安倍総理大臣

平成26年5月30日
壇上で演説を行う安倍総理大臣(写真提供:内閣広報室)
モニターに映し出される安倍総理大臣(写真提供:内閣広報室)

1. 概要

(1)5月30日(金曜日),安倍総理大臣は,シンガポールにおいて開催されている第13回シャングリラ・ダイアローグ(会議自体の日程は5月30日~6月1日)の開会関連行事において,基調演説を行った。

(2)右開会行事には,リー・シンガポール首相,ヘーゲル米国防長官を始めとする各国の国防大臣やシンクタンク,メディア関係者が多数参加し,安倍総理の基調演説を傍聴した。

2.安倍総理の基調講演:「アジアの平和と安定よ永遠なれ」

安倍総理は,世界の成長センターたるアジア太平洋地域が,その潜在力を十分に発揮し,平和と安定を確固たるものにするためにも,「法の支配」が特に重要であることを強調。主要なポイントは以下のとおり。

(1)海における「法の支配」の徹底の観点から,3つの原則「(ア)法に基づく主張,(イ)「力」を用いない,(ウ)平和的解決」を提唱。南シナ海情勢におけるフィリピンとベトナムの対応を支持し,2002年の行動宣言(DOC)の精神と規定に立ち返りつつ,関係国が一方的行動をとらないよう約束すべきことを提案。また,日中両国が合意した不測の事態回避のための連絡メカニズムを実施に移すよう中国側に呼びかけた。

(2)東アジア・サミット(EAS)を地域の政治・安全保障を扱うプレミア・フォーラムとして強化するため,常設委員会の設置を提案。また日本として,ODAの戦略的活用(巡視艇の供与,専門家の派遣等),自衛隊による能力構築支援,「防衛装備移転三原則」による防衛装備協力を組み合わせ,海を守るためのASEAN諸国自身の能力をシームレスに支援していくことを表明。

(3)日本自身の取組として,「積極的平和主義」と「安保法制の再構築」の検討状況について,国連PKOにおける「駆けつけ警護」の事例に触れつつ説明。

(4)最後に,開発援助,平和構築,女性支援,人的交流等,様々な分野での日本の取組に触れつつ,日本の平和国家としての歩みは決して揺るがないこと,日本は地域のパートナーとともに「平和と繁栄への道」を歩んでいくことを明言。

3. 質疑応答

(1)基調演説後に行われた質疑応答では,(ア)EASの機能強化,(イ)日印関係,(ウ)歴史認識,(エ)尖閣問題,についての質問があり,安倍総理より応答した。

(2)中国人民解放軍関係者による総理の靖国参拝に関連した歴史認識についての質問に対しては,安倍総理より,日本は戦後70年にわたり,過去の歴史への痛切な反省の上に,自由で民主的で,人権を守り,法の支配を尊ぶ社会を作ってきた,平和国家としての歩みは今後も変わらない旨明確に述べたところ,会場の多くの参加者より拍手が起こった。

(3)また,外国メディア・シンクタンク関係者が尖閣問題について質問したのに対し,総理より,尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本の領土であること,日本はこれを有効に支配しており,解決すべき領土問題は存在しないこと,またICJへの付託については,現状に挑戦している中国が考えるべきことである旨述べた。

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