国連外交

令和3年3月24日

 令和3年3月23日、外務省は令和2年度奥・井ノ上記念日本青少年国連訪問団(注1)オンライン・セッションを開催し、訪問団8名(注2)とジュネーブおよびケニアで活動する国連関係者等との間で意見交換を実施しました。

(写真1)オンライン・セッションの様子

1 第1部 国際機関代表部大使及び国連幹部職員による講義

 はじめに、山﨑和之・在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使から、国連と日本政府代表部の概要および役割について説明し、多数の国で課題に取り組む多国間主義は忍耐力を必要とするが、100年以上、紆余曲折しながらも前進している旨の話がありました。
 続いて、水鳥真美・防災担当国連事務次長補兼事務総長特別代表から、持続可能な開発目標(SDGs)実現に向け、「誰一人取り残さない」ために活動する国連や国連防災機関(UNDRR)の取組みについて説明し、安全保障、気候変動、人権・人道など多様な問題が複雑に関連し、繋がっている今日の世界での多国間主義の重要性について話がありました。
 訪問団参加者からは、若者の声をどのように国連に伝えればよいか、異文化コミュニケーションの方法、関心のない人々に国際問題についてどのように発信すべきか、などの質問が寄せられ、山﨑大使および水鳥特別代表との間で、学生生活や今後の取り組みへのアドバイスを含め、充実した質疑応答が行われました。

2 第2部 若手JPOとの意見交換

(写真2)オンライン・セッションの様子

 ケニアでJPO(注3)として活躍する田島大基・国連世界食糧計画(WFP)在ケニア東アフリカ地域事務所予算担当官と新井さつき・国連人口基金(UNFPA)ケニア事務所ジェンダー担当官から、それぞれ、国連を目指したきっかけや仕事のやりがいについて、写真を用いて説明がありました。訪問団参加者からはジェンダー問題、日本の文化や女性の地位の現状に関する海外での受け止めなどにつき質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。田島氏、新井氏からは、自らの経験を振り返り、いろいろな経験をしてほしいとの中高生へのメッセージが寄せられました。

 (注1)「奥・井ノ上記念日本青少年国連訪問団」
 外務省は、日本と世界の将来を担う青少年の育成を目的として、平成13(2001年)年度から(公財)日本国際連合協会との共催により標記派遣事業を実施。本事業は国連訪問や国連関係者との意見交換を通じて、世界の平和と繁栄に貢献する国連の取組や、国連を活用した日本の取組について理解を深め、国際社会で活躍するために有益な経験を積むことを目指すもの。派遣対象者は、国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト受賞者と国際理解・国際協力のための高校生主張コンクール受賞者。本事業は、当時外務省国連政策課長であった故・奥克彦大使の発案により始められたことから、イラクの平和と復興を願いつつ殉職した奥大使・井ノ上書記官の名前を平成17年より冠している。
 本年は、昨年に続き、新型コロナウィルス感染症の状況をふまえて物理的訪問は実施せず、オンライン形式で実施。

(注2)令和2年度の訪問団参加者は下記のとおり。

第60回国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト受賞者別ウィンドウで開く
外務大臣賞
平本 慶樹
石川県・北陸学院中学校2年
文部科学大臣賞
原田 祐里
東京都・目黒区立第十中学校3年
(公社)日本ユネスコ協会連盟会長賞
髙橋 麗
秋田県・秋田大学教育文化学部附属中学校3年
(公財)日本国際連合協会会長賞
高山 陽菜
大分県・別府市立鶴見台中学校2年
第67回国際理解・国際協力のための高校生主張コンクール受賞者別ウィンドウで開く
(注:第67回は作文形式で実施)
外務大臣賞
内田 万結
福岡県・八女学院高等学校1年
法務大臣賞
中村 青空
長崎県・県立波佐見高等学校2年
文部科学大臣賞
畑 すみれ
兵庫県・第一学院高等学校2年
(公財)日本国際連合協会会長賞
菊池 京子
宮崎県・都城泉ヶ丘高等学校2年

(注3)JPO(Junior Professional Officer)派遣制度別ウィンドウで開く
 各国政府の費用負担を条件に国際機関が若手人材を受け入れる制度。外務省では本制度を通じて、35歳以下の若手の日本人に対し、原則2年間国際機関で勤務経験を積む機会を提供している。現在国連関連機関で活躍する日本人職員のうち約半数がJPOの出身。


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