナがアソシエーション国として、IEAとの協力を進めている。
3 目的・活動
- (1)エネルギー安全保障の確保(Energy Security)、経済成長(Economic Development)、環境保護(Environmental Awareness)、世界的なエンゲージメント(Engagement Worldwide)の「4つのE」を目標に掲げ、エネルギー政策全般をカバー。
- (2)石油・ガス供給途絶等の緊急時への準備・対応と市場の分析、中長期の需給見通し、エネルギー源多様化、電力セキュリティ、エネルギー技術・開発協力、省エネルギーの研究・普及、メンバー国のエネルギー政策の相互審査、非メンバー国との協力等に注力。
- (3)2022年3月の閣僚理事会において、エネルギー移行期における、重要鉱物資源を含むエネルギー安全保障の強化、気候変動対策におけるエネルギーセクター主導、IEAファミリー強化(非メンバー国との協力)及びIEAの財源強化に関する新たな4つのマンデートがIEAに付与された。
4 日本にとってのIEAの意義
- 石油供給の大半を外国に依存する日本は、供給途絶の際、IEAの緊急時対応システムにより裨益するところが大きく、IEAは日本のエネルギー安全保障上、極めて重要。
- エネルギー政策全般にわたる知見で高い国際的評価を得ているIEAは、知識ベースとして、また、意見交換の場として重要。
- 4~5年毎に実施される国別詳細審査等を通じてIEAが行う政策提言は、我が国のエネルギー政策にとって有益なインプットとなり得る。
- 日本は、IEA諸活動に積極的に参加しており、日本の分担金分担率は米国に次ぎ第2位(2021年、13.068%)。なお、IEAの正規職員約350名のうち邦人職員は13名(2023年8月現在)。
5 意思決定機関
- 全メンバー国の代表により構成される理事会(Governing Board:GB)がIEAの最高意思決定機関として各種決定・勧告の採択を行う。
- IEAは定期的に閣僚理事会を開催(原則として隔年)しており、直近では、2022年3月に第28回閣僚理事会がグランホルム米国エネルギー長官の議長の下、パリで開催され、我が国から萩生田経済産業大臣及び小田原外務副大臣が出席。