対日投資

令和3年3月24日
(写真1)鷲尾英一郎外務副大臣からのビデオメッセージの様子
(写真2)グローバル・ビジネス・セミナー(オンライン)の様子

1 概要

  • (1)3月19日(金曜日)、外務省は、「グローバル・ビジネス・セミナー デジタル時代の投資の拡大可能性」をオンラインで開催(共催:経済産業省、協力:内閣府、JETRO)しました。
  • (2)本セミナーでは、対日直接投資の推進をテーマに、欧州・インド・米国のデジタル経済の動向、デジタル・イノベーションビジネス展開を通じた投資拡大の展望のほか、同ビジネスにおける投資先としての日本、更には地方の魅力について、日本に進出しているアジア・米国・欧州企業関係者、在京大使館、駐日経済団体・商工会議所関係者、政府・地方自治体関係者等約190名が参加し、活発な議論が行われました。(プログラム(PDF)別ウィンドウで開く

2 開会の辞、基調講演

  • (1)冒頭、鷲尾英一郎外務副大臣からビデオメッセージにて開会の辞を述べ、保護主義や内向き志向が強まる中、日本は自由貿易の旗手として、発効に至ったTPP11協定、日EU・EPA、日米貿易協定・日米デジタル貿易協定及び日英EPAやRCEP協定の署名等を通じて、自由で公正な経済圏を世界へ広げていくとともに、ポストコロナで重要性が増すデジタル分野における国際的なルール作りといった日本の取組につき説明しました。また、対日投資額の約9割を占めるアジア・米国・欧州からの投資が極めて重要であることに言及しつつ、投資環境整備を含む対日直接投資促進のための日本の取組を紹介しました。最後に東京オリンピック・パラリンピック、大阪・関西万博の機会も捉えて今後一層取組を促進していく旨述べました。(開会の辞(PDF)別ウィンドウで開く
  • (2)その後、プラヴィン・ラオ全インドソフトウェア・サービス企業協会(NASSCOM)会長がビデオメッセージにて基調講演を行い、新型コロナウイルス感染症は人々の生活に大きな影響を与えつつも、テクノロジーの重大な変化に寄与したとしつつ、5G、データとAIの民主化、サイバーセキュリティ、個人データ保護等の潮流や重要性に言及し、生涯を通じた学習及びキャパシティビルディングの必要性について述べました。また、日印両国はグローバルビジョンを共有しており、両国の相互補完的な強みを活かして、戦略的かつ特別なパートナーシップの強化に取り組んでいく旨述べました。

3 各セッションの概要

(1)パネルディスカッション

テーマ:
国境を越えたデジタル・イノベーションビジネス展開と投資動向の展望
モデレーター:
飯田陽一OECDデジタル経済政策委員会(CDEP)議長/総務省国際戦略局情報通信政策総合研究官
パネリスト:
ガガン・サバルワルNASSCOMシニアディレクター、杉原佳尭在日米国商工会議所(ACCJ)副会頭、村田聡一郎SAPジャパン株式会社IoT/IR4ディレクター、横澤誠経団連デジタルエコノミー推進委員会企画部会国際戦略WG主査/BIAC・CDEP共同委員長
  • ア サバルワルNASSCOMシニアディレクターから、スタートアップへの投資が急拡大し、イノベーションを生み出す企業に投資が集まっている現状を指摘しつつ、日本のハードウェア産業とインドのソフトウェア産業が協業すれば、世界に大きな影響を与えられる旨述べました。またデータは血液であり、今後は予見可能なルール作りが重要である旨述べました。
  • イ 続いて村田SAPジャパン株式会社IoT/IR4ディレクターからは、自社のデジタルサービスを活用し、日本が強みを持つ製造業とともに第三国へ進出するといった同社の日本進出の背景や戦略について述べました。また、信頼に基づくデータフローが実現することで、企業はグローバルに活動することができる旨指摘しつつ、今後は国境を超えた協力が重要である旨述べました。
  • ウ 杉原ACCJ副会頭から、日本は予見可能な市場であり、各地でエコシステムが生まれ、米国企業が根付いている現状を指摘しつつ、日本企業は米国企業を活用しグローバルな競争力を向上すべき旨述べました。また、DFFTを実質的にどう実現していくかが重要であり、地政学的リスクの高まりによりサプライチェーンの見直しが迫られている現在、友好国間でデジタル経済を促進し、日本がバイやマルチにおいて、リーダーシップを取っていくことを期待する旨述べました。
  • エ 横澤経団連主査から、新型コロナウイルス感染症がデジタル化の加速とニューノーマルの概念をもたらした点に言及しつつ、国境を越えた円滑な取引及び投資の拡大にはセキュリティひいては信頼と公益のバランスが重要である旨述べました。またそうした観点から、DFFTはコストやリスクの低減及び安定性に繋がる旨指摘しつつ、WTO共同声明イニシアチブ(JSI)といった友好国主義、官民連携での取組により、ルールの重複や偏りを無くしていくことが重要である旨述べました。
  • オ 最後に、飯田総務省情報通信政策総合研究官から、パートナーシップといったソフトローのアプローチにより、自由で開かれたイノベーションを促進し、デジタル経済を進展させていく重要性が確認され、日本政府は開かれた、予見可能な環境整備を通じて、デジタル・イノベーション分野の投資を拡大し、デジタル経済を進展できるよう多くのステークホルダーと連携して取り組んでいく旨述べました。

(2)自治体による講演

テーマ:
地域におけるオープンイノベーションを創出する外資誘致の取組

 神倉崇仙台市経済局産業政策部産業振興課長及び須田建太朗京都府商工労働観光部ものづくり振興課(スタートアップ担当)参事から、仙台市のオープンイノベーションを活用した防災テック事業や京都府のスタートアップ誘致・支援システム構築の取組といった各自治体の先進的な取組に関して講演し、デジタル・イノベーション分野の投資先としての魅力を発信しました。

4 閉会の辞

 三原健司経済産業省貿易経済協力局投資促進課投資交流企画官から、デジタル技術が世界各地で急速な進化を遂げ、国境を越えてデータ駆動型ビジネスが実現していく中、安心・安全なデータ流通を通じて、自由なクロスボーダー投資を推進することは、世界経済の持続的な成長を後押しする観点から重要である旨述べました。また、コロナ危機を契機としたデジタルの重要性に言及しつつ、我が国全体の「デジタル化」の担い手にもなりうる、外国のスタートアップ企業の呼び込み及び地方への投資の呼び込みを強化していく考えを説明しました。


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