国連外交

平成29年12月15日
  • アントニオ・グテーレス国連事務総長は,12月13日から14日まで,実務訪問賓客として訪日。今回は,本年1月の国連事務総長就任後,初めての訪日。
  • 12月14日,安倍晋三内閣総理大臣と会談及び昼食会を行い,北朝鮮問題を始めとする国際情勢,国連改革及び安保理改革,グローバルな課題への取組等について意見交換を行い,国際社会における課題に対して一層緊密に連携して対応していくことで一致。
  • また,「UHCフォーラム2017」に出席してスピーチを行ったほか,国会議員との懇談・朝食会,市民社会との対話,上智大学での講演,日本記者クラブでの記者会見等の行事を行った。

主要行事の概要

1 安倍総理大臣との会談・共同記者発表,安倍総理大臣主催昼食会

14日11時35分から約80分間,安倍晋三内閣総理大臣は,グテーレス国連事務総長と会談を行った。会談後,安倍総理大臣とグテーレス国連事務総長は共同記者発表を行い,その後,安倍総理大臣主催昼食会が行われた。

(1)冒頭

安倍総理大臣から,グテーレス国連事務総長の訪日を歓迎した。また,安倍総理大臣から,UHCフォーラム2017へのグテーレス国連事務総長の出席に感謝の意を表明するとともに,国際社会が一致してユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の取組を推進するとの強いメッセージを打ち出すことができた,国連と連携してUHCを推進していきたい旨述べた。

(2)北朝鮮

(ア)安倍総理大臣とグテーレス国連事務総長は,朝鮮半島の非核化が地域の平和と安定のために不可欠であることで完全に一致した。北朝鮮が核・ミサイル開発を継続する中,国連安保理決議の完全履行の必要性や,北朝鮮との間では対話のための対話では意味がなく,非核化に向けた意味ある対話でなければならないとの認識を共有した。
(イ)安倍総理大臣から,明15日の国連安保理閣僚級会合で圧力強化に資する力強いメッセージを共に発出したい旨述べ,緊密な連携を確認した。
(ウ)安倍総理大臣からグテーレス国連事務総長に対し,拉致問題の早期解決に向け理解と協力を求め,支持を得た。

(3)国連改革

安倍総理大臣から,今日の課題に対して一層効果的に対応できるような国連を目指すグテーレス国連事務総長の改革の取組を支持しており,日本も貢献していく旨述べた。また,安倍総理大臣から,国連改革と並行して安全保障理事会の改革を進めることが不可欠であり,グテーレス事務総長のリーダーシップに期待する旨述べた。

(4)グローバルな課題

(ア)安倍総理大臣から,日本は,保健・教育・防災・女性などの持続可能な開発目標(SDGs)の主要分野で国際協力を行っている旨述べ,自らが本部長を務めるSDGs推進本部を立ち上げ,国の内外でその取組をさらに加速化しているところであると説明した。
(イ)これらの日本の取組に対してグテーレス国連事務総長から高い評価が示され,SDGsの達成に向け,今後,日本と国連が一層緊密に連携していくことで一致した。
(ウ)安倍総理大臣から,日本として,国際社会の平和と繁栄のために重要な役割を担う国連と協力しながら,引き続き国際社会が直面する様々な課題に取り組んでいく旨述べた。

2 UHCフォーラム2017

14日午前に行われた「UHCフォーラム2017」ハイレベルセッションにおいて,グテーレス国連事務総長は,ホスト国としてリーダーシップとビジョンを示した日本政府への敬意を表するとともに,UHC(注)の実現に向け,国連には,すべての人にとって利益となる国内計画の策定と実施を支援する用意がある旨述べ,2019年のUHCに関する国連総会ハイレベル会合の開催への期待を表明した。
(注)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:全ての人が生涯を通じて必要な時に基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられること。

3 中根外務副大臣主催国会議員との懇談・朝食会

14日午前に行われた中根外務副大臣主催国会議員との懇談・朝食会において,出席の国会議員の間で,日本と国連の協力関係を確認するとともに,北朝鮮問題,国連における邦人職員増加に向けた取組,安保理改革を含む国連改革,難民問題等について意見交換を行った。

4 市民社会との対話(日本女子会館)

14日午前に行われたSDGs市民社会ネットワーク参加団体との対話において,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)や保健分野における日本の市民社会の取組について,日本国内の課題に関する問題提起も含めて意見交換を行った。

5 講演・懇談等(上智大学)

14日午後,グテーレス国連事務総長は,特別講演「グローバル課題~『人間の安全保障』の役割~」(''Global Challenges: the role of human security'')を行った。その中で,グテーレス国連事務総長から,安全保障,貧困問題,テロ,気候変動,難民等,国際社会が直面する様々な課題の解決に向けて,日本が推進する概念である「人間の安全保障」がどのような役割を有しているかについて,自らの考えを述べた。
講演後,グテーレス国連事務総長は,第2回小学生/中学生「国連壁新聞」全国大会外務大臣賞及び優秀賞受賞者との記念撮影や,国連アカデミック・インパクト参加大学の学生との懇談を行った。

6 記者会見(日本記者クラブ) 

14日午後に行われた記者会見において,グテ-レス国連事務総長 から,冒頭,人間の安全保障や人道支援,人権推進における日本の役割,および,平和と安全,軍縮における多国間主義による日本のリーダーシップに対し,敬意が表された。また,国連に対し,日本が財政面のみならず紛争予防という点で政治的な支援を行っている点に対して,謝意が伝えられた。
北朝鮮については,第一に北朝鮮が国連の安保理決議を履行すること,さらに決議の履行に義務を持つ全ての国も履行することが不可欠であると強調した。また,朝鮮半島の非核化という目的に向け,安全保障理事会の結束を維持していくことが重要であり,それにより平和的な解決へ向けた外交努力が高まると述べた。
質疑応答では,事務総長就任後の成果と課題,北朝鮮,ミャンマー等についてやりとりが行われた。

7 その他の会談・表敬等

(1)上川法務大臣との懇談

14日午後に行われた上川法務大臣との懇談において,上川大臣から,持続可能な開発(SDGs)の達成に向けた法務省の取組や,2020年4月に京都で開催される国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)の準備にベストを尽くす旨述べ,これに対し事務総長は,コングレスに向けた法務省の取組を全面的にサポートする(fully support)旨述べた。

(2) 北岡独立行政法人国際協力機構(JICA)理事長による表敬

14日午前に行われた北岡JICA理事長による表敬において,平和の持続に向けてJICAが果たす役割や,国連とJICAとの連携について意見交換を行った。
 

日程

12月13日(水曜日)

到着

12月14日(木曜日)

北岡独立行政法人国際協力機構理事長による表敬
中根外務副大臣主催国会議員との懇談・朝食会
「UHCフォーラム2017」出席
(ハイレベル・セッションでのスピーチ)
市民社会との対話(日本女子会館)
安倍総理大臣との会談・共同記者発表,安倍総理大臣主催昼食会
講演・懇談等(上智大学)
記者会見(日本記者クラブ) 
上川法務大臣との懇談 
出発

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