文化外交(海外広報・文化交流)

ユネスコ「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」の概要

平成25年4月

1.目的

 「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」(「傑作宣言」)事業は、たぐいない価値を有する世界各地の口承伝統や無形遺産を讃えるとともに、政府、NGO、地方公共団体に対して口承及び無形遺産の継承と発展を図ることを奨励し、独自の文化的特性を保持することを目的としています。そして、下記4.のとおりユネスコが定める基準を満たすものを2001年から隔年で「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」として宣言し、2006年までに傑作宣言リストを3回公表しました。

2.これまでの経緯

 傑作宣言事業は、1997年の第29回ユネスコ総会において、「人類の口承遺産の傑作」の宣言という国際的栄誉を設けるための決定が採択されたことを受け、第155回ユネスコ執行委員会(1998年)において「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」規約を採択することによりスタートしました。最終的に、合計90件の無形遺産が傑作に宣言されました。

 第1回「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」においては、我が国からは、「能楽」を候補として「人形浄瑠璃文楽」及び「歌舞伎」を暫定リストとしてユネスコに提出し、2001年5月18日、ユネスコ本部において我が国の「能楽」を含む19件が、傑作に宣言されました。

 第2回「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」への候補案件の推薦については、候補として「人形浄瑠璃文楽」を、暫定リストとして「歌舞伎」を提出し、2003年11月7日に「人形浄瑠璃文楽」を含む28件が傑作に宣言されました。

 第3回「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」については、我が国からは「歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)」を推薦し、2005年11月25日に「歌舞伎」を含む43件が傑作に宣言されました。

3.選考手順

 ユネスコ加盟各国から提出された候補案件を、NGO及び専門家による予備検討を踏まえ、18名の委員からなるユネスコ国際選考委員会が選考し、ユネスコ事務局長へ推薦し最終的に決定する手順を取っていました。

4.選考基準

 「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」に宣言されるためには、下記(1)のいずれかの条件を満たすと共に、下記(2)の6つの基準を考慮する必要がありました。

(1)

(ア)たぐいない価値を有する無形文化遺産が集約されていること

(イ)歴史、芸術、民族学、社会学、人類学、言語学又は文学の観点から、たぐいない価値を有する民衆の伝統的な文化の表現形式であること

(2)

(ア)人類の創造的才能の傑作としての卓越した価値

(イ)共同体の伝統的・歴史的ツール

(ウ)民族・共同体を体現する役割

(エ)技巧の卓越性

(オ)生活文化の伝統の独特の証明としての価値

(カ)消滅の危険性

5.無形文化遺産代表一覧表への統合

 2003年10月、第32回ユネスコ総会において無形文化遺産条約が採択され、2006年4月に発効、過去に傑作に宣言された案件については、同条約第16条に規定される「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に統合されました。
 → 無形文化遺産条約 へ

このページのトップへ戻る
目次へ戻る