外務省は、日本の外交政策等に対する国民の理解と支持を得るために、新聞・テレビ・インターネットなどの各種メディアを通じた的確な情報発信に努めている。具体的には、原則毎日行われる外務大臣、外務副大臣、外務報道官の記者会見のほか、各種の外交案件について随時発出している外務大臣談話、外務報道官談話又は外務省報道発表など、口頭、文書等様々な形での説明、情報発信を行っている。なお、大臣などの記者会見は、インターネットメディアやフリーランス記者等にも開放するとともに、2012年1月には日本政府の立場や外交方針を日本国内だけでなく、広く国際社会に迅速かつ正確に発信できるよう、外務省記者会見室で行う大臣記者会見において日英同時通訳を開始した。このほか外務省は、外務大臣の主要な外国訪問に際して、その内容・成果を国民に分かりやすく伝えるため外務省ホームページ上で、その動画を公開している。
また、有識者に対する外交関連情報のメールマガジンの配信、地方メディア関係者への外交関連情報の提供、各地方出身の外務省幹部の地方紙インタビューの手配など、外交政策や外務省の取組をより広く国民に理解してもらうため、様々な形での情報発信・取材への協力に取り組んでいる。
なお、各種メディアの報道において事実誤認と思われるものや、説明が十分でないものが見受けられた場合には、必要に応じて当該メディアに報道の訂正を求めるほか、外務省の見解を寄稿したり、記者会見で表明した上で、外務省ホームページに掲載するなど、国民の正確な理解の促進に努めている。
外務大臣記者会見 | 81回 |
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外務副大臣記者会見 | 70回 |
外務報道官記者会見 | 35回 |
合計 | 186回 |
※2011年1月1日~12月31日
外務大臣談話 | 41件 |
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外務報道官談話 | 87件 |
外務省報道発表 | 1,469件 |
合計 | 1,597件 |
※2011年1月1日~12月31日
2011年3月、東日本大震災直後には震災関連情報を集約した特設ページを立ち上げ、以後、日本政府の対応、在日外国人へのお知らせ、各国からの支援、復興の状況などについて詳細な情報を掲載した。また、核軍縮・不拡散、気候変動、生物多様性、ミレニアム開発目標(MDGs)等、主要な外交政策について、より分かりやすく説明する政策広報をホームページ上で実施している。特に、第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP17)開催期間中は外務省ホームページに加え、専用のツイッターアカウントも利用し、迅速な情報発信に努めた。
さらに、外務省ホームページを日本の「ゲートウェイ」(入口)と位置付け、英語による情報発信の充実や世界各国にある在外公館のホームページによる現地語での情報発信に取り組んでいる。さらに、インターネットの利用技術の進展を踏まえ、セキュリティ対策に十分留意しつつ最新の技術の導入にも努めている。
外務省ホームページ(日本語版) | 約1億6,324万件 |
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外務省ホームページ(英語版) | 約4,050万件 |
合計 | 約2億374万件 |
※2011年1月1日~12月31日
開設公館数 | ※218公館 |
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言語数(日本語を含む) | 40言語 |
*出張駐在官事務所を含む ※2011年12月31日現在
外務省は、外務大臣や外務省職員が国民と直接対話を行う「国民と対話する広報」を推進している。
2002年4月以来、国民と外務大臣が直接対話を行う機会として「大臣と語る」を実施し、外務大臣が国民の関心の高いテーマや日本の外交政策の在り方について分かりやすく説明するとともに、参加者の質問や意見にも率直に答えている。
さらに、外務省が地方自治体や国際交流団体等民間団体からの申請に基づいて共催で行う「国際情勢講演会」、若い世代の国際理解を促進するため、大学や高校に外務省職員を派遣して行う「外交講座」や「高校講座」、大学生と若手外務省職員との意見交換の場である「学生と語る」などの各種講演会や、小中高生を対象に、外務省の中を実際に見学する「小中高生の外務省訪問」を実施し、それぞれ好評を博している。また、日本の外交政策や国際情勢に対する理解や関心を深めることを目的として開催される「大学生国際問題討論会」では、毎回質の高い議論が行われている。
また、日本のODA政策や具体的な取組を国民に紹介することなどを目的として、ODAについてのシンポジウム「国際協力について語ろう(2011年には3回実施)」や、外務省員を学校等に派遣する「ODA出前講座(2011年には34回実施)」を開催している。
2010年9月に創刊した外交専門誌「外交」では、学者、ジャーナリスト、NGO等の多様な論者による外交に関する活発な議論を通じ、外交に対する国民の関心を喚起するよう努めている。2011年は「日本外交の基盤は何か」というテーマで4人の外務大臣経験者にインタビューを行った特別企画や、東日本大震災に関連する特集を取り上げた。また、外交政策に関する理解を得るために分かりやすいパンフレットを作成するなど、親しみやすい広報活動にも努めている。
そのほか、外務省では、外務省ホームページや首相官邸ホームページ、電子政府の総合窓口(e-Gov)のご意見コーナー、さらに電話やファックス、書簡といった様々な媒体を通じた広聴活動を行い、寄せられた意見を外務省の幹部・政策担当部局に周知している(1)。また、国民から質問が寄せられることの多いテーマについて、外務省ホームページに掲載するなど、国民との双方向のコミュニケーションに努めている。
電子メールによる意見 | 1万2,390件 |
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電話による意見 | 4,813件 |
FAX・書簡による意見 | 747件 |
(2011年1月1日~2011年12月31日)
外務省は、戦前期の文書に加え、1976年以来、自発的な取組として戦後の外交文書を外交史料館において公開している。2010年5月、外交に対する理解と信頼を一層促進するため、「外交記録公開に関する規則」を制定するとともに、有識者の参加を得た「外交記録公開推進委員会」を設置し、作成又は取得から30年が経過した外交記録の外交史料館への移管及び公開に積極的に取り組んでいる。2011年10月までに5回の「外交記録公開推進委員会」を開催した。特に2011年秋以降、外交記録公開を加速化し、2010年5月以降2011年12月末までに移管・公開した外交記録ファイル数は3,207冊に及ぶ。
さらに、外務省は、日本の安全や他国との信頼関係、対外交渉上の利益、個人情報の保護などに配慮しつつ、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)」に基づいて情報公開を実施している。2011年には746件の開示請求が寄せられ、6万6,573ページの文書を開示した。
1 外務省は、2003年に、電話やメールによる照会や意見を受け付ける広聴室を設置し、国民から寄せられた意見を外交政策の企画・立案や業務を遂行するに当たっての参考としている。