第5節 ロシア、中央アジアとコーカサス
アジア太平洋地域の戦略環境が変化する中、同地域におけるパートナーとしてふさわしい関係をロシアと構築することは、日本の国益及び地域の平和と繁栄に資する。このような認識の下、2015年には、2回の首脳会談、岸田外務大臣のロシア訪問(日露外相会談、貿易経済に関する日露政府間委員会第11回会合)を始め、様々なレベルで対話が行われた。安全保障分野では地域及び国際問題につき議論が行われ、経済分野ではエネルギー(含む省エネ)、医療、農業や都市環境の分野での協力が進展し、文化・人的交流分野では日露青年交流事業や日本文化紹介行事の実施等、幅広い分野の協力が着実に進展した。
日露間最大の懸案である北方領土問題については、約1年9か月ぶりに次官級平和条約締結交渉が行われ、歴史的・法的な側面を含め、様々な論点につき、率直かつ詳細な意見交換が行われた。
日露両国は、最も適切な時期のプーチン大統領の訪日を目指して準備を進めること、引き続き首脳レベルの対話を続けることを確認している。今後も、政治対話を積み重ねつつ、幅広い分野での日露協力を進める中で、領土問題を解決し平和条約を締結すべく、引き続きロシアとの交渉に精力的に取り組む方針である。
中央アジア・コーカサス諸国は、アジア、欧州、ロシア及び中東を結ぶ地政学的な要衝に位置し、石油、天然ガス、鉱物などの天然資源が豊富である。また、この地域は、同諸国を含む地域全体の安定、テロとの闘い、麻薬対策といった国際社会が直面する重要課題に取り組んでいく上で、今後も重要性が高い。
2015年10月、安倍総理大臣は中央アジア5か国を訪問した。各国大統領との間で首脳会談を行い、二国間関係の抜本的な強化、中央アジア地域共通の課題に日本が積極的に関与していくこと、グローバルな舞台で協力していくことを確認した。