欧州安全保障協力機構(OSCE)

平成29年12月11日
OSCE外相理事会
集合写真
発言する中根外務副大臣

 12月7日から8日まで,ウィーン(オーストリア)において,第24回欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会が開催され,中根一幸外務副大臣が我が国を代表して出席したところ,概要以下のとおりです。
 また,この機会に,中根副大臣は,スロバキアのルカーシュ・パリーゼク外務・欧州問題副大臣,モルドバのアンドレイ・ガルブル副首相兼外務・欧州統合相,トーマス・グレミンガーOSCE事務総長,ラッシーナ・ゼルボ包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)事務局長と会談を行うとともに,スロバキアを訪問し,ヴォイチェフ・フェレンツ経済副大臣及びスロバキア・日本友好議員連盟メンバーとの間で会談を行いました。

1 OSCE外相理事会

  • (1)第24回OSCE外相理事会には,加盟57か国及び協力のためのパートナー11か国の各国代表が参加しました(我が国は協力のためのアジア・パートナー国)。
  • (2)会合では,大多数の参加国が,主にウクライナ情勢を挙げ,ヘルシンキ最終議定書(注)の基本原則が遵守されていない欧州の安全保障環境の現状を指摘した他,難民・移民問題やテロへの対応,また,議長国オーストリアがテーマとして掲げた「紛争緩和,信頼の再構築及び過激主義対策」に基づく諸活動やOSCEの組織力強化等について議論されました。(注 ヘルシンキ最終議定書は,1975年に合意。OSCE(当時CSCE)加盟国間での主権平等,武力行使または武力による威嚇の禁止,国境不可侵,紛争の平和的解決,人権と自由の尊重等の原則,安全保障面での信頼醸成措置の促進等に合意。)
  • (3)ウクライナ問題については,主権や領土の一体性等の原則の尊重,ミンスク合意が早期かつ確実に履行されるために関係国が協力すべきこと,ウクライナにおけるOSCE特別監視団(SMM)の活動を評価しつつ,関連地域への完全なアクセスを求める発言が相次ぎました。
  • (4)通常兵器軍備管理の重要性が指摘され,ウィーン文書改訂に向けた取り組みの継続に多数の支持がありました。
  • (5)人権・人道分野では,市民社会・NGOやメディア(表現の自由)に対する懸念が示されました。移民・難民問題関連では,次期議長国であるイタリアを中心に,地中海パートナーとの連携を重視するとの発言がありました。
  • (6)多くの国が,テロ対策,暴力的過激主義対策,サイバー分野での信頼醸成の取り組みの継続等,国境を越える脅威への対処にOSCEは重要な役割を果たし得る旨述べました。この他,連結性強化,SDGsの重視,ジェンダー主流化の重要性等について言及がありました。
  • (7)中根副大臣からは,自由で開かれたインド太平洋戦略,北朝鮮の核実験・ミサイル発射問題,ウクライナ情勢,法の支配の貫徹及び暴力的過激主義対策等について発言し,最も歴史あるパートナー国として,OSCE及び加盟国と共に国際社会の平和と安定に向け取り組む決意を表明しました(発言全文:日本語(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く)。
  • (8)第25回OSCE外相理事会を2018年12月6日及び7日にミラノ(イタリア)において開催することが決定されました。

2 バイ会談

  • (1)グレミンガー欧州安全保障協力機構(OSCE)事務総長
    12月8日(現地時間同日),中根副大臣は,グレミンガーOSCE事務総長と会談を行い,アジアと欧州の安全保障環境は不可分であり,民主主義の定着や国際社会の平和と安定のため,信頼醸成や法の支配で大きな役割を果たすOSCEと我が国との協力を継続していくことで一致しました。また,グレミンガー事務総長から,OSCEの活動に対する日本の人的・財政的貢献に対する謝意表明がありました。
  • (2)ゼルボ包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)事務局長
    12月8日(現地時間同日),中根副大臣は,ゼルボCTBTO事務局長と会談を行い,CTBTの早期発効に向け引き続き緊密に協力していくことで一致するとともに,中根副大臣より,北朝鮮に対してはあらゆる手段により圧力を最大限まで高め,北朝鮮から非核化を前提とした対話に臨まざるを得ない状況を早期に作らなければならない旨述べました。
  • (3)パリーゼク・スロバキア外務・欧州問題副大臣
  • (4)ガルブル・モルドバ副首相兼外務・欧州統合相

3 スロバキア訪問

[参考1]欧州安全保障協力機構(OSCE)
 OSCEは,北米から欧州,中央アジアの57か国が加盟する安全保障機構。外相理事会は,原則として年1回開催。日本は,協力のためのアジア・パートナー。

[参考2]包括的核実験禁止条約(CTBT)
 宇宙空間,大気圏内,水中,地下を含むあらゆる場所における核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止。国際監視制度,協議及び説明,現地査察,信頼醸成措置からなる検証制度を条約発効時までに設けることとなっている。条約発効には,日本を含む発効要件国44か国すべての批准が必要。日本は1997年に批准。


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