3 新型コロナ流行下における外交
2021年、新型コロナの世界的な拡大は、日本を含む各国の外交活動に引き続き大きな制約を課した。
こうした中にあっても、テレビ会議や電話会談を活用した首脳・外相会談などが活発に開催され、2021年、菅総理大臣は40回以上、岸田総理大臣は20回以上、また、茂木外務大臣は60回以上、林外務大臣は20回以上のテレビ会議や電話会談を行った。一方、各国の首脳・外相との信頼関係の強化などのために対面外交が重要であることはいうまでもなく、その時々の国内外の感染状況などを見つつ感染予防対策を徹底した上でハイレベルの外国訪問を実施した。菅総理大臣は4月に米国、6月に英国(G7首脳会合)、9月に米国(日米豪印首脳会合)を訪問し、岸田総理大臣は11月に国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)出席のため英国を訪問した。外務大臣レベルの訪問は更に多く、茂木外務大臣は1月の中南米、アフリカ訪問に始まり、9月の国連総会出席のための米国訪問まで計27か国を訪問し、林外務大臣も12月にG7外務・開発大臣会合出席のため英国を訪問した。
多くの国際会議も、オンライン形式やハイブリッド形式(対面とオンラインの併用)で開催された。日本も、2020年から延期された第14回国連犯罪防止刑事司法会議(通称「コングレス」)を3月に京都で(176ページ 第3章第1節3(7)イ参照)、同じく延期された東京栄養サミット2021を東京で、それぞれハイブリッド形式により開催した(221ページ 特集参照)。
同じく開催が1年延期された2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020大会」という。)は、感染対策を徹底した上で7月から9月にかけ開催され、多くの人々に感動をもたらすとともに人類が大きな困難に立ち向かう中、世界の人々の団結を象徴するものとなった(267ページ 特集参照)。また、東京2020大会に際し、訪日した各国・機関要人との間で首脳会談や外相会談を直接対面で実施できたことは、対面での外交活動が制限される中で、貴重な機会となった(注5)。
(注5) 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせて、14か国・2国際機関から計18人の首脳級要人など、92か国・地域からスポーツ大臣などが訪日し、菅総理大臣は14件の会談などを実施し、茂木外務大臣は6件の会談などを実施した。