外務省は、日本の外交政策などについての国民の理解と支持を得るために、新聞・テレビ・インターネットなどの各種メディアを通じた的確な情報発信に努めている。具体的には、原則毎日行われる外務大臣、外務副大臣、外務報道官による記者会見に加え、随時、各種の案件説明(ブリーフィング)や懇談などを実施するとともに、外務大臣談話、外務報道官談話や外務省報道発表などを発信している。さらに、2009年9月29日からは、他の省庁に先駆けて、記者会見をインターネットメディアやフリーランス記者などにも開放している(いわゆる「会見のオープン化」)。また、有識者に対する外交関連情報のメールマガジンの配信や地方メディア関係者への外交関連情報の提供、各地方出身の外務省幹部の地方紙インタビューの手配など、外交政策や外務省の取組をより広く国民に御理解いただくため、様々な形での情報発信・取材協力に取り組んでいる。同様に、総理大臣や外務大臣が外国を訪問する際にも、様々な形で迅速な情報発信を心掛けている。
各種メディアの報道において事実誤認と思われるものや、説明が十分でないものが見受けられた場合、外務省は、必要に応じて当該メディアに報道の訂正を求め、あるいは外務省の見解を会見で表明の上、その旨を外務省ホームページに掲載するなど、国民の正確な理解の促進に努めている。
記者会見 | 外務大臣 | 85回 |
外務副大臣 | 77回 | |
外務報道官 | 39回 | |
外務省詰め記者へのブリーフィング | 74回 | |
論説委員へのブリーフィング | 35回 | |
解説委員へのブリーフィング | 17回 | |
外務省詰め記者との懇談(オープンルーム(注)) | 7回 | |
合計 | 334回 |
談話 | 外務大臣談話 | 25件 |
外務報道官談話 | 73件 | |
外務省報道発表(注) | 1,311件 | |
合計 | 1,409件 |
外務省は、外務省ホームページによる的確で迅速かつ分かりやすい情報の発信とその充実に取り組んでいる。特にホームページの使いやすさと見やすさに配慮し、外交政策について、国民に分かりやすい形での情報提供に努めている。
「2010年日本APEC」では、公式ホームページを開設した他、動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」、写真掲載サイト「Flickr(フリッカー)」、動画ライブ配信サイト「Ustream(ユーストリーム)」にも公式ページを設置するなど、視覚的な情報発信も積極的に行った。また、核軍縮・不拡散、気候変動、生物多様性、ミレニアム開発目標(MDGs)などさらには、尖閣諸島を巡る基本情報、主要な外交政策及びその時々の外交課題について、より分かりやすく説明する政策広報をホームページ上で実施している。
2010年12月には、外務省ホームページ内に、日本の外交政策や国益の実現に取り組む外務大臣の活動を国民に分かりやすく説明するための「外務大臣コーナー」を立ち上げ、その中の「前原外交を語る」では主要外交政策に関する外務大臣の発言を取りまとめ、「国内・海外出張履歴」では、外務大臣の訪問先を世界地図上で示すとともに、動画を掲載している。さらに、外務省ホームページを日本の「ゲートウェイ」と位置付け、英語による情報発信の充実や世界各国にある在外公館のホームページによる現地語での情報発信にも取り組んでいる。
外務省ホームページ(日本語版) | 約1億3,426万件 |
外務省ホームページ(英語版) | 約 3,585万件 |
合計 | 約1億7,011万件 |
開設公館数 | 187公館 |
言語数(日本語を含む) | 39言語 |
外務省は、外務大臣や外務省職員が国民と直接対話を行う「国民と対話する広報」を推進している。2002年4月以来、国民と外務大臣が直接対話を行う機会を設け、外務大臣が国民の関心の高いテーマや日本の外交政策の在り方について分かりやすく説明するとともに、参加者の質問や意見にも率直に答えている。
さらに、地方自治体や国際交流団体といった民間団体からの申請に基づいて、外務省と共催で行う「国際情勢講演会」、若い世代の国際理解を促進するため、大学や高校に外務省職員を派遣して行う「外交講座」・「高校講座」、大学生と若手外務省職員との意見交換の場である「学生と語る」など各種講演会を実施し、好評を博している。また、日本の外交政策や国際情勢に対する理解や関心を深めることを目的とした「大学生国際問題討論会」では、活発な議論が行われている。
政府開発援助(ODA)については、日本のODA政策や具体的取組を国民に紹介することなどを目的として、ODAについてのシンポジウム「国際協力について語ろう(2010年5回実施)」や、外務省員を学校などに派遣する「ODA出前講座(2010年29回実施)」を開催している。また、9月には外交専門誌「外交」を発行し、学者、ジャーナリスト、NGOなどの論者の幅広い参加を通じ、外交に関する活発な議論が喚起されるよう努めている。さらに、パンフレットも作成し、親しみやすい広報にも努めている。
その他、外務省では、外務省ホームページや首相官邸ホームページ、電子政府の総合窓口(e-Gov)のご意見コーナー、更に電話やファックス、書簡といった様々な媒体を通じた広聴活動を行い、国民から寄せられた意見を外務省の幹部・政策担当部局に周知している(1)。さらに、外交に関する特定のテーマについて世論調査を実施し、結果を公表している(2)。国民から質問が寄せられることの多いテーマについては、外務省ホームページに掲載するなど、国民との双方向のコミュニケーションに努めている。
電子メールによる意見 | 12,329件 |
電話による意見 | 4,444件 |
FAX・書簡による意見 | 1,291件 |
外務省は、自らの活動を国民に対して説明する責務を全うするため、日本の安全や他国との信頼関係、対外交渉上の利益、個人情報の保護などに配慮しつつ、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)」に基づき情報公開を行っている。2010年は、726件の開示請求が寄せられ、9万8,250ページ以上の文書が開示された。また、1976年以来、戦後の外交文書を外交史料館において自発的に公開してきているが、2010年5月には、いわゆる「密約」問題に関する調査結果を踏まえて、「外交記録公開に関する規則」を制定した。これを受け、有識者の参加を得て外交記録公開推進委員会を発足させ、作成又は取得から30年が経過した文書は自動的に公開するとの原則の下、外交文書の円滑かつ迅速な公開の実現に努めている。
1 外務省は、2003年に広聴室を設置し、国民から寄せられた意見を外交政策の企画・立案や業務を遂行するに当たっての参考としている。
2 2010 年2 月、外務省は、「海外安全に関する意識調査」及び「広報文化交流に関する意識調査」を実施し、調査結果をホームページで公表した。