外交青書・白書
第4章 国民と共にある外交

第3節 国民の支持を得て進める外交

総論
〈国民への積極的な情報発信〉

外交政策を円滑に遂行するに当たっては、国民の理解と支持が必要不可欠であり、政策の具体的内容や政府の役割などについて、迅速で分かりやすい説明を行うことが重要である。このため、外務省は、各種メディア、講演会、刊行物等を活用し、機動的かつ効果的な情報発信に努めている。

効果的な情報発信のため、外務大臣及び外務報道官の定例記者会見の場が設定されているほか、必要に応じ、臨時の記者会見を行っている。また、特定の問題に関し日本の立場を表明する外務大臣談話外務報道官談話、外交活動などについて情報を発信する外務省報道発表を随時発出している。さらに、これらの情報発信に加えて、外務大臣、外務副大臣や外務大臣政務官のテレビ出演などを通じて国民に対し外交政策を直接説明しているほか、外交活動の取材調整も行っている。

定例記者会見の様子(東京・外務省)
定例記者会見の様子(東京・外務省)
会見による情報発信
外務大臣記者会見 161回
外務報道官記者会見 40回
合計 201回

(2017年1月1日~12月31日 外務省HP掲載分)

文書による情報発信
外務大臣談話 21件
外務報道官談話 51件
外務省報道発表 1,488件
合計 1,560件

(2017年1月1日~12月31日 外務省調べ)

インターネットを通じた情報発信としては、外務省ホームページで、総理大臣や外務大臣の外交活動に関する情報を迅速に発信するとともに、日本の外交政策や歴史問題等に対する日本の立場及び各国情勢などの最新情報や基礎情報を提供している。このほか、各種ソーシャルメディアを通じた情報発信も行っている。

「国民と対話する広報」の一環として、外務大臣による講演会を開催しているほか、外交政策や国際情勢についての理解促進や次世代の日本を担う人材育成のために、全国の国際交流団体、大学や高校などで外務省員による各種講演会も実施している。また、外務省ホームページの「ご意見・ご感想コーナー」などの広聴活動を通じて、国民との双方向コミュニケーションの向上にも努めている。

〈外交記録公開〉

外務省は、外交に対する国民の理解と信頼を一層促進するため、「外交記録公開推進委員会」を設置するとともに、外交記録文書の迅速な移管と公開に積極的に取り組んでいる。また、公文書管理法にのっとり外交史料利用の利便性向上にも努めている。

〈外交実施体制の強化〉

日本を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増し、外交課題も多様化しつつある中、外交実施体制を一層拡充していくことが不可欠であり、外務省は、在外公館及び外務本省の組織・人的体制の整備を進めている。日本外交の海外での拠点となる在外公館については、2018年1月に在キプロス大使館、在レシフェ総領事館(ブラジル)、アフリカ連合日本政府代表部(エチオピア)を設置した。

人員数についても、他の主要国と比較して日本の外務省は依然として少ない。在外公館の増設と併せ、複雑化する国際的な課題に適切に対処し、主要国と肩を並べて国際貢献していくためにも、より一層の人員の増強が必要である。同時に、一人ひとりの外交官の実践的知識、能力、語学力の研鑽(けんさん)及びこれらを通じた対外発信力の向上に資する研修制度の強化も必要である。今後も更なる合理化のための努力を行いつつ、必要な外交実施体制の確保に尽力していく。

このような外交実施体制を強化するとともに、国際的な取組や議論を主導するべく、一層積極的な外交を展開するため、外務省は2017年度予算において6,926億円を計上した。

〈外交における有識者等の役割〉

国家安全保障戦略にも触れられているとおり、日本の外交・安全保障についての知的基盤を広げ、国民の幅広い参画を得た外交を推進することは、中長期的な外交力の強化につながる。このため、外務省は、外交・安全保障分野のシンクタンクとの交流を深め、その育成や支援を強化し、民間の有識者の知見を積極的にいかしていく考えである。

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