世界貿易機関(WTO)
原産地規則に関する協定
加盟国は、
閣僚がウルグァイ・ラウンドの多角的貿易交渉においては「世界貿易の一層の自由化及び拡大を実現すること」、「ガットの役割を強化すること」及び「変化する国際的な経済環境へのガット体制の対応を増進させること」を目標とすべきであることを千九百八十六年九月二十日に合意したことに留意し、
千九百九十四年のガットの目的を達成することを希望し、
明確な、かつ、予見可能性のある原産地規則及びその適用が国際貿易の流れを促進することを認め、
原産地規則自体が貿易に対する不必要な障害とならないことを確保することを希望し、
原産地規則が千九百九十四年のガットに基づく加盟国の権利を無効にし又は侵害しないことを確保することを希望し、
原産地規則に関する法令及び慣行に透明性を与えることが望ましいことを認め、
原産地規則の作成及び適用について、公平性、透明性、予見可能性、一貫性及び中立性を確保することを希望し、
この協定の下で生ずる紛争の迅速、効果的かつ衡平な解決のための手続及び協議の機構が利用可能であることを認め、
原産地規則を調和させ及び明
ここに、次のとおり協定する。
第一部 定義及び適用範囲
第一条 原産地規則
- 第一部から第四部までの規定の適用上、「原産地規則」とは、物品の原産国を決定するために加盟国が適用する法令及び一般に適用される行政上の決定をいう。ただし、千九百九十四年のガット第一条1の規定の適用を受けない特恵関税を供与するための自律的な又は合意に基づく貿易制度に関連する原産地規則を除く。
- 1に規定する原産地規則には、次のものの適用に当たり非特恵的な通商政策の手段において用いられるすべての原産地規則を含む。
- 千九百九十四年のガットの第一条から第三条まで並びに第十一条及び第十三条のいずれかの規定に基づく最恵国待遇
- 千九百九十四年のガット第六条の規定に基づくダンピング防止税又は相殺関税
- 千九百九十四年のガット第十九条の規定に基づくセーフガード措置
- 千九百九十四年のガット第九条の規定に基づく原産地表示の要件
- 差別的数量制限又は関税割当て
注: この2の規定は、「国内産業」若しくは「国内産業の同種の産品」又はこれらと同様の用語(その適用対象のいかんを問わない。)を定義するために行われる決定を妨げるものではない。
第二部 原産地規則の適用を律する規律
第二条 経過期間における規律
加盟国は、第四部に定める原産地規則の調和のための作業計画が完了するまでの間、次のことを確保する。
- 一般に適用される行政上の決定を行う場合において、満たされるべき要件を明確に定めること。特に、
- 関税上の分類の変更に係る基準を適用するときは、そのような原産地規則及びその例外の対象となる関税品目表の号又は項を明確に特定すること。
- 従価比率に係る基準を適用するときは、従価比率を計算する方法も原産地規則において示すこと。
- 製造作業又は加工作業に係る基準を定めるときは、物品の原産地を決定する製造作業又は加工作業を正確に特定すること。
- 自国の原産地規則を、関連する通商政策の措置又は手段のいかんを問わず、貿易の目的を追求する手段として直接又は間接に用いないこと。
- 原産地規則自体が国際貿易を制限し、
歪 め又は混乱させるような結果をもたらさないこと。原産国を決定するための前提として、原産地規則が不当に厳格な要件を課するものでないこと及び製造又は加工に関連のない一定の条件を満たすことを要求するものでないこと。ただし、(a)の規定に適合した従価比率に係る基準の適用上、製造又は加工に直接関連のない費用を含めることができる。 - 輸入品及び輸出品について適用する原産地規則が、物品が国内産品であるかないかを決定するために適用する原産地規則よりも厳しいものでないこと及び当該物品の製造者の提携関係にかかわらず、他の加盟国の間で差別的でないこと(注)。
注: 政府調達について適用する原産地規則に関しては、この(d)の規定は、千九百九十四年のガットに基づき加盟国が既に負っている義務以外の義務を生じさせるものではない。
- 原産地規則を一貫性のある、一律の、公平な、かつ、合理的な態様で運用すること。
