世界貿易機関(WTO)

第11回WTO閣僚会議

平成29年12月15日

  • (写真1)会合で発言する岡本政務官
    会合で発言する岡本政務官
  • (写真2)マルコーラMC11議長との会談
    マルコーラMC11議長との会談
  • (写真3)三極貿易大臣会合にて(ライトハイザー米通商代表)
    三極貿易大臣会合にて(ライトハイザー米通商代表)

 12月10日~13日,アルゼンチン・ブエノスアイレスにおいて,第11回世界貿易機関(WTO)閣僚会議(MC11)が開催されたところ,概要と評価は以下のとおり。

1 概要

  • (1)WTO閣僚会議は原則2年に1度開催されるWTOの最高意思決定機関で,今次会議には164のWTO加盟国の閣僚等が参加した。我が国からは世耕経済産業大臣,岡本外務大臣政務官,野中農林水産大臣政務官が出席。世耕経済産業大臣が全体会合において我が国を代表してスピーチした。
  • (2)我が国は今次会議において,以下のとおり積極的な取組を行った。
    • ア 分野別会合等において議論が建設的なものとなるよう貢献。特に我が国が重視する電子商取引分野については,世耕大臣が豪州のチオボー大臣,シンガポールのリム貿易大臣とともに電子商取引閣僚会合を主催。米国,EUを含む70か国が共同声明(PDF)別ウィンドウで開くに署名し,大きなモメンタムを作り出すことに成功した。また,各国の閣僚等に対して,情報通信技術(ICT)分野で今後3年間に330億円規模の支援を実施する用意があることにも言及しつつ,WTOにおいて議論を推進することの重要性を説明し協力を求めた。
    • イ 本会議への参加に加え,世耕大臣がライトハイザー米国通商代表及びマルムストローム欧州委員と,初の日米欧三極貿易大臣会合を主催。第三国による市場歪曲的措置に対し日米欧が連携して対応する趣旨の共同声明に合意し,米EUの間の「橋渡し」の役割を果たした。
    • ウ また,岡本政務官は,世界税関機構(WCO)やUNCTADと世界銀行,国際貿易センター(ITC)が主催する各種イベントや「貿易とジェンダーにかかる共同宣言」に賛同する閣僚の集いに我が国を代表して出席した。
    (注:岡本政務官は他に,日米欧の三極貿易大臣会合に同席し,ライトハイザー米通商代表及びマルムストローム欧州委員との関係を構築するとともに,各種会合の議場等において,シャンパーニュ加国際貿易大臣を含む出席閣僚等と懇談を行った。)
  • (3)閣僚会議の最終日まで参加閣僚による交渉を行った結果,電子商取引分野における関税不賦課のモラトリアムの延長を含む作業計画,漁業補助金に関する作業計画,並びにTRIPSの非違反申立てに係るモラトリアムの延長を決定した。また,電子商取引については我が国の主導により,米国,EUを含む70の加盟国の参加を得てWTOが電子商取引等の国際貿易の今日的課題について取り組むべきとの共同声明を発出した。さらに,零細・中小企業(MSMEs),投資円滑化といった今日的課題について,今後のWTOにおける議論を後押しする有志国の閣僚声明が発出された。

2 評価

(1)国際貿易の今日的課題への取組

 今次会議では,電子商取引や零細・中小企業(MSMEs),投資円滑化といった貿易の今日的課題について,有志国による閣僚声明という形で多数の加盟国からWTOにおいて議論を進めるべきとの意思が表明された。特に電子商取引については我が国の主導により,米国やEUといった主要加盟国や多数の途上国を含む70の加盟国が,電子商取引の貿易関連側面についての将来のWTO交渉に向けて探求的作業に取りかかる意思を表明し,WTOがこうした課題に取り組む姿勢を示したことは,今後のWTOの活動への前向きなステップとして評価できる。

(2)今後のWTO交渉につながるステップ

 今次閣僚会議(MC11)の成果文書は,全参加メンバーの合意による閣僚宣言ではなく,議長声明という形式になった。このことは先進国,途上国等立場が異なる多くの国の全会一致による合意の難しさを改めて示したと言える。そうした中でも,各加盟国からはWTOに関与し続ける姿勢は示され,電子商取引分野における関税不賦課のモラトリアムの延長を含む作業計画,漁業補助金に関する作業計画,並びにTRIPSの非違反申立てに係るモラトリアムの延長を決定し,MC11後のWTO交渉について閣僚会議としての指針が示された。しかしながら,今回議論を重ねながらも合意に至らなかった分野については,MC12に向けて議論を継続するとの課題が示された。

(3)我が国の貢献

 我が国は,自由貿易の旗手でありWTOの中心的な加盟国のひとつとして,今次会議における議論に建設的に貢献した。
 特に,電子商取引については,情報通信技術(ICT)分野で今後3年間に330億円規模の支援を実施する用意がある旨を表明。各国の閣僚に対し電子商取引についてWTOで議論を推進することの重要性を説明し協力を求めることにより,上記の共同声明の発出に向けた議論を主導した。本共同声明は,上記のとおり米国を含む70の加盟国の参加を得,我が国が広範なWTO加盟国の間を橋渡しできることを示すものとなった。
 また,日米欧の三極貿易大臣会合においては,第三国による補助金や強制的な技術移転要求等の市場歪曲的措置や保護主義的措置に対して,日米欧が連携して対応を強化していくことを確認。市場歪曲的措置の是正については,これまでもG7やG20等において繰り返し指摘されてきたが,今回日米欧の連携強化が確認されたことは,大変意義深い成果となった。


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