経済協力開発機構(OECD)
経済協力開発機構による『市場開放,成長及び雇用』の公表(G7伊勢志摩首脳宣言のフォローアップ)
平成30年4月23日
- 4月11日,経済協力開発機構(OECD)は,G7伊勢志摩首脳宣言のフォローアップとして,成長及び開発に対する貿易の積極的な役割の分析を行い,分析結果をまとめた報告書『市場開放,成長及び雇用』(Market Opening, Growth and Employment)を公表しました。
- 同報告書においては,以下の分析結果が示されています。
- (1)貿易自由化の便益として,中間財貿易や中間財コストの低下による生産ネットワークの強化や,それに伴う企業の生産性向上が重要。
- (2)生産ネットワークにおける比較優位への特化,市場アクセス改善によって,特に途上国が貿易自由化の便益を享受。
- (3)自由化協定への参加国が多いほど,貿易自由化に伴う便益は大きい。また,途上国が自由化協定に参加しつつ自らは市場開放を行わない片務的なシナリオでは,市場開放を行う場合と比べて,これら途上国自身の実質GDP等の伸び率は著しく低下。
- (4)貿易自由化によって賃金は上昇するが,労働者のセクター間移動等の調整を伴う。自由化の便益の配分はセクター間で均等ではなく,調整を促す適切な国内政策が必要。
- 同報告書は,OECDのウェブサイト
又は下記より入手いただけます。
(参考)2016年5月 伊勢志摩首脳宣言(関連部分抜粋)
- 貿易
- (中略)
- デジタル技術及びグローバル・バリュー・チェーンが世界的な物品,サービス及び投資の動きを変革する中,我々は,全てのWTO 加盟国に対し,WTO が中小企業(SMEs)を含む民間部門及びその他ステークホルダーのニーズに対応するよう建設的に取り組み,かつ,切迫感をもってジュネーブにおける交渉を再開することを呼びかける。より多くの途上国がこの変わりつつある環境からの利益を享受し始めてきている中,我々は,成長及び開発に対する貿易の積極的な役割に新たな光を当てる必要性を認識するとともに,OECD 及びその他国際機関による有益な取組に期待する。