- 原産地規則が積極的な基準に基づくこと。原産地とならない場合を示す原産地規則(消極的な基準)は、積極的な基準の明確化の一部として又は積極的な基準による原産地の決定が必要でない個別の事例において許容される。
- 原産地規則に関連する自国の法令、司法上の決定及び一般に適用される行政上の決定を千九百九十四年のガット第十条1の規定の対象となる法令及び決定と同様に公表すること。
- 必要なすべての情報が提出されている場合には、輸出者、輸入者又は正当な事由を有するいずれかの者の要請により、物品について付与することとなる原産地の認定をできる限り速やかに、遅くとも当該認定の要請の後百五十日(注)以内に行うこと。当該認定の要請については、当該物品の貿易が開始される前に受理することとするが、その後のいずれの時点においても受理することができる。当該認定を行う基礎となった事実及び条件(原産地規則を含む。)が引き続き同様である場合には、当該認定は、三年間有効とする。ただし、(j)に規定する審査において当該認定に反する決定が行われた場合には、関係当事者が事前に通知されることを条件として、当該認定は、効力を失う。当該認定は、(k)の規定に従うことを条件として、公に入手可能なものとする。
注: 世界貿易機関協定の効力発生の日から一年間に行われた要請については、加盟国は、その要請に関する認定をできる限り速やかに行うことのみが要求される。
- 原産地規則を変更し又は新たな原産地規則を導入する場合には、自国の法令が適用されるときを除くほか、当該原産地規則の変更又は新たな原産地規則について
遡 及適用(その意味は自国の法令による。)を行わないこと。 - 原産地の決定に関連してとる行政上のいかなる措置も、この決定を行う当局から独立した司法裁判所、仲裁裁判所若しくは行政裁判所又はそれらの訴訟手続であって当該決定を修正し又は覆すことができるものによって速やかに審査され得ること。
- その性質上秘密とされるべき情報又は秘密のものとして原産地規則の適用のために提供された情報が関係当局により厳重に秘密のものとして取り扱われること。関係当局が、その情報を提供した者又は政府の明示的な同意を得ないで、その情報の内容を開示しないこと。ただし、司法手続において情報の開示が要求される場合は、この限りでない。
第三条 経過期間後の規律
加盟国は、第四部に定める規則の調和のための作業計画の成果として調和のとれた原産地規則の確立を達成するというすべての加盟国の目的を考慮して、当該作業計画の結果の実施に当たり、次のことを確保する。
- 第一条に定めるすべての目的のために原産地規則を平等に適用すること。
- 原産地規則に基づき特定の物品の原産地であると決定される国は、当該物品が完全に生産された国又は、当該物品の生産に二以上の国が関与している場合には、最後の実質的な変更が行われた国のいずれかとすること。
- 輸入品及び輸出品について適用する原産地規則が、物品が国内産品であるかないかを決定するために適用する原産地規則よりも厳しいものでないこと及び当該物品の製造者の提携関係にかかわらず、他の加盟国の間で差別的でないこと。
- 原産地規則を一貫性のある、一律の、公平な、かつ、合理的な態様で運用すること。
- 原産地規則に関連する自国の法令、司法上の決定及び一般に適用される行政上の決定を千九百九十四年のガット第十条1の規定の対象となる法令及び決定と同様に公表すること。
- 必要なすべての情報が提出されている場合には、輸出者、輸入者又は正当な事由を有するいずれかの者の要請により、物品について付与することとなる原産地の認定をできる限り速やかに、遅くとも当該認定の要請の後百五十日以内に行うこと。当該認定の要請については、当該物品の貿易が開始される前に受理することとするが、その後のいずれの時点においても受理することができる。当該認定を行う基礎となった事実及び条件(原産地規則を含む。)が引き続き同様である場合には、当該認定は、三年間有効とする。ただし、(h)に規定する審査において当該認定に反する決定が行われた場合には、関係当事者が事前に通知されることを条件として、当該認定は、効力を失う。当該認定は、(i)の規定に従うことを条件として、公に入手可能なものとする。
