国際機関を通じた協力

令和3年1月8日

1 正式名称

「無形文化遺産の保護に関する条約」
Convention for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage

2 成立経緯、発効、締約国

2003年10月17日
第32回ユネスコ総会において採択(於:パリ)
2006年4月20日
発効
2020年12月現在
締約国数 180か国

3 我が国の締結

2004年5月19日
国会承認
2004年6月8日
受諾の閣議決定
2004年6月8日
受諾書寄託

4 目的

 伝統的舞踊、音楽、演劇、工芸技術、祭礼等の無形文化遺産を消失の危機から保護し、次世代へ伝えていくための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とする。

5 主要規定

(1)国内における保護

 各締約国は、国内における無形文化遺産の保護のため、無形文化遺産を特定し、目録を作成する。また、無形文化遺産の保護に責任を有する当局の指定、調査・研究、人材育成、国民の意識の向上等、無形文化遺産の保護の促進のための措置をとるよう努める。

(2)国際的保護

 国際的な水準での無形文化遺産の保護のため、締約国の代表からなる政府間委員会を設置し、人類の無形文化遺産の代表一覧表及び緊急に保護する必要がある無形文化遺産一覧表を作成する。専門家の派遣、必要な人材の訓練、機材及びノウハウの提供等の国際的援助を行うため、締約国の分担金及び拠出金からなる無形文化遺産の保護のための基金を設立する。

6 無形文化遺産代表一覧表

(1)無形文化遺産代表一覧表への記載開始

 2008年に策定された運用指針に基づき、以下の手続により2009年9月にアブダビ(アラブ首長国連邦)で開催された第4回政府間委員会において、無形文化遺産代表一覧表への記載が開始された。

  • (ア)締約国は、自国の領域内にある無形文化遺産の目録を作成する。
  • (イ)目録の中から、記載基準に沿って候補を選定し、ユネスコ事務局に提案する。
  • (ウ)各締約国からの提案書は、政府間委員会の下に設置される同委員会の補助機関((注)2014年より、補助機関に代わって「評価機関」が設置された)によって評価される。
  • (エ)上記(ウ)の評価を踏まえ、政府間委員会は記載するか否かを決定する。

(2)ユネスコ「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」

 条約に先駆け、2001年から2005年にかけてユネスコが「人類の交渉及び無形遺産に関する傑作の宣言」事業を実施し、日本の能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎の3件を含む90件が傑作として宣言された。これら90件は、条約の規定に基づき、代表一覧表に統合された。

7 日本の貢献

  • (1)日本は、1950年に文化財保護法を制定し、他国に先駆けて無形文化遺産保護に取り組んできている。その豊富な知見を活かし、本条約の作成交渉段階から議論を主導してきた。条約発効後は第1期の政府間委員会委員国に選出され、2007年には第2回政府間委員会を東京で開催し、議長国として条約運用の核となるルールを巡る議論をとりまとめた。2018年~2022年から再々度委員国を務めている。
  • (2)1993年にユネスコに無形文化財保存・振興日本信託基金(後に、「無形文化遺産保護日本信託基金」に改称)を設置し、世界各国の無形文化遺産の保存・振興を支援してきている(2017年度までの累計拠出額は、1、669万米ドル)。

8 無形文化遺産保護条約政府間委員会

(1)概要

 無形文化遺産保護条約第5条に基づいて設置。原則として毎年1回、秋頃開催される。

(2)事務局

 ユネスコ事務局文化局無形課(パリ)

(3)政府間委員会における主要議題

  • ア 「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」及び「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」への記載案件審査
  • イ 「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」記載案件の保護のための国際的援助要請の審査
  • ウ 無形文化遺産の保護のための基金の運用
  • エ 広報・啓発活動 等

(4)政府間委員会委員国

 2020年9月の第8回無形文化遺産条約締約国会議で半数が改選され、以下の24か国・地域となった(任期4年、2年毎に半数改選)。

 オランダ、スウェーデン、スイス、アゼルバイジャン、チェコ、ポーランド、ブラジル、ジャマイカ、パナマ、ペルー、中国、日本、カザフスタン、韓国、スリランカ、ボツワナ、カメルーン、コートジボワール、ジブチ、ルワンダ、トーゴ、クウェート、モロッコ、サウジアラビア

(5)これまでの関連会合

第1回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2006年6月:日本が政府間委員会委員国に選出された。
第1回政府間委員会(於:アルジェ)
2006年11月:第2回政府間委員会を我が国で開催することを決定。
第1回臨時政府間委員会(於:成都)
2007年5月:第2回政府間委員会に向け、運用諸ルールに関する予備的議論を行った。
第2回政府間委員会(於:東京)
2007年9月:条約運用諸ルールの主要なものにつき、政府間委員会として採択。
第2回臨時政府間委員会(於:ソフィア)
2008年2月:東京で採択したルールの細部を確定。
第2回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2008年6月:政府間委員会で採択したルールを運用指針としてとりまとめ、審議。
第3回政府間委員会(於:イスタンブール)
2008年11月:運用指針のうち積み残された細部を議論。
第4回政府間委員会(於:アブダビ)
2009年9月:「無形文化遺産代表一覧表」記載開始(日本から13件)。
第3回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2010年6月:日本が政府間委員会委員国に選出された。
第5回政府間委員会(於:ナイロビ)
2010年11月:「無形文化遺産代表一覧表」への第2回記載(日本から2件)。
第6回政府間委員会(於:バリ)
2011年11月:「無形文化遺産代表一覧表」への第3回記載(日本から2件)。
第4回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2012年6月
第7回政府間委員会(於:ユネスコ本部)
2012年12月:「無形文化遺産代表一覧表」への第4回記載(日本から1件)
日本が代表一覧表の審査を行う補助機関メンバーに選出された。
第8回政府間委員会(於:バクー)
2013年12月:「無形文化遺産代表一覧表」への第5回記載(日本から1件)
第5回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2014年6月
第9回政府間委員会(於:ユネスコ本部)
2014年11月:無形文化遺産代表一覧表への第6回記載(日本から1件)。代表一覧表等の審査を行う評価機関のメンバーに日本の専門家が選出。
第10回政府間委員会(於:ウィントフック(ナミビア))
2015年11月~12月:無形文化遺産代表一覧表への第7回記載(日本の案件なし)。
第6回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2016年5月~6月
第11回政府間委員会(於:アディスアベバ(エチオピア))
2016年11月~12月:無形文化遺産代表一覧表への第8回記載(日本から1件)。
第12回政府間委員会(於:済州島(韓国)
2017年12月4日~9日:無形文化遺産代表一覧表への第9回記載(日本の案件なし)
第7回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2018年6月:日本が政府間委員会委員国に選出された。
第13回政府間委員会(於:ポートルイス(モーリシャス))
2018年11月26日~12月1日:無形文化遺産代表一覧表への第10回記載(日本から「来訪神:仮面と仮装の神々」が記載)
第14回政府間委員会(於:ボゴタ(コロンビア))
2019年12月9日~15日: 無形文化遺産代表一覧表への第11回記載(日本の案件なし))
第8回締約国会議(於:ユネスコ本部)
2020年9月9日~10日
第15回政府間委員会(オンライン)
2020年12月14~19日: 無形文化遺産代表一覧表への第12回記載(日本から「伝統建築工匠の技:木造建築を受け継ぐための伝統技術」が記載)
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