人権外交

日時:平成30年5月11日(金曜日)
10時~12時
場所:外務省会議室893号室

平成30年5月31日
  1. 我が国は,ビジネスと人権に関する国別行動計画策定の第一段階として,企業活動における人権保護に関する我が国の法制度や取組についての現状を確認するため,ベースラインスタディを実施してきており,5月11日,ビジネスと人権に関するベースラインスタディ意見交換会(第4回会合)が開催されました。
  2. 会合には,関係府省庁,経済界,労働界,市民社会,各種団体の関係者が出席し,政府側から,「救済へのアクセス」に関する取組等について説明しました。
  3. 議事概要は以下のとおりです。
    • (1)内閣府,消費者庁,法務省,外務省,厚生労働省から,ア 司法的救済(民事訴訟法,刑法,労働審判法,製造物責任法等),イ 非司法的救済(OECD多国籍企業行動指針に係る日本連絡窓口(日本NCP),個別法令等に基づく労働分野,障害者,消費者への対応等)等について報告がありました。
    • (2)続いて,ステークホルダー代表から,それぞれ司法的救済,非司法的救済,企業による事業レベルの苦情処理メカニズムに関連して,企業,労働者や当事者等が直面すると懸念されるリスク等及び提供されるべき救済メカニズムへのあり方への意見等に関し報告がありました。
    • (3)主な意見等は以下のとおりです。
      非司法的救済へのアクセスの改善
      司法的救済と並んで重要視されている非司法的救済メカニズムへのアクセスの拡充として,国内人権機関の設置,人権条約体による個人通報制度の導入の検討やOECD多国籍企業行動指針に係る日本連絡窓口(日本NCP)の強化が望まれる。なお,司法的救済については,法的・制度的に整備されているが,民事扶助制度が日本国民と適法滞在外国人に限られていることから,非正規滞在外国人や国外での被害者が司法的救済に実効的にアクセスできるようにする制度改善を求める意見もあった。
      情報の一元化
      個別の分野で,企業活動がもたらす人権侵害への申立てや苦情を扱う非司法的救済メカニズム等は多岐にわたっているが,各メカニズムの利用可能性を高める上で,非司法的救済メカニズム窓口を取りまとめたポータルサイトが有益。
      事業レベルの苦情処理メカニズムの普及・促進
      司法的救済や非司法的救済を補完するものとして,企業による事業レベルの苦情処理メカニズム設置が増加している一方,同メカニズム設置の促進と信頼性の確保から,政府が一定の方向性を示すことが必要であり,特に中小企業への支援が望まれる。

【参考】出席者:

(ステークホルダー:以下の組織に属する関係者)
(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
(一社)日本経済団体連合会
日本弁護士連合会
日本労働組合総連合会
ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム等
(関係府省庁)
内閣官房,内閣府,警察庁,金融庁,消費者庁,総務省,法務省,外務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省
(オブザーバー)
国際連合広報センター(UNIC Tokyo)
国際労働機関(ILO)駐日事務所
(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

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