- 原産地規則を変更し又は新たな原産地規則を導入する場合には、自国の法令が適用されるときを除くほか、当該原産地規則の変更又は新たな原産地規則について
遡 及適用(その意味は自国の法令による。)を行わないこと。 - 原産地の決定に関連してとる行政上のいかなる措置も、この決定を行う当局から独立した司法裁判所、仲裁裁判所若しくは行政裁判所又はそれらの訴訟手続であって当該決定を修正し又は覆すことができるものによって速やかに審査され得ること。
- その性質上秘密とされるべき情報又は秘密のものとして原産地規則の適用のために提供された情報が関係当局により厳重に秘密のものとして取り扱われること。関係当局が、その情報を提供した者又は政府の明示的な同意を得ないで、その情報の内容を開示しないこと。ただし、司法手続において情報の開示が要求される場合は、この限りでない。
第三部 通報、検討、協議及び紛争解決の手続に関する制度
第四条 機関
- この協定により、各加盟国の代表で構成する原産地規則に関する委員会(この協定において「委員会」という。)を設置する。委員会は、議長を選出するものとし、第一部から第四部までの規定の実施又はこれらの部に定める目的の達成に関連する事項について協議する機会を加盟国に与えるため必要に応じ(少なくとも年一回)会合し、この協定に基づく任務又は物品の貿易に関する理事会により与えられた任務を遂行する。委員会は、適当な場合には、2に規定する技術委員会に対し、この協定に関連する事項に関する情報及び助言を要請する。委員会は、また、技術委員会に対し、この協定の目的の達成のために適当と認めるその他の作業を要請することができる。世界貿易機関事務局は、委員会の事務局として行動する。
- 附属書1に定めるところにより、関税協力理事会の主催する原産地規則に関する技術委員会(この協定において「技術委員会」という。)を設置する。技術委員会は、第四部及び附属書1に定める技術的作業を実施する。技術委員会は、適当な場合には、委員会に対し、この協定に関連する事項に関する情報及び助言を要請する。技術委員会は、また、委員会に対し、この協定の目的の達成のために適当と認めるその他の作業を要請することができる。関税協力理事会事務局は、技術委員会の事務局として行動する。
第五条 原産地規則の変更又は新たな原産地規則の導入のための情報及び手続
- 加盟国は、世界貿易機関協定が自国について効力を生じた日の後九十日以内に、同協定が自国について効力を生じた日に有効な自国の原産地規則並びに原産地規則に関連する司法上の決定及び一般に適用される行政上の決定を事務局に提出する。加盟国は、過失により原産地規則を提出しなかった場合には、その事実が判明した後直ちに当該原産地規則を提出する。事務局が受領した情報であって提供し得るものの一覧表は、事務局が加盟国に送付する。
- 第二条に規定する経過期間中に原産地規則(この条の規定の適用上、事務局に提出されていないものを含め、1に規定されたすべての原産地規則を含む。)を変更し(軽微な変更を除く。)又は新たな原産地規則を導入する加盟国は、その意図を、利害関係を有する者が知ることのできるように、変更された又は新たな原産地規則の効力発生の少なくとも六十日前に公告する。ただし、当該加盟国について例外的な状況が生じ又は生ずるおそれがある場合は、この限りでない。このような例外的な場合において、当該加盟国は、当該変更された又は新たな原産地規則を可能な限り速やかに公表する。
第六条 検討
- 委員会は、この協定の目的を考慮に入れて、毎年第二部及び第三部の規定の実施及び運用について検討する。委員会は、その検討の対象となった期間における進展について物品の貿易に関する理事会に毎年通報する。
- 委員会は、第一部から第三部までの規定を検討し、及び必要に応じ、規則の調和のための作業計画の結果を反映させるための改正を提案する。
- 委員会は、技術委員会と協力の上、第九条に定める目的及び原則を考慮して、規則の調和のための作業計画の結果を検討し及びその改正を提案するための仕組みを設ける。この仕組みは、技術の変化の影響を受けた新たな生産工程を考慮するため、原産地規則を一層機能的なものとし又は最新のものとすることが必要な場合をも対象とすることができる。
