3 日本社会の国際化への対応

(1)査証(ビザ)

外務省は、政府による規制改革や観光立国への取組を踏まえ、査証発給の円滑化(標準処理期間の制定、旅行代理店を通じた代理申請受理、数次査証発給対象者拡大など)に努めている。また、入国管理上の問題がないと見られる国・地域については、観光や商用のための査証を免除しており、現在、その対象は61の国・地域に上っている。

中国については、2000年から団体観光客向け査証を発給しているが、2009年7月からは、一部の在外公館において、十分な経済力を有する者とその家族に対して個人観光査証を発給している。2010年7月からは、その対象を一定の職業上の地位及び経済力を有する者とその家族へと拡大し、日中間の人的交流の発展に努めている。また、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」に基づき、2011年1月からは、新たに創設した「医療滞在ビザ」の運用を開始し、治療などの目的で訪日する外国人が入国しやすくするための措置を講じた。

その一方で、日本との経済格差を背景に、日本での不法就労を試みる外国人は後を絶たない。また、国内でも低賃金労働や性的搾取など、外国人に対する人権侵害事例が見られるため、悪用事例の多い査証申請(研修・技能実習、興行など)については一層厳格な審査を行っている。査証申請件数の増加とあいまって、査証事務量は増加し、特に中国に所在する在外公館においてこれが顕著であることから、人員の増強や査証事務効率化にも努めている。

査証発給件数の推移
査証発給件数の推移

(2)外国人受入れを巡る取組

日本に長期滞在する外国人の数(外国人登録者)は、2009年末で約218万人、総人口の約1.741%に達しており、外国人が多数居住する地域を中心に、文化・習慣や言語の違いによる地域社会との摩擦などの問題が生じている。外務省は、外国人の受入れや社会統合に関する海外の先進事例を紹介し、国民的議論を促進するために、2005年から2009年まで、毎年「外国人受入れと社会統合に関する国際シンポジウム」を開催してきたが、2010年からは、上記シンポジウムのテーマを参加者で議論し、外国人の受入れと社会統合問題に資する成果物の作成を目標とした国際ワークショップを開催している。高度人材の受入れについては、現行の外国人受入れの範囲内で、イノベーションによる経済成長(「高度人材受入推進会議」の報告書(2009年5月29日))や新たな需要及び雇用の創造(「新成長戦略」2010年6月18日閣議決定)に資することが期待される産業分野において就労する高度な能力や資質を有する外国人の受入れを促進するため、関係省庁と協議を進めている。

外国人入国者数の推移
外国人入国者数の推移
外国人登録者数の推移
外国人登録者数の推移
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