女性

平成28年12月14日
1 本14日、グランドプリンスホテル新高輪において、「国際女性会議WAW!」(World Assembly for Women,略称:WAW!2016)ハイレベル・ラウンド・テーブル等が開催され、加藤勝信女性活躍・男女共同参画担当大臣、萩生田光一内閣官房副長官、安倍昭恵内閣総理大臣夫人他が出席しました。

2 オープニング・セッションでは、冒頭、加藤大臣が挨拶を行い、内閣官房副長官として第1・2回のWAW!の運営を統括していた際からのWAW!にかける熱意に言及しつつ、担当大臣を務める働き方改革について、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、女性が活躍しやすい環境整備等、その具体的な取組を発信しました。また、本年4月から完全施行となった女性活躍推進法の下、公的・民間部門の双方で女性の活躍情報の「見える化」を進めるとともに、企業に対するインセンティブとして、国の調達においてワーク・ライフ・バランス推進企業を加点評価する取組を行っている旨紹介し、日本における女性活躍の進展について最新の状況を説明しました。さらに、国際社会における日本の取組について、SDGs策定後、初のサミットとなる伊勢志摩サミット及び関連大臣会合における女性に関する議論・成果に言及し、同サミット直前に発表した「女性の活躍推進のための開発戦略」を踏まえつつ、SDGsの推進も含め、引き続き国際社会における女性の活躍推進にも貢献していく旨述べました。

3 続いて、ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁から、企業のみならず、政治・行政分野における女性の参画・リーダーシップの課題、無報酬労働を含め女性の雇用を取り巻く厳しい状況、女性に対する暴力の現状、女性の性と生殖の権利と健康等、SDGsのうち女性に関連する目標の現状と課題について幅広く紹介し、SDGsの実現に向けた行動の強化を呼びかけました。続いて、林文子横浜市長から、市長として、また、初めての女性社長となった4つの企業での経験を踏まえ、職員・社員の意識改革・育成を含めて具体的な取組事例を紹介しつつ、リーダーが率先して主導していくことの重要性を発信しました。

4 午前と午後の約3時間、「STEM分野における女性の人材育成・活躍促進」、「女性のリーダーシップの推進」、「ワーク・ライフ・マネジメント2.0」、「女性の健康を考える-特に性と生殖に関する健康と権利の向上に関連して-」及び「平和・安全保障における女性の参画とエンパワーメント」のテーマについて、5つの小グループ会合に分かれて議論が行われるとともに、午前には若者について、午後には地方創生に関するスペシャル・セッションが行われました。各会合の主な提案は以下のとおりです。

(1)「STEM分野における女性の人材育成・活躍促進」
  • STEM分野における女性の活躍推進には、様々なインフルエンサーやロールモデルを提示しながら、教育や職業における固定観念を取り除く努力を、マスコミ、教師や親を巻き込みながら早期に行うこと。
  • 活躍する女性の経験のエピソードを語り、産業界のニーズを「見える化」すること。
  • ライフステージに応じた女性の能力開発や就業継続を支援すること。
  • 産官学、国内外がパートナーシップを組み、そのような取組への機運を高めていくこと。
(2)「女性のリーダーシップの推進」
  • 組織が、女性の活躍推進に対して、透明性をもってコミットすること。その際、具体的な数値目標及びビジョンやプランをもって、コミットメントとその進捗を「見える化」できるかが鍵。
  • 企業経営を担う女性のロールモデルを発掘するとともに、管理職・役員に登用される女性の候補者を増やしていくための研修プログラムの提供などを通じ、女性に十分な育成の機会を与えること。
  • 女性の活躍推進に積極的な企業を、税制や調達制度において優遇したり、認定・表彰するなど、より一層取り組むインセンティブを付与すること。
(3)「ワーク・ライフ・マネジメント2.0」
  • 柔軟性のある働き方を導入し、それをトップが率先して実践すること。同時に、仕事の成果をどのように評価するか、データによる透明性をはかること。
  • ロールモデルの発信、メンター制度及びサポート制度の充実、メディアやデータの活用を通じ、男女間の固定的な役割分担を変えていくこと。
  • 育児休業制度や育児のための短時間勤務制度などを強化するとともに、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置を義務づける、就業継続を支援すること。これに関連し、情報通信技術(ICT)を活用したテレワークの普及も極めて重要。
(4)「女性の健康を考える-特に性と生殖に関する健康と権利の向上に関連して-」
  • 母子の健康が、本人のみならず家族や社会に大きく裨益するとの認識のもと、性と生殖の健康の確保、感染症対策や栄養改善等に取り組むこと。
  • ベストプラクティスに加え、データの整備・共有を進めること。
  • 総合的な性教育や社会規範を、青少年の関与を得つつ変えること。
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)にも関連する、性と生殖に関するサービスへのアクセス向上をはかること。
(5)「平和・安全保障における女性の参画とエンパワーメント」
  • 紛争下や災害において、性・女児のニーズをよく理解し、知識や経験を有する女性の力をもっと活かすこと。
  • そのために、各国の女性・平和・安全保障に関する「行動計画」策定を支援し、女性のリーダーシップの育成プログラムなどを提供するなどが重要。特に、PKOなどにおける女性のセンシティビティを高めるとともに、調停者としての女性の能力と自信を高めること。
(6)スペシャル・セッション1「若者が作りたいジェンダー平等社会とは」
  • 女性だけではなく、男性も共にジェンダー平等社会に貢献するべきこと。
  • 若者の声を実質的かつ恒常的に政策に反映する仕組みをつくってほしい。
  • ジェンダーに基づいた差別的な法律を撤廃すべきこと。
(7)スペシャル・セッション2「地方からのイノベーション:女性が「真」に輝く社会とは」
  • 地方で女性たちが真に輝ける環境をつくるには、意識・社会規範を変えていく必要があり、性・年齢・地域による差別が残っている中で、技能を身につけ連帯すること。
  • 外部の力も利用して新しい見方を取り入れたり、ICT等の新技術を導入する等を通じて、女性が決定権を持てるようにしていくこと。
5 各会合の間に開催された昼食会では、安倍昭恵総理大臣夫人が挨拶の中で、分断された縦社会の中で女性のつながる力を最大限発揮し、平和をつくっていくことの大切さなどについて述べました。

6 クロージング・セッションにおいて、ドルジ・チョデン・ブータン公共事業居住大臣及びライモ・ペルシネン・スウェーデン国会議員から、それぞれ挨拶が行われました。チョデン大臣は、WAW!でも共有されたとおり、女性の健康、公的・民間部門における女性の活躍推進やそのための意識改革について取組を強化することの重要性を強調しつつ、女性の活躍は、男性と競争するものではなく、平等なパートナーシップを築くものであり、この視点は開発においても重要である旨述べました。ベルシネン議員からは、スウェーデンにおける政治分野のジェンダー平等に関する取組・成果を紹介しつつ、ジェンダー平等が経済成長と繁栄にとって不可欠であるとの認識を、国際社会が共有する重要性に言及しました。続いて、5つの小グループ会合及び2つのスペシャル・セッションの報告者から、議論の概要について、いくつかの提言とともに説明されました。最後に、石兼公博外務省総合外交政策局長から、WAW!2016の議論全体を総括し、今回のWAW!で頂いた様々な提案を各国・組織に持ち帰り、日本とともに一層の行動につなげて頂きたい旨述べました。


【参考】
12月13日 【午後】  公開フォーラム
12月14日 【終日】  ハイレベル・ラウンド・テーブル
12月15日 文化行事(東京視察)
10月1日~翌年1月31日 シャイン・ウィークス

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