世界貿易機関(WTO)
関税及び貿易に関する一般協定
附属書I 注釈及び補足規定
第一条について
1について
第一条1に定める義務で第三条2及び4の規定に関連するもの並びに第二条2(b)に定める義務で第六条の規定に関連するものは、暫定的適用に関する議定書の適用上、第二部に属するものとみなされる。
前段及び第一条1における第三条2及び4という参照は、千九百四十八年九月十四日付の関税及び貿易に関する一般協定第二部及び第二十六条を修正する議定書に定める改正が効力を生じて第三条の規定が修正された後にのみ適用する。
4について
「特恵の限度」とは、同種の産品に対する最恵国税率と特恵税率との間の絶対的な差をいうものであり、これらの税率の間の比例的な関係をいうものではない。たとえば、
- 最恵国税率が従価三十六パーセントであり、特恵税率が従価二十四パーセントであるときは、特恵の限度は、従価十二パーセントであり、最恵国税率の三分の一ではない。
- 最恵国税率が従価三十六パーセントであり、特恵税率が最恵国税率の三分の二と表示されているときは、特恵の限度は、従価十二パーセントである。
- 最恵国税率が一キログラムにつき二フランであり、特恵税率が一キログラムにつき一・五〇フランであるときは、特恵の限度は、一キログラムにつき〇・五〇フランである。
次に掲げる種類の関税上の措置は、一定の画一的手続に従つて執られるときは、特恵の限度の一搬的制限に反するものではない。
- 輸入産品に本来適用される関税上の分類又は税率が千九百四十七年四月十日に一時的に適用を停止されており、又は実施されていなかつた場合に、その関税上の分類又は税率をその産品に再適用すること。
- 特定の産品を二以上の関税項目に分類することができることを関税に関する法令で明らかに規定している場合に、その産品を千九百四十七年四月十日における関税項目と異なる関税項目に分類すること。
第二条について
2(a)について
第二条2(a)における第三条2という参照は、千九百四十八年九月十四日の日付の関税及び貿易に関する一般協定第二部及び第二十六条を修正する議定書に定める改正が効力を生じて第三条の規定が修正された後にのみ適用する。
2(b)について
第一条1についての注釈参照。
4について
直接に譲許を交渉した締約国の間に別段の明確な取極がある場合を除くほか、4の規定は、ハヴァナ憲章第三十一条の規定に照らして適用する。
第三条について
内国税その他の内国課徴金又は1に定める種類の法令若しくは要件で、輸入産品について同種の国内産品と同様に適用され、かつ、輸入の時に又は輸入の地点において徴収され又は実施されるものは、内国税その他の内国課徴金又は1に定める種類の法令若しくは要件とみなすものとし、第三条の規定の適用を受けるものとする。
1について
締約国の領域内の地方政府及び地方機関が課する内国税に対する1の規定の適用は、第二十四条の最後の項の規定に従うものとする。同項において「妥当な措置」とは、たとえば、形式的には第三条の字句に合致しないが実際にはその趣旨に合致する内国税を課する権限を地方政府に与える現行の国内法令で、その廃止が当該地方政府又は当該地方機関に重大な財政的困難をもたらすものを廃止することを要求するものではない。地方政府又は地方機関が課する内国税で第三条の字句にも趣旨にも合致しないものに関しては、「妥当な措置」とは、急激な措置が行政上の及び財政上の重大な困難を生ずるときは、締約国がそのような内国税を過渡的期間中に漸次廃止することを認めるものである。
2について
2の第一文の要件に合致する租税は、一方課税される産品と他方そのように課税されない直接的競争産品又は代替可能の産品との間に競争が行われる場合にのみ、第二文の規定に合致しないと認める。
5について
5の第一文の規定に合致する規則は、その適用を受けるすべての産品の実質的な数量が国内で生産される場合には、第二文の規定に反するとは認めない。いかなる規則も、その適用を受ける各産品に割り当てられる割合又は数量が輸入産品と国内産品との間に衡平な関係を維持していることを理由として、第二文の規定に合致する正当なものとすることはできない。
第五条について
5について
5に定める原則は、輸送料金に関し、同様の条件の下に同一の経路により輸送される同種の産品に適用される。
第六条について
1について
- 連合している商社が行う隠れたダンピング(輸入業者が、自己と連合している輸出業者の送状価格に相応する価格より低い価格で、かつ、輸出国における価格より低い価格で販売することをいう。)は、一種の価格ダンピングを構成するものとし、これに関しては、ダンピングの限度は、その輸入業者がその貨物を再販売する場合の価格に基いて計算することができる。
- 貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国ですべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、1の規定の適用上比較可能の価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとつて、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める。
