経済協力開発機構(OECD)
髙木外務大臣政務官のフランス共和国、エチオピア連邦民主共和国、 パレスチナ、イスラエル国訪問
2月13日から20日まで、髙木政務官は、フランス共和国、エチオピア連邦民主共和国、パレスチナ及びイスラエル国を訪問したところ、概要は以下のとおりです。
1 フランス共和国への訪問(2月13日~15日)
(1)OECD責任ある企業行動(RBC)閣僚級会合への出席


2月14日、15日、パリにてRBC閣僚級会合が開催されました。同会合は、「世界経済における責任ある企業行動の促進と実現」をテーマに、フランス、アメリカが共同議長国、カナダ、イギリス、チリ、モロッコ及び日本が副議長国を務め、コーマンOECD事務総長、OECD加盟国、多国籍企業行動指針参加国のほか、東南アジア、ラテンアメリカ、アフリカの各国や、EU、ILO、UNDP等の関連国際機関/ステークホルダー等が参加しました。
「全ての人に利益をもたらす強靱で持続可能、包摂的な世界経済をRBCがどのように促進しうるか」をテーマとした冒頭の全体会合では、髙木政務官から、中小企業を含め、RBCの実施主体である企業にとって、多国籍企業行動指針が、予測可能かつ実現可能なものであることが重要である旨述べました。また、公平な競争条件の確保のためには、RBC分野の国際スタンダードを指針非参加国に普及させていくことが不可欠であり、日本としては、東南アジアへのアウトリーチの強化を重視する旨述べました。
今次閣僚級会合の最後に採択された閣僚声明(英文(PDF)/和文仮訳(PDF)
)では、市場経済の原則、自由で公正かつ包摂的で、ルールに基づく多国間貿易システム、法の支配、人権保護、環境持続性の促進等についてのコミットメントが強調されるとともに、RBCがこれらを実現するための主要な要素であることが確認されました。
その他、RBCスタンダードの一貫性、整合性、調和、環境と気候変動、持続可能な金融、デジタル化と技術、各国連絡窓口(NCP)の強化へのコミットメント等、RBCの各分野の重要性が確認されました。
(2)国際機関、各国要人との会談
ア ファティ・ビロル国際エネルギー機関(IEA)事務局長との会談

髙木政務官は、14日、パリ訪問の機会をとらえ、ビロルIEA事務局長(Dr. Fatih Birol, Executive Director of the International Energy Agency)と意見交換を行いました。
髙木政務官から、エネルギー問題へのこれまでのIEAの貢献を評価した上で、本年のG7に向けてエネルギー分野における議論のIEAからの協力に感謝しつつ、引き続き連携したい旨発言しました。これに対して、ビロルIEA事務局長から、日本議長下におけるG7でのエネルギーの議論を全面的に支援したい旨表明がありました。
イ ナイジェル・ハドルストン英国ビジネス・貿易省閣外相との意見交換

髙木政務官は、14日、日本とともに今次RBC閣僚級会合の副議長国を務めたイギリスのハドルストン・ビジネス・貿易省閣外相(H.E. Mr. Nigel Huddleston, Minister of State at the Department for Business and Trade)と意見交換を行いました。
髙木政務官からは、本年は日本がG7議長国、英国がOECD閣僚理事会議長国であり、緊密に連携していきたい旨発言しました。これに対し、ハドルストン閣外相から、日本のG7議長国の成功に向け貢献していきたい旨述べ、OECDを含む国際場裡での協力を確認しました。
2 エチオピア連邦民主共和国への訪問(2月16日~17日)
(1)アフリカ各国ハイレベルとのバイ会談等


- ア 髙木政務官は、16日及び17日、アフリカの首脳や閣僚がアフリカ連合(AU)本部(アディスアベバに所在)に一堂に会するAU総会や閣僚執行理事会の機会を捉え、以下のAUや各国外相等との間でバイ会談を実施しました。
- ドラドラ・エスワティニ外務・国際協力大臣
- デメケ・エチオピア副首相兼外務大臣
- ネト・ペライラ・サントメ・プリンシペ外務・協力・共同体大臣
- アンマール・チュニジア外務・移民・在外チュニジア人大臣
- イモンゴ・ガボン外務副大臣
- アドム・コートジボワール外務・アフリカ統合・在外自国民大臣付閣外大臣
- マレク南スーダン外務・国際協力副大臣
- シンゴエイ・ケニア外務次官
- サッコ・アフリカ連合委員会(AUC)農業・農村開発・ブルーエコノミー・持続可能な環境担当委員
- イ これらのバイ会談において、本年がTICAD30周年に当たることを念頭に、TICAD8の成果を具体的にフォローアップするなど、日・アフリカ協力関係の重層的な強化に向けた方途につき意見交換を行いました。また、各要人との間で、安保理非常任理事国及びG7議長国として、ウクライナ情勢、北朝鮮情勢及び安保理改革を含む国際社会の諸課題に関するアフリカとの連携強化に向けて意見交換を行いました。


