第7節 サブサハラ・アフリカ
サブサハラ・アフリカは、49の多様な国々に約10億人の人口を擁し、高い潜在性を持つ市場と豊富な天然資源により、国際社会の注目を集めている。国際社会における合意形成にサブサハラ・アフリカ諸国が及ぼす影響力は拡大している。
一方で、サブサハラ・アフリカは政情不安や深刻な格差・貧困といった以前からの課題が残るほか、近年はエボラ出血熱の流行や暴力的過激主義の台頭などの新たな課題も顕在化している。また、新興国経済の減速や資源価格の下落の影響を受け、経済成長は一時に比べ減速している。
サブサハラ・アフリカの国々がこうした困難を克服し、安定成長を遂げることは、アフリカのみならず日本を含む国際社会全体の平和と繁栄にとって重要である。
1993年に日本が立ち上げたアフリカの開発に関する国際フォーラムであるアフリカ開発会議(TICAD)は、日本の対アフリカ外交の重要な柱であり、首脳会合、閣僚級のフォローアップ会合等を通じて、アフリカ開発に関する議論を幅広く行い、着実な成果を生んできた。2016年8月にケニアで開催される第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)は、初めてアフリカで開催されるTICADとなる。
TICAD VIに向け、2015年には、日本において、政府、民間企業、市民社会といった様々なアクター間の協力強化が進められ、アフリカ経済戦略会議やTICAD VI官民円卓会議が開催された。
日本は、2013年のTICAD Vで打ち出した対アフリカ支援策を着実に実行している。例えば平和と安定の分野では、アフリカ各国の国連平和維持活動(PKO)訓練センターや国連主催のPKO要員の訓練コースへの支援を通じた能力強化を図っているほか、南スーダンでのPKO活動及びソマリア沖・アデン湾での海賊対処活動などを実施している。
また、アフリカ諸国との間では、各国との二国間関係の一層の強化のため、要人往来や国際会議等の場も活用した要人の会談を積極的に実施した。9月には、ニューヨーク(米国)で安倍総理大臣主催の第3回日・アフリカ地域経済共同体(RECs)議長国首脳会合を開催し、アフリカの地域レベルでも協力を強化していくことを確認した。アフリカ連合(AU)との協力も深化している。
エボラ出血熱の流行やイスラム過激派組織ボコハラムなどの地域の課題については、G7などのパートナー国とも緊密に連携して対応した。