外交青書・白書
第2章 地球儀を俯瞰する外交

第7節 サブサハラ・アフリカ

総論

アフリカは、豊富な資源や10億人の人口などを背景に、2000年代には平均約6%の高い経済成長を遂げている。同時に、アフリカが抱える貧困や格差、紛争などの課題の解決は、依然として国際社会の主要関心事の1つである。

こうした中、①輸入先、製造拠点、消費市場などの面で大きな潜在性を有するアフリカとの貿易・投資拡大を通じた日本経済への活力取り込み、②アフリカの貧困や格差、紛争やテロといった課題の解決への貢献を通じた国際社会の日本に対する信頼の獲得、③国際社会での発言力を増すアフリカとの関係強化を通じた国際場裏における日本への支持獲得といった観点から、日本外交にとってのアフリカの重要性は一層増している。

2013年から2014年初頭にかけては、こうした対アフリカ外交の重要性を踏まえ、首脳レベルの相互往来が活発に展開された。2013年6月には、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)への参加のため、アフリカの39人の首脳級が訪日した。民間セクター主導による経済成長の重要性を議論した同会議で、安倍総理大臣からは、官民による最大約3.2兆円(うちODA約1.4兆円)の取組を含む支援策を発表し、開発、平和と安定といった分野を包含するアフリカの「質の高い成長」の実現に向けて貢献していくことを表明した。2014年1月には、安倍総理大臣が、現職の総理大臣として8年ぶりとなるアフリカ歴訪(コートジボワール、モザンビーク、エチオピア)を行い、コートジボワールに集まった周辺10か国を含む合計13か国の首脳との信頼関係を強化した。さらに、安倍総理大臣は、エチオピアでアフリカ全体に向けて行った政策スピーチにおいて、日本こそがアフリカが選ぶべきパートナーであるとして、日本の支援や投資の魅力を訴えた。このほか、延べ33の民間企業などの代表の同行を得て、訪問各国で日本とのビジネス関係強化に向けたトップセールスを推進した。また、地域及び世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していくとの「積極的平和主義」の考えを説明するとともに、アフリカの紛争・災害への対応のため、約3.2億米ドルの支援の用意があることを表明した。

2013年のその他の取組としては、貿易・投資促進のための官民合同ミッションのコンゴ共和国、ガボン、コートジボワールへの派遣(11月~12月)、平和と安定の実現に向けたアフリカPKO訓練センターへの支援(通年)、アフリカとの関係強化のための南スーダン大使館の設立(7月)などが挙げられる。

一方で、2013年は、12月5日に、自由と平等という普遍的価値の実現に生涯を捧げたマンデラ元南アフリカ大統領の逝去というアフリカにおける偉人を失った年でもあった。10日にヨハネスブルグで開催された追悼式典には、日本から皇太子殿下が御参列になったほか、福田元総理大臣(特派大使)が出席し、マンデラ元大統領に対して哀悼の意が表明された。

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