(2)栄養と食料安全保障に関するAU総会サイドイベント

髙木政務官は、16日、JICA及びAUDA-NEPAD共催による栄養と食料安全保障に関するサイドイベントにサッコAUC委員及びベケレ=トーマスAUDA-NEPAD(AU開発庁-アフリカ開発のための新パートナーシップ)長官とともに登壇し、「食と栄養のアフリカ・イニシアティブ(IFNA)」を通じた日本の取組やTICAD8において表明した食料支援を発信しました。
(3)エチオピア開発協力案件の視察


髙木政務官は、17日、「TICAD産業人材育成センター建設計画」において建設中のカイゼン・エクセレンス・センターを訪問し、建設状況について説明を受けるとともに同国における人材育成について意見交換を行いました。
3 パレスチナへの訪問(2月19日)
(1)アッバース大統領への表敬


19日、髙木政務官は、アッバース大統領(H.E. Dr.Mahmoud Abbas, President of Palestine)を表敬し、中東和平及び日本とパレスチナの関係強化策について意見交換を行いました。表敬において髙木政務官からは、現下、イスラエル・パレスチナ間で緊張が高まっており、衝突や暴力により多くの死傷者が出ていることに深刻な懸念を表明するとともに、日本は「二国家解決」を支持しており、引き続き日本独自の取組を通じ双方の信頼醸成等に貢献していく旨述べました。これに対し、アッバース大統領からはパレスチナの最新情勢につき説明があるとともに、日本のパレスチナへの政治的、経済的な支援に感謝する旨述べ、更なる関係強化に向け、協力していきたい旨述べました。
(2)アブー・アムロ副首相への表敬


19日、髙木政務官は、ラマッラでアブー・アムロ副首相(Dr. Ziad Abu Amr, Deputy Prime Minister of Palestine)を表敬し、日本とパレスチナの関係強化策のほか中東和平や日本のパレスチナ難民支援などについて意見交換を行いました。その後、パレスチナに対する無償資金協力「経済社会開発計画(農畜水産業関連資機材供与)」及び「感染性廃棄物管理改善計画」の署名式に出席し、挨拶及び署名立ち会いを行いました。
(3)ジェリコ訪問


19日、髙木政務官は、我が国が主導する「平和と繁栄の回廊」構想の旗艦事業である「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」を訪問し、パレスチナ側から、現在15社が稼働しているJAIPの現状について説明を受けました。また、ヒシャム宮殿遺跡大浴場保護シェルター・サイトを訪問し、パレスチナ側から同遺跡の現状について説明を受けました。
4 イスラエル国への訪問(2月20日)
(1)コーヘン外務大臣への表敬


- ア 20日、髙木政務官は、エリ・コーヘン外務大臣(H.E. Mr. Eli COHEN, Minister of Foreign Affairs)を表敬し、コーヘン大臣の就任に祝意を表し、これに対し、コーヘン大臣からは、訪問への歓迎及び就任祝意への謝意が述べられました。
- イ コーヘン大臣からは、イスラエル内政や地域情勢について説明があり、髙木政務官からは我が国が置かれた安全保障環境等について説明しました。
- ウ 双方は、来月に控える定期直行便の就航を契機として、二国間の往来が一層活発になることを期待し、引き続き関係強化に取り組んでいくことで一致しました。
(2)オハナ・クネセット(イスラエル議会)議長への表敬


- ア 20日、髙木政務官は、アミール・オハナ・クネセット議長(H.E. Mr. Amir OHANA, Speaker of the Knesset)を表敬し、オハナ議長の就任に祝意を表し、元イスラエル・日本友好議連会長であるオハナ議長の就任は大変喜ばしい旨述べました。これに対し、オハナ議長からは、就任祝意への謝意とともに、自身が昨年5月に公式議員団の一員として訪日したことに触れつつ、イスラエル訪問に対する歓迎の意が述べられました。
- イ 両者は、昨年の外交関係樹立70周年の機会における活発な要人往来等を想起し、両国の友好関係を一層発展させるべく協力していくことを確認しました。
(3)ハネグビNSC議長兼国家安全保障顧問への表敬

- ア 20日、髙木政務官は、ツァヒ・ハネグビNSC議長兼国家安全保障顧問(H.E. Mr. Tzachi HANEGBI, Head of the National Security Council and National Security Adviser)を表敬し、ハネグビ議長の就任に祝意を表しました。これに対しハネグビ議長から、就任祝意への謝意とともにイスラエル訪問に対する歓迎の意が述べられました。
- イ 両者は中東和平や地域情勢についても意見交換を行い、髙木政務官から、対話による解決に向けて、あらゆる一方的な措置を双方が控えるべきである旨指摘しました。ハネグビ議長からは、我が国が推進する「平和と繁栄の回廊」構想に対する評価が示されました。また、髙木政務官から我が国をめぐる安全保障環境等についても説明しました。
- ウ 双方は、引き続き二国間の関係強化に取り組んでいくことで一致しました。
(4)ヤド・ヴァシェム(ホロコースト博物館)訪問


20日、髙木政務官は、ヤド・ヴァシェムを訪問し、同館職員の案内でホロコーストに関連する写真、遺品および公文書等が展示されている歴史博物館や、敷地内に「正義の人」として植樹されている杉原千畝元副領事の記念樹を視察しました。