近年のアフリカは、経済・金融危機の影響を受けつつも、先進国に比べ高い経済成長を実現している。また、多くの紛争が終結し、平和と民主化も進展しつつある。そのような中で、6月から7月にかけ、国際サッカー連盟(FIFA)が主催するサッカーFIFAワールドカップ(W杯)が、アフリカ大陸では初めて南アフリカにおいて開催され、新しいアフリカを国際社会に印象付けた。しかし、その一方で、依然としてスーダン、ソマリアなどにおいて紛争が継続しており、貧困や感染症に苦しむ人々もいまだ多い。
こうしたアフリカの現状を踏まえ、①アフリカが直面する諸課題の解決に真摯に取り組むことは、国際社会の責任ある一員である日本としての当然の責務であること、②豊富な天然資源を有する潜在的な大市場であるアフリカとの経済関係の強化は日本の経済にも重要であること、③国連安全保障理事会改革や気候変動など地球規模の課題の取組を進めるに当たりアフリカの協力が不可欠であることなどの観点から、日本外交にとってのアフリカの重要性は一層増している。2010年も、日本は、平和と安定に対する貢献及び自立と発展に対する支援を基軸として、引き続き積極的な対アフリカ政策を推進した。
平和と安定に関しては、スーダン、ソマリアといった紛争地域における平和の定着に向けた様々な協力を進めた。また、ブルンジ、タンザニアなどにおける民主化プロセスを支援するため、選挙支援や監視団の派遣を行った。さらに、アフリカの平和維持能力向上に貢献すべく、平和維持活動(PKO)訓練センター支援を継続した。
自立と発展への支援に関しては、5月に第2回アフリカ開発会議(TICAD)閣僚級フォローアップ会合をタンザニアで開催した。岡田外務大臣が共同議長を務め、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)の公約である2012年までのアフリカ向け政府開発援助(ODA)倍増、民間投資倍増支援などを日本が必ず実行するとの決意を改めて表明した。また、官民合同ミッションを派遣するなど、官民連携を通じたビジネスの促進に努めている。
また、日本は4月に、ジブチに海上自衛隊の活動を支援するための兼勤駐在官事務所を設置するなど、アフリカとの外交の関係基盤強化に努めている。