外交青書・白書
第3章 国益と世界全体の利益を増進する経済外交

2 インフラシステムの海外展開の推進

新興国を中心とした海外におけるインフラ需要を取り込み、日本企業のインフラ輸出を促進するため、2013年に内閣官房長官を議長とし、関係閣僚を構成員とする「経協インフラ戦略会議」が設置され、これまで49回(2020年12月現在)の会合が実施された。同会議では、2013年に作成された「インフラシステム輸出戦略」を毎年改定し、そのフォローアップを行ってきたが、2020年12月に、近年の情勢変化を踏まえ、2021年から5年間の新目標を掲げた「インフラシステム海外展開戦略2025」(以下「新戦略」という。)を策定した。新戦略では、①経済成長の実現、②SDGs達成への貢献、③「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現を目的の3本柱として推進し、2025年のインフラシステムの受注額を34兆円とすることが目標に掲げられ、この目標達成のため、具体的施策を進めていく方針が示された。現下の重要課題の対応として、新型コロナの影響への対応の集中的推進、カーボンニュートラルへの貢献、石炭火力輸出支援の厳格化、デジタル技術・データの活用促進も取り上げられた。

また、トップセールスの展開、公的資金スキームの積極的な活用のための制度改善なども進めており、JICA海外投融資にかかる審査プロセスの運用の見直しを実施した。さらに、在外公館においては、インフラプロジェクトに関する情報の収集・集約などを行う「インフラプロジェクト専門官」を重点国の在外公館に指名し(2020年12月末現在、75か国97公館200人)、成果を上げてきている

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