世界貿易機関(WTO)
世界貿易機関(WTO)対日貿易政策検討会合
令和8年6月1日
1 概要
5月27日及び29日の2日間、WTOにおいて、日本の貿易政策を審査する対日貿易政策検討(TPR)会合が開催されたところ、概要は以下のとおり。日本からは、髙橋克彦外務省国際貿易・経済担当大使(我が国代表団長)、永井克郎在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使(WTO常駐代表)等が出席。
- (参考)TPR会合について
- WTOでは、加盟国・地域の貿易政策・慣行につき透明性を確保し、理解を深める観点から、WTO協定に基づき、加盟国・地域の貿易政策等について、書面による質疑応答を含む貿易政策検討会合を定期的に行っている。対日審査は今回が16回目。(前回審査は2023年3月)
2 審査の流れ
- (1)書面質問
TPR会合に先立ち各加盟国・地域から約900の書面質問が日本政府に提出された。 - (2)会合1日目(5月27日)
議長を務めるネラ・ペペ・タヴィタレヴィ(Nella Pepe TAVITA-LEVY)在ジュネーブ国際機関サモア代表部大使による開会発言の後に、髙橋大使から、日本の貿易・経済政策の動向を説明した。続いて、代表討議者を務めるマイ・ファン・ズン(Phan Dung MAI)在ジュネーブ国際機関ベトナム代表部大使から日本の貿易政策・慣行に関する説明の後、64加盟国・地域から質問やコメントがあった。 - (3)会合2日目(5月29日)
髙橋大使から、1日目に各加盟国・地域から寄せられた関心事項について、我が国の立場を説明した。その後、代表討議者がこれまでの質疑応答を踏まえた論点を提示し、議長が議論を総括した。
3 我が国冒頭説明のポイント
- (1)前回審査以降、日本経済はコロナ禍による落ち込みから回復傾向にある。
- (2)2025年10月に高市内閣が発足し、「責任ある積極財政」の考え下、危機管理投資と成長投資を車の両輪とする、新たな成長型経済の実現を目指している。
- (3)WTOでは、WTO改革の議論に積極的に関与し、電子商取引交渉で共同議長国を務め、貿易と環境、貿易と開発についても具体的な提案を行ってきた。農業分野で議論にも貢献。
- (4)開発途上国支援の観点から、貿易のための援助(Aid for Trade)に取り組んだほか、特恵関税制度については後発開発途上国卒業後最大3年間の特別特恵関税の延長適用を可能とする見直しを行った。
- (5)経済連携協定を推進。日EU・EPA改正議定書の署名・発効、インドネシアとの改正議定書及びバングラデシュとのEPAの署名を行い、日本の貿易のEPAカバレッジは約80%に拡大した。
- (6)WTOルールを含む国際法との整合性を確保しつつ、経済安全保障推進法に基づき、サプライチェーン強靭化、重要インフラ保護といった諸施策を推進。
- (7)日本は多角的貿易体制に一貫してコミットし、WTO設立から30年を経た今、次の30年にふさわしい体制の再構築に向け、WTO及び世界経済の発展に取り組んでいきたい。
4 加盟国・地域から寄せられた関心事項
- (1)多くの加盟国・地域が、日本は自由貿易の旗手であり世界経済の安定性及び予見可能性に貢献、日本の貿易政策は国際的な貿易ルールに整合するバランスがとれたもの、WTO改革や交渉に積極的に関与している、として称賛した。
- (2)二国間関係では、日本との首脳・閣僚レベルの往来やFTA・EPAを含む緊密な経済関係を高く評価、引き続き日本のリーダーシップを期待する発言が多く聞かれた。
- (3)高市内閣の成長戦略、経済安全保障政策への関心が寄せられるとともに、各政策の詳細な情報提供が求められた。
- (4)農業市場へのアクセス、通関手続き、中小企業支援、女性の社会進出や労働力不足への対応、GX・DX推進、途上国支援等にも関心が寄せられた。
5 我が国最終説明のポイント
- (1)成長戦略や経済安全保障推進法の下での様々な政策は、WTOルール整合的に実施され、外国企業に対しても公平かつ公正なビジネス環境を確保している。
- (2)農産品に係る関税水準はウルグアイ・ラウンド合意を適切に実施した結果である、越境電子商取引の拡大に伴い適正な通関手続きと円滑な輸入を確保すべく見直しを進めている、国際貿易参入のための中小企業支援策を実施している、男女間賃金格差の縮小や女性の昇進でポジティブな傾向が見られる、年齢に関わらず活躍できる環境整備が進められている、等説明。
- (3)新しい時代に即したルール作りや改革に向け、今後もWTO加盟国として重要な役割を果たしていく。


