経済協力開発機構(OECD)

令和2年10月30日
(写真1)2020年OECD閣僚理事会の様子
(写真2)2020年OECD閣僚理事会で発言する鷲尾外務副大臣

 10月28日及び29日、OECD閣僚理事会(Meeting of the Council at Ministerial Level: MCM)がテレビ会議形式で開催され、我が国から、菅総理大臣が開会セッションでビデオメッセージを発信したほか、西村経済財政政策担当大臣、鷲尾外務副大臣、宗清経済産業大臣政務官が参加したところ、結果概要は以下のとおりです。

【ポイント】

  • 今回の閣僚理事会では、我が国は副議長国として、菅総理大臣を含むハイレベルが参加し、コロナからの回復に向けた課題や日本の取組等について発信しました。
  • 菅総理大臣は、(1)コロナ禍における国際連携・協力の重要性を強調し、(2)感染拡大防止と社会経済活動の回復の両立に向けOECDが政策強調の場として果たす役割に期待する旨述べた上で、(3)デジタル化や人の往来の再開に向けた我が国の取組を発信しました。
  • 鷲尾外務副大臣は、(1)政府全体でのデジタル・トランスフォーメーションの取組の加速化、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を踏まえたルール作りを後押しするOECDの活動の重要性、(2)我が国の、中長期的な医療・保健システム強化を含む国際協力の取組を強調するとともに、(3)OECDの東南アジア地域プログラム(SEARP)の取組を支持し、アジア地域へのアウトリーチを牽引していく旨発信しました。
  • 本理事会ではコロナ危機からの回復にあたり、多くの国から途上国支援を含め国際協力・連携の重要性が改めて強調され、また回復は「より良い回復」でなければならない点が指摘されました。
  • 会合最後に閣僚声明(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)が発出され、持続可能で質の高いインフラを促進することの重要性や、「DFFT」によるデジタル経済の変革の可能性を活用するためにコミットする旨への言及がありました。

1 参加国・機関

OECD加盟国:37か国(議長国:スペイン、副議長国:日本、チリ、NZ)
OECD加盟のための国内批准手続中の国:コスタリカ
キーパートナー国:ブラジル、中国、インド、インドネシア、南アフリカ
招待国:サウジアラビア、アルゼンチン、ブルガリア、クロアチア、香港、カザフスタン、モロッコ、ペルー、ルーマニア、タイ
その他:EU、BIAC、TUAC、UNCTAD、UN、UNDP、ITU、WTO他

2 主な議題と概要

 今回の閣僚理事会は、「コロナ危機からの回復への道:強力、強じん、グリーンにして包摂的な回復」(The Path to Recovery: Strong, Resilient, Green and Inclusive)をテーマに開催されました。
 初日は、開会及びリーダーズセッションの後、2つのテーマ別分科会において関係閣僚等による議論が行われ、2日目は、「強力、強じん、グリーンにして包摂的な回復に向けた国内政策及び国際協力」をテーマに全体会合が開催され、関係閣僚等による意見交換が行われました。また、成果文書として、閣僚声明が採択されました。

(1)「開会及びリーダーズセッション」(28日、菅総理大臣参加)

  • ア 冒頭、グリアOECD事務総長から開会挨拶として、コロナ禍によって生じた様々な課題に加盟国が共に取り組むにあたり、OECDの「デジタル・ハブ」構築などの取組について紹介がありました。続いて、議長国スペインのサンチェス首相が基調演説を行い、副議長国である日本、チリ及びニュージーランドからステートメントを述べました。
  • イ 菅総理大臣は、(1)コロナ禍における国際連携・協力の重要性を強調し、(2)感染拡大防止と社会経済活動の回復の両立に向けOECDが政策協調の場として果たす役割に期待する旨述べた上で、(3)デジタル化や人の往来の再開に向けた我が国の取組を発信しました。

(2-1)分科会1(28日、西村経済財政政策担当大臣参加)

  • ア 分科会1では、経済回復に向けて、コロナと共生しつつ経済活動を本格的に再開していくための持続可能な財政・金融政策や、より持続可能・強じん・包摂的な経済社会の構築に向けた経済・社会・環境の統合的なアプローチについて議論が行われました。
  • イ 西村経済財政政策担当大臣は、日本の新型コロナウイルス対応の4つの柱である(1)重症化させず、死亡者を出さない、(2)戦略的・重点的なPCR検査、(3)焦点を絞った対策、(4)世界一のスパコン等の技術の活用について説明し、データや最新の技術に基づき、感染拡大防止を図りながら、社会経済活動との両立に取り組んでいく旨発言しました。更に、ポストコロナの成長戦略でキーとなる4つの取組である(1)デジタル投資、(2)グリーン投資、(3)人への投資、(4)自由貿易の推進、について発言しました。

(2-2)分科会2(28日、宗清経済産業大臣政務官参加)

  • ア 分科会2では、「グローバリゼーションと回復」として、貿易投資の役割や、強じん性強化とグローバル・バリュー・チェーン、国際経済の協力の涵養といった観点から議論が行われました。
  • イ 宗清経済産業大臣政務官は、コロナ危機からの回復を通じて「デジタル」、「公平なグローバル環境」、「持続可能性」に代表される新たな経済社会システムを早急に構築する必要性を指摘した上で、今後OECD加盟国が注力すべきアクションとして、(1)DFFTの重要性を踏まえ、プライバシーガイドラインの見直しに向けた議論の加速や、大阪トラックを通じてデジタル経済のルール作りを進めること、(2)公平な競争条件の確保の重要性を踏まえ、鉄鋼過剰生産能力への対応に向けた協力を強化することなどを発信しました。

(2)全体会合(29日、鷲尾外務副大臣参加)

  • ア 冒頭、グリア事務総長から、OECDの「戦略的方向性」について説明が行われた後、OECD側から、コロナ禍において開発アジェンダやジェンダーの課題への取組の必要性について、それぞれ説明がありました。その後、各国の回復計画の優先順位や国際協調のあり方について議論が行われ、多くの国がコロナからの回復にあたりデジタル化を重視している旨の発言がありました。
  • イ 鷲尾外務副大臣は、(1)政府全体でのデジタル・トランスフォーメーションの取組の加速化、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)を踏まえたルール作りを後押しするOECDの活動の重要性、(2)我が国の中長期的な医療・保健システム強化を含む国際協力の取組を強調するとともに、(3)OECDの東南アジア地域プログラム(SEARP)の取組を支持し、アジア地域へのアウトリーチを牽引していく旨発信しました。

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