欧州

平成30年12月8日

阿部俊子外務副大臣は,12月5日から8日までの予定でスイス連邦(ジュネーブ)及びイタリア共和国(ミラノ)を訪問し,ミラノにおいて第25回欧州安全保障協力機構(OSCE,Organization for Security and Co-operation in Europe)外相理事会に出席したところ,結果概要以下のとおりです。

1 スイス・ジュネーブ訪問

(1)12月5日,阿部副大臣は,上岡恵子・国連合同監査団監査官(Inspector,Joint Inspection Unit of the United Nations(JIU)),水鳥真美・防災担当国連事務次長補兼事務総長特別代表(防災担当),エリソン(Jane Ellison)世界保健機関組織運営担当次長(Deputy Director-General for Corporate Operations, World Health Organization (WHO)),シュワルトランダー(Bernhard Schwartländer)WHO官房長(Chef de Cabinet)及びライダー(Guy Ryder)国際労働機関事務局長(Director General of the International Labour Organization (ILO))と会談を行いました。

(2)各会談では,日本の支援に対する謝意が述べられるとともに,日本と各機関との間の協力強化や国連改革,各機関における邦人職員の増強の方途について,意見交換を行いました。

(3)更に,阿部副大臣は,現地で活躍する国際機関の邦人職員と懇談し,各機関における邦人職員増強の方途等について,意見交換を行いました。

2 OSCE外相理事会(イタリア・ミラノ)

(1)会合概要

(ア)第25回OSCE外相理事会には,加盟57か国及び「協力のためのパートナー」11か国の代表が参加し,12月6日及び7日の2日間開催されました(我が国は「協力のためのアジア・パートナー国」。)。

(イ)会合では,大多数の国がウクライナ情勢に触れ,ケルチ海峡におけるロシア国境警備局によるウクライナ海軍艦艇の拿捕の問題を含め,ウクライナ情勢の現状への懸念を表明しました。

(ウ)また,多くの国が,国境を越える脅威への対処にOSCEが重要な役割を果たし得ること,また,信頼醸成がかつてなく重要になる中,OSCEの役割はますます重要になる旨述べました。

(2)阿部副大臣の演説

(ア)阿部副大臣は,会合2日目(12月7日)に,演説を行いました。

(イ)この中で,阿部副大臣は,国際秩序に揺らぎが見られる中でアジアと欧州の安全保障は直接に影響し合う旨指摘し,法の支配の重要性を強調するとともに,OSCE選挙監視ミッションへの我が国職員の派遣や,OSCE国境管理スタッフカレッジ(BMSC,Border Management Staff College)への支援等を行っていく旨述べました。また,ケルチ海峡における事案を含むウクライナ情勢についても言及しました。

(ウ)更に,阿部副大臣は,演説において,北朝鮮問題や海洋安全保障問題を含む,東アジアの厳しい安全保障環境についても言及し,拉致問題の一日も早い解決に向けて各国に理解と協力を求めました。

3 OSCEトロイカとアジア・パートナーとの会合(イタリア・ミラノ)

(1)12月6日午後には,OSCE外相理事会のマージンで,OSCEトロイカ(注:前議長国オーストリア,現議長国イタリア,次期議長国スロバキアの三者)とアジア・パートナー国との間で,意見交換を行いました。

(2)阿部副大臣からは,我が国のインド太平洋及び中央アジア・コーカサスでの活動・取り組みを紹介するとともに,両地域における法の支配の定着や「質の高いインフラ」を通じた連結性強化の重要性を訴えました。

4 各国代表等との会談(イタリア・ミラノ)

(1)阿部副大臣は,OSCE外相理事会のマージンで,ヴィルタネン(Samuli Virtanen)フィンランド国務大臣(State Secretary of Finland)(12月6日),パリーゼク(Lukáš Parízek)スロバキア共和国外務・欧州問題副大臣(State Secretary of Foreign and European Affairs of the Slovak Republic)(12月6日)及びアブドラフマノフ(Kairat Kudaibergenuly Abdrakhmanov)カザフスタン共和国外務大臣(Minister for Foreign Affairs of the Republic of Kazakhstan)(12月7日)とそれぞれ会談を行い,二国間関係や国際場裏における協力を強化していくことで一致しました。

(2)また,阿部副大臣は,12月7日,同様にグレミンガー(Thomas Greminger)OSCE事務総長(Secreatery General)とも会談を行い,日OSCE間の協力をさらに強化していくことで一致し,グレミンガー事務総長からは,日本の貢献に対する謝意が述べられました。更に,日本が来年主催するOSCEアジア共催会議を成功させるべく,緊密に協力していくことを確認しました。加えて,最新のアジアの安全保障環境についても議論しました。

5 ミラノ大学及びミラノ日本人学校訪問

(1)12月6日,阿部副大臣は,ミラノ大学を訪問し,バルディ(Antonella Baldi)同大学副学長と意見交換を行った後,日本語学科の授業において,大阪大学外国語学部のイタリア語の教室とミラノ大学とをインターネット回線で結んで行われた学生間の意見交換に立ち会いました。

(2)また,同日,阿部副大臣は,ミラノ日本人学校を訪問し,丸田豊通・同校校長と意見交換を行った後,校内や授業を視察し,在校生と交流しました。


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