第七条 協議
紛争解決了解によって詳細に定められて適用される千九百九十四年のガット第二十二条の規定は、この協定について準用する。
第八条 紛争解決
紛争解決了解によって詳細に定められて適用される千九百九十四年のガット第二十三条の規定は、この協定について準用する。
第四部 原産地規則の調和
第九条 目的及び原則
- 閣僚会議は、原産地規則を調和させること及び特に世界貿易の運営に一層の確実性を与えることを目的として、関税協力理事会との連携により、次の原則に基づき2に定める作業計画を実施する。
- 原産地規則が第一条に定めるすべての目的のために平等に適用されるべきであること。
- 原産地規則には、特定の物品の原産地であると決定される国は、当該物品が完全に生産された国又は、当該物品の生産に二以上の国が関与している場合には、最後の実質的な変更が行われた国のいずれかとすることを規定すべきであること。
- 原産地規則が客観的な、理解し易く、かつ、予見可能性のあるものであるべきであること。
- 原産地規則を、関連する措置又は手段のいかんを問わず、貿易の目的を追求する手段として直接又は間接に用いるべきではないこと。原産地規則自体が国際貿易を制限し、
歪 め又は混乱させるような結果をもたらすものであってはならないこと。原産国を決定するための前提として、原産地規則が不当に厳格な要件を課するものであってはならないこと及び製造又は加工に関連のない一定の条件を満たすことを要求するものであってはならないこと。ただし、従価比率に係る基準の適用上、製造又は加工に直接関連のない費用を含めることができる。 - 原産地規則が一貫性のある、一律の、公平な、かつ、合理的な態様で運用し得るものであるべきであること。
- 原産地規則が整合性のあるものであるべきであること。
- 原産地規則が積極的な基準に基づくべきであること。消極的な基準は、積極的な基準を明確にするために用いることができる。
作業計画
-
- 作業計画は、世界貿易機関協定の効力発生の後できる限り速やかに開始することとし、その開始後三年以内に完了するものとする。
- 第四条に規定する委員会及び技術委員会は、この作業を実施するための適当な機関とする。
- 委員会は、関税協力理事会による詳細な資料の提供が行われるようにするため、1に掲げる原則に基づき次の作業から生ずる解釈及び意見を提供するよう技術委員会に要請する。これらの作業については、規則の調和のための作業計画を適時に完了することを確保するため、統一システム品目表の種々の類又は部によって表示される産品部門ごとに実施する。
- 一の国において完全に生産された物品及び軽微な作業又は加工
技術委員会は、次の事項について調和のとれた定義を作成する。
一の国において完全に生産されたと認められる物品。このような物品について定義を作成する作業は、可能な限り具体的なものとする。
軽微な作業又は加工(ある物品に対しそれ自体では当該物品の原産地を決定しないもの)
この(i)の規定に基づく作業の結果については、委員会からの要請を受けた後三箇月以内に委員会に提出する。 - 実質的変更(関税分類の変更)
技術委員会は、実質的変更基準に基づき、特定の産品又は産品部門の原産地規則を作成するに当たって、統一システム品目表の号又は項の変更を用いること及び、適当な場合には、実質的変更基準を満たす統一システム品目表における最小限の変更について検討し、及び詳細に定める。
技術委員会は、この(ii)の規定に基づく作業の結果を少なくとも四半期ごとに委員会に提出するため、統一システム品目表の類又は部を考慮しつつ、産品に従って当該作業を割り当てる。技術委員会は、委員会からの要請を受けた後一年三箇月以内に当該作業を完了する。 - 実質的変更(補足的な基準)
統一システム品目表を用いることのみによっては実質的変更を明確に定めることができない場合には、技術委員会は、各産品部門又は個々の産品の部類について(ii)の作業を行った後、次のことを行う。
