1 アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを中心とした日・アフリカ関係の強化
(1)対アフリカ外交の柱としてのTICADプロセス
TICADは、日本が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)と共同で開催するアフリカの開発に関する国際フォーラムである。1993年以降、アフリカの「オーナーシップ(自助努力)」と日本を含む国際社会との「パートナーシップ」を基本理念として開催されてきた。

これまでTICAD首脳会議は5年に1度日本で開催されてきたが、アフリカ側の意向を受け、2014年9月に安倍総理大臣が、アフリカの「オーナーシップ」を重視する立場から、次回TICAD首脳会議をアフリカで開催するとともに、今後は日本とアフリカとの交互開催を実施していくことを発表し、その後、2016年8月にケニアでTICAD VIを開催することを決定した。
TICAD VIでは、2013年6月の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)以降に顕在化した感染症に対する脆弱(ぜいじゃく)性や暴力的過激主義の拡大、国際資源価格の下落等の課題への対処についての議論が期待されている。また、初のアフリカ開催がTICADプロセスの深化を導くとともに、日・アフリカ関係を新たなステージに引き上げることが期待される。
(2)多様な関係者との協力を通じた日・アフリカ関係の強化
2015年は、TICAD VIを翌年に控え、様々な関係者との間で協力の強化を進めた年であった。国内では、2014年の安倍総理大臣のアフリカ訪問を受けて内閣官房副長官の下に設置されたアフリカ経済戦略会議において、アフリカの経済成長を日本の経済成長に取り込むべく、アフリカにおける総合広域開発等の課題について、政府一丸となって具体的な施策の検討を行った。
また、民間企業との間では、岸田外務大臣及び民間企業からの代表者3人を共同議長とするTICAD VI官民円卓会議を設置し、10月に第1回会合を開催した。アフリカとの経済関係を強化するためには官民の緊密な連携が必要との考えの下、アフリカ・ビジネスに関する情報共有や意見交換などを行った。
9月、安倍総理大臣は、2014年に続きニューヨーク(米国)で第3回日・RECs議長国首脳会合を開催し、TICAD VIで期待される成果やTICADとRECsの連携の在り方等についてアフリカ諸国と意見交換を行った。アフリカ各国の首脳から、TICAD Vの公約を着実に実施する日本の姿勢への評価と感謝の意が示された。


10月、ヴァルス・フランス首相が初めて訪日した際には、安倍総理大臣との会談の機会に「アフリカにおける持続可能な開発、保健及び安全のための日仏計画」を発出し、アフリカにおける日仏協力の強化を打ち出すなど、第三国と連携した効果的な対アフリカ政策の展開についても検討を進めた。