日本の対アフリカ外交は、TICADのプロセスを重要な柱としている。TICADは、アフリカ開発をテーマとする政策フォーラムであり、1990年代前半、冷戦終結に伴って、アフリカへの関心が低下した際に、アフリカ問題の重要性を改めて喚起することを目的として、日本が主導し、1993年に第1回会議を東京で開催した。現在、2008年5月の第4回会議(TICADⅣ)が発表した日本による2012年までのアフリカ向けODA倍増などを含む「横浜行動計画」の履行に努めている。同計画の履行状況を監視するため、外務省アフリカ審議官組織内に、TICADフォローアップ事務局を設置した。「TICADⅣ年次進捗報告」を外務省ホームページで公開するなど、「横浜行動計画」の履行状況に関する透明性の確保に努めている。また、アフリカ諸国や援助諸国などとともに、対アフリカ支援の進捗状況を確認し、今後の課題などを協議・評価するため、TICAD閣僚級フォローアップ会合を毎年アフリカにおいて開催している。
5月には、セネガルで第3回TICAD閣僚級フォローアップ会合を開催し、68か国(うち、アフリカから47か国、30名の閣僚級首席代表が参加)、42の国際・地域機関、NGO16団体、民間セクターなど、約500名が参加した。同会合では、アフリカの包括的かつ持続的な経済成長の達成、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成、気候変動対策など、アフリカが直面する諸課題につき議論が行われたほか、共同議長を務めた松本外務大臣が、日本は、震災を乗り越えて、TICADⅣの公約を引き続き誠実に実行するとの決意を表明した。これに対し、アフリカ諸国からは、日本が公約を着実に実行していることへの高い評価と謝意が示された。
日本は、アフリカ向けODA倍増及び民間投資倍増支援などのTICADⅣの公約を達成するため、2011年も引き続き積極的に取り組んだ。
10月には、日本・アフリカ間の貿易・投資促進を目的とするアフリカ貿易・投資官民合同ミッションをスーダン、南スーダン及びケニアに派遣した。同使節団は、山根隆治外務副大臣が代表を務め、官民(民間企業14社を含む)から約50名が参加し、訪問国の政府、企業関係者との意見交換や視察などを行った。
野田総理大臣が、9月の国連総会の一般討論演説において正式に発表したとおり、我が国は2013年6月に横浜でTICADⅤを開催する。TICAD共催者間での会議など、TICADプロセス20周年という記念すべき年に開催されるTICADⅤに向けた準備を進めている。