経済外交
OECD日本加盟50周年記念シンポジウム「アジアと共に-半世紀後の未来に向けて」(概要)

1 安倍総理大臣による冒頭挨拶

2 木原外務大臣政務官による基調演説

3 グリアOECD事務総長による基調演説

4 パネルディスカッション

(1)第1部:50年後の世界-今取り組むべき課題は何か
主に(ア)女性に係る新たな政策と少子高齢化対策,(イ)大学を中心とする教育と労働市場の改革,及び(ウ)財政維持のための対策につき議論が行われた。
女性に係る新たな政策と少子高齢化対策については,女性の活用,ひいては社会の多様性を高めていくことの重要性が指摘され, 日本の労働市場の二重構造を解決すべく,育児,介護に関連する規制緩和の促進(移民政策含む),税制制度の見直し等が提唱された。
大学を中心とする教育と労働市場の改革については,研究分野で達成された成果が必ずしも商業化に結びついていないことに関し,多様性を確保できる教育への改革や国際的人材を育成する仕組み作りの大切さが指摘された。
財政維持のための対策については,日本の消費税8%という数字はOECD加盟国の中でも低く,基礎収支の改善には不十分であるとの指摘があり,引き続き歳出を削減するとともに,歳入の増加が課題とされた。同時に,経済の活力を維持するため,法人税引下げの必要性も指摘された。
(2)第2部:OECDと東南アジア-橋渡し役としての日本
OECDが現在東南アジアで実施しているプログラムや,フィリピン,ミャンマーにおけるOECD及び日本の活動についての紹介が行われた。また,OECD非加盟国の影響力が増す中,OECDがこれまでのプレゼンスを維持しようとすれば,アジアでのプレゼンス確保が必須であることが指摘されると同時に,中所得国の罠に陥らずに成長するためには,アジア各国が構造改革を実施し労働生産性を強化する必要であり,アジア諸国にとっても,OECDの持つ知識やデータにアクセスしやすくなることの意義が大きいことが指摘された。このほか,アジアとの協力に際しては,アジアが多様性を持つ地域であるとの認識を持つことや,現場で働く企業の意見を聞くことの重要性が指摘された。
(3)第3部:しなやかで強靱(レジリエント)な経済の構築に向けて-OECDにおける日本の役割とOECDの将来-
昨今,GDPや物価指数等の数値が取りざたされるが,経済成長はあくまで手段であり,何のための成長かということを問う必要があることが確認された。また,環境や高齢化社会に対応するためのイノベーションが十分には達成されていないことは問題であるとされ,この解決のため,女性の活用や国際社会での協力の必要性が指摘された。
日本については,アベノミクスは成長目標を掲げているが,バランスのよい環境との調和のとれた成長を目指すべきであるとの意見や,日本はより開かれた国であるべきであり,技術,知識の共有の観点からも東京オリンピック・パラリンピックを開催することになったことはすばらしいとの意見が聞かれた。