実質的変更基準に基づき、特定の産品又は産品部門の原産地規則を作成するに当たって従価比率 (注1)、製造作業又は加工作業(注2)その他の要件を補足的に又は単独で用いることについて検討し、及び詳細に定めること。注1: 従価比率に係る基準を設ける場合には、従価比率を計算する方法も原産地規則において示す。
注2: 製造作業又は加工作業に係る基準を設ける場合には、産品の原産地を決定する製造作業又は加工作業を正確に特定する。
自己の提案について必要に応じ説明を行うこと。
この(3)の規定に基づく作業の結果を少なくとも四半期ごとに委員会に提出するため、統一システム品目表の類又は部を考慮しつつ、産品に従って当該作業を割り当てること。技術委員会は、委員会からの要請を受けた後二年三箇月以内に当該作業を完了する。
- 一の国において完全に生産された物品及び軽微な作業又は加工
委員会の役割
- 1に掲げる原則に基づき、
- 委員会は、技術委員会の解釈及び意見を承認するため2(c)の(i)から(iii)までに定める時間的枠組みに従い、当該解釈及び意見を定期的に検討する。委員会は、技術委員会の作業を精
緻 若しくは入念なものとし又は新たな方法を作成するよう技術委員会に要請することができる。技術委員会を支援するため、委員会は、追加的な作業を要請する理由を提示し、及び適当な場合には代わりの方法を提案すべきである。 - 委員会は、2(c)の(i)から(iii)までに規定するすべての作業が完了した後、その結果を全体の整合性の観点から検討する
- 委員会は、技術委員会の解釈及び意見を承認するため2(c)の(i)から(iii)までに定める時間的枠組みに従い、当該解釈及び意見を定期的に検討する。委員会は、技術委員会の作業を精
規則の調和のための作業計画の結果及びその後の作業
- 閣僚会議は、この協定の不可分の一部として、規則の調和のための作業計画の結果を附属書に定める(注)。閣僚会議は、この附属書の効力発生のための時間的枠組みを定める。
注: 閣僚会議は、関税分類に関連する紛争解決に関する取決めを行うことについて同時に検討する。
附属書1 原産地規則に関する技術委員会
任務
- 技術委員会は、次の通常の任務を有する。
- 技術委員会の構成国の要請に応じ、加盟国の原産地規則の日々の運用に起因する特定の技術的事項を検討し、及び提示された事実関係を考慮に入れた問題の適切な解決についての勧告的意見を述べること。
- 物品の原産地の決定に関する問題につき、加盟国又は委員会の要請する情報及び助言を提供すること。
- この協定の運用に関する技術的側面についての定期的な報告を作成し、及び配布すること。
- 第二部及び第三部の規定の実施及び運用に関する技術的側面を毎年検討すること。
- 技術委員会は、委員会が要請するその他の任務を遂行する。
- 技術委員会は、特定の事項、特に加盟国又は委員会により付託された事項に関する作業を妥当な期間内に完了するよう努める。
代表
- 各加盟国は、技術委員会に代表を出す権利を有する。各加盟国は、技術委員会における自国の代表として、一人の代表及び一人又は二人以上の代表代理を指名することができる。技術委員会に代表を出した加盟国は、以下、技術委員会の「構成国」という。技術委員会の構成国の代表は、技術委員会の会合において顧問を同席させることができる。世界貿易機関事務局は、オブザーバーの資格で会合に出席することができる。
- 関税協力理事会の構成国であって世界貿易機関の加盟国でない国は、技術委員会の会合に一人の代表及び一人又は二人以上の代表代理を出すことができる。これらの代表及び代表代理は、技術委員会の会合にオブザーバーとして出席する。
- 関税協力理事会の事務総局長(この附属書において「事務総局長」という。)は、技術委員会の議長の承認を得て、世界貿易機関の加盟国でなく関税協力理事会の構成国でもない国の代表及び貿易に関する政府間機関の代表に対し、オブザーバーとして技術委員会の会合に出席するよう招請することができる。
- 技術委員会の会合に対する代表、代表代理及び顧問の指名については、事務総局長に通報する。
会合
- 技術委員会は、必要に応じ(少なくとも年一回)会合する。
手続
- 技術委員会は、議長を選出するものとし、その手続を定める。
附属書2 特恵に係る原産地規則に関する共同宣言
