海洋安全保障

平成30年6月1日
(写真1)歓迎レセプション全体写真
(写真2)海上保安本部視察の様子

1 概要

  • (1)5月19日から25日まで,東京都及び神奈川県において,ReCAAP全締約国(日本を含む20か国)及びインドネシア及びマレーシアの海上法執行機関職員等を対象とした,第2回海賊等対策に係る海上法執行能力向上研修が実施されました。
  • (2)本研修では,外務省,防衛省,海上保安庁関係者,笹川平和財団海洋政策研究所等の外部有識者,訪日研修参加者による海上安全保障等に関する講義,日本船主協会との意見交換,海上保安制度創設70周年記念観閲式及び総合訓練見学,神奈川県・横浜市の第三管区海上保安本部,横浜海上防災基地,東京湾海上交通センター等の海上保安庁関連施設の視察等が行われました。5月21日には,薗浦健太郎内閣総理大臣補佐官主催の歓迎レセプションが行われました

2 評価

  • (1)黒木雅文事務局長がトップを務めるアジア海賊対策協定(ReCAAP)情報共有センターが上記の関係省庁と協力して本件研修を企画・実施。同センターにとっては,グローバルに活動する国際機関として,地域を越えた連携・協力強化につなげるべく,東南アジア,東アジア,南アジア,豪州,欧米の全ての締約国及び非締約国のインドネシア・マレーシアを対象とし,第1回よりもより充実した内容で本件研修を実施することができました。
  • (2)自由で開かれたインド太平洋戦略,海上交通路の安全,航行の自由,海における法の支配,海上法執行機関間の連携強化,海洋状況把握(MDA),ReCAAPの枠組みを活用した海賊・海上武装強盗対策の重要性等に関する日本の取組・考え方について,研修参加者の理解を深める機会となりました。
  • (3)今回の研修プログラムを通じて,参加各国の海上法執行能力の向上につながり,今後の実務協力の積み重ねや人的ネットワークの構築を通じた地域の連携・協力関係の更なる強化が期待されます。

(参考):アジア海賊対策協定(ReCAAP)

(1)経緯

 2001年11月,小泉総理(当時)がアジアの海賊問題に有効に対処すべく地域協力促進のための法的枠組み作成を提案。我が国主導の下,本協定の作成交渉が開始され,2004年11月に採択。2006年9月発効。

(2)協定締結状況(締約国:20か国)

 日本,シンガポール,ラオス,タイ,フィリピン,ミャンマー,韓国,カンボジア,ベトナム,インド,スリランカ,中国,ブルネイ,バングラデシュ,ノルウェー,オランダ,デンマーク,英国,オーストラリア,米国

(3)協定骨子

  • (ア)情報共有センター(ISC:Information Sharing Centre)をシンガポールに設立(2006年11月)。
  • (イ)ISCを通じた情報共有及び協力体制(容疑者,被害者及び被害船舶の発見,容疑者の逮捕,容疑船舶の拿捕,被害者の救助等の要請等)の構築。
  • (ウ)ISCを経由しない締約国同士の二国間協力の促進(犯罪人引渡し及び法律上の相互援助の円滑化,並びに能力の開発等)。

(4)我が国の関与

 我が国は現職の黒木事務局長(3代目)を含む歴代の事務局長を派遣。また,ISC設置国であるシンガポールに次ぐ第2の拠出国として,ISCによる能力構築セミナーの開催等を財政的に支援。


海洋安全保障へ戻る