外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

第5節 ロシア、中央アジアとコーカサス

総論

アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中、同地域におけるパートナーとしてふさわしい関係をロシアと構築することは、日本の国益及び地域の平和と繁栄に資する。このような認識の下、2016年には、12月にプーチン大統領が大統領として11年ぶりに公式訪日した際の首脳会談を含め4回の首脳会談と3回の外相会談が行われ、経済分野における8項目から成る「ロシアの生活環境大国、経済・産業の革新のための協力プラン」1の具体化や、安全保障、文化・人的交流等、幅広い分野での日露協力が進展した。

日露間最大の懸案である北方領土問題については、「新しいアプローチ」に基づく交渉が進められ、12月の首脳会談では、平和条約問題を解決するとの両首脳の真摯な決意を表明するとともに、北方四島において特別な制度の下で共同経済活動を行うための協議の開始に合意し、元島民の方々による墓参などのための手続を改善することで一致した。

引き続き、首脳レベルを含む様々なレベルでの政治対話を積み重ねつつ、幅広い分野での日露協力を進める中で、領土問題を解決し平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉に精力的に取り組む方針である。

中央アジア・コーカサス諸国は、アジア、欧州、ロシア及び中東を結ぶ地政学的な要衝に位置し、石油、天然ガス、ウランを始めとする鉱物などの天然資源が豊富である。また、これら諸国は、同国を含む地域全体の安定、テロとの闘い、麻薬対策といった国際社会が直面する課題に取り組んでいく上でも重要性が高い。2016年、中央アジア・コーカサス諸国はソ連からの独立25周年を迎えた。

日本は、引き続き要人往来等を通じてこれら諸国との二国間関係の強化を図るとともに、「中央アジア+日本」対話の枠組み等を活用した地域協力促進のための取組を続けている。

1 ①健康寿命の伸長、②快適・清潔で住みやすく、活動しやすい都市作り、③中小企業交流・協力の抜本的拡大、④エネルギー、⑤ロシアの産業多様化・生産性向上、⑥極東の産業振興・輸出基地化、⑦先端技術協力及び⑧人的交流の抜本的拡大

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