- 加盟国は、一部の加盟国が非特恵に係る原産地規則と別個の特恵に係る原産地規則を適用していることを認め、ここに次のとおり合意する。
- この共同宣言の適用上、「特恵に係る原産地規則」とは、千九百九十四年のガット第一条1の規定の適用を受けない特恵関税を供与するための自律的な又は合意に基づく貿易制度の下で、物品が特恵的な待遇を受けるための適格性の有無を決定するため加盟国が適用する法令及び一般に適用される行政上の決定をいう。
- 加盟国は、次のことを確保することを合意する。
- 一般に適用される行政上の決定を行う場合において、満たされるべき要件を明確に定めること。特に、
- 関税上の分類の変更に係る基準を適用するときは、特恵に係るそのような原産地規則及びその例外の対象となる関税品目表の号又は項を明確に特定すること。
- 従価比率に係る基準を適用するときは、従価比率を計算する方法も特恵に係る原産地規則において示すこと。
- 製造作業又は加工作業に係る基準を定めるときは、特恵に係る原産地を決定する製造作業又は加工作業を正確に特定すること。
- 特恵に係る原産地規則が積極的な基準に基づくこと。特恵に係る原産地とならない場合を示す特恵に係る原産地規則(消極的な基準)は、積極的な基準の明確化の一部として又は積極的な基準による特恵に係る原産地の決定が必要でない個別の事例において許容される。
- 特恵に係る原産地規則に関連する自国の法令、司法上の決定及び一般に適用される行政上の決定を千九百九十四年のガット第十条1の規定の対象となる法令及び決定と同様に公表すること。
- 必要なすべての情報が提出されている場合には、輸出者、輸入者又は正当な事由を有するいずれかの者の要請により、物品について付与することとなる特恵に係る原産地の認定をできる限り速やかに、遅くとも当該認定の要請の後百五十日(注)以内に行うこと。当該認定の要請については、当該物品の貿易が開始される前に受理することとするが、その後のいずれの時点においても受理することができる。当該認定を行う基礎となった事実及び条件(特恵に係る原産地規則を含む。)が引き続き同様である場合には、当該認定は、三年間有効とする。ただし、(f)に規定する審査において当該認定に反する決定が行われた場合には、関係当事者が事前に通知されることを条件として、当該認定は、効力を失う。当該認定は、(g)の規定に従うことを条件として、公に入手可能なものとする。
注: 世界貿易機関協定の効力発生の日から一年間に行われた要請については、加盟国は、その要請に関する認定をできる限り速やかに行うことのみが要求される。
- 特恵に係る原産地規則を変更し又は特恵に係る新たな原産地規則を導入する場合には、自国の法令が適用されるときを除くほか、当該特恵に係る原産地規則の変更又は特恵に係る新たな原産地規則について
遡 及適用(その意味は自国の法令による。)を行わないこと。 - 特恵に係る原産地の決定に関連してとる行政上のいかなる措置も、この決定を行う当局から独立した司法裁判所、仲裁裁判所若しくは行政裁判所又はそれらの訴訟手続であって当該決定を修正し又は覆すことができるものによって速やかに審査され得ること。
- その性質上秘密とされるべき情報又は秘密のものとして特恵に係る原産地規則の適用のために提供された情報が関係当局により厳重に秘密のものとして取り扱われること。関係当局が、その情報を提供した者又は政府の明示的な同意を得ないで、その情報の内容を開示しないこと。ただし、司法手続において情報の開示が要求される場合は、この限りでない。
- 一般に適用される行政上の決定を行う場合において、満たされるべき要件を明確に定めること。特に、
- 加盟国は、世界貿易機関協定が自国について効力を生じた日に有効な特恵に係る自国の原産地規則(自国が適用する特恵的な取極、司法上の決定及び一般に適用される行政上の決定であって当該特恵に係る原産地規則に関連するものの一覧表を含む。)を事務局に対し速やかに提出することを合意する。更に、加盟国は、特恵に係る自国の原産地規則の変更又は特恵に係る新たな原産地規則をできる限り速やかに事務局に送付することを合意する。事務局が受領した情報であって提供し得るものの一覧表は、事務局が加盟国に送付する。