2及び3について
- 税関行政における他の多くの場合と同様に、締約国は、ダンピング又は補助金の交付の疑のある場合には、それらの事実について最終的決定があるまでの間、ダンピング防止税又は相殺関税の支払のための妥当な保証(担保又は現金供託)を要求することができる。
- 複数通貨措置は、特定の場合には、3の規定に基く相殺関税によつて相殺することができる輸出補助金を構成し、又は通貨の部分的な平価切下げによりもたらされる2の規定に基く措置によつて防止することができる一種のダンピングを構成することがある。「複数通貨措置」とは、政府による措置又は政府が承認する措置をいう。
6(b)について
6(b)の規定に基く免除は、ダンピング防止税又は相殺関税を課することを申し出る締約国の申請に基いてのみ許与される。
第七条について
1について
「その他の課徴金」という表現は、輸入産品に対して又はそれに関連して課せられる内国税又は同等の課徴金を含むものとみなすべきではない。
2について
- 「実際の価格」が、送状価格に含まれない正当な費用のための負担額であつて「実際の価格」の本来の要素たるもの及び通常の競争価格からの異常な割引額その他の軽減額を送状価格に加算したものであると推定することは、第七条の規定に合致するものである。
- 締約国が、「通常の商取引において完全な競争的条件の下に」という表現を、買手と売手とが相互に独立しておらず、かつ、価格を唯一の考慮の対象としない取引を排除するものと解することは、第七条2(b)の規定に合致するものである。
- 「完全な競争的条件」という原則は、締約国が、一手取扱代理者のみに与える特別の割引を含む価格を関税上の評価のための価格として考慮しないことを妨げるものではない。
- (a)及び(b)の規定は、締約国に対し、(1)輸入貨物についての特定輸出業者の価格又は(2)同種の貨物の一般的な価格水準のいずれかを基礎として、関税上の価額を決定することを妨げるものではない。
第八条について
- 第八条の規定は、複数為替相場の使用自体については規定していないが、1及び4の規定は、複数通貨措置を実施するための手段として為替についての租税又は手数料を課することを不当とするものである。ただし、締約国が国際通貨基金の承認を得て国際収支上の理由により為替について複数手数料を課しているときは、第十五条9(a)の規定は、その締約国の立場を完全に擁護する。
- いずれかの締約国から他のいずれかの締約国への産品の輸入に際し、絶対に不可欠な限度においてのみ原産地証明書の提出を要求することは、1の規定に合致する。
第十一条、第十二条、第十三条、第十四条及び第十八条について
第十一条、第十二条、第十三条、第十四条及び第十八条を通じて、「輸入制限」又は「輸出制限」は、国家貿易の運用によつて実施される制限を含む。
第十一条について
2(c)について
2(c)において「形式のいかんを問わず」とは、加工の初期の段階にあつて保存のきかない同一の産品で、生鮮品と直接に競争し、かつ、自由に輸入されれば生鮮品に対する制限を無効にするようなものを含む。
2の最後の文について
「特別の要因」とは、国内生産者と外国生産者との間の又は外国生産者相互間の相対的生産能率の変化を含むが、この協定によつて認められない方法で人為的にもたらされる変化を含まない。
第十二条について
締約国団は、この条の規定に基く協議を行うに当つて秘密を最高度に守るように措置を執らなければならない。
3(c)(i)について
制限を課している締約国は、いずれかの締約国の経済が大いに依存している産品の輸出に著しい損害を与えることを避けるように努めなければならない。
4(b)について
締約国団が定める日を、この協定の前文、第二部及び第三部を改正する議定書により行われるこの条の改正の効力発生の日の後九十日以内とすることに合意する。もつとも、締約国団は、その時の状態が、当初の予想に反して4(b)の規定の適用に適していないと認めるときは、その後の日を決定することができる。ただし、その日は、国際通貨基金協定第八条第二項、第三項及び第四項の規定に基く義務が、同基金の加盟国である締約国でその外国貿易の合計がすべての締約国の外国貿易の総計の少くとも五十パーセントを占めるものに課せられる時の後三十日以内でなければならない。
4(e)について
4(e)の規定は、国際収支上の理由による数量制限の適用又は維持に関し、新たないかなる基準をも加えるものではないと了解される。交易条件の変化、数量制限、過度の関税及び補助金等のあらゆる外的要因で制限を課している締約国の国際収支上の困難の一因となつているものが十分に考慮されることを確保することのみが意図されている。
第十三条について
2(d)について
割当量を割り当てるための原則としての「商業的考慮」については、政府機関によるその適用が必ずしも可能ではないと認められたので、規定されていない。さらに、締約国は、可能なときは、合意するに当り、2の第一文に定める一般原則に合致してこれらの考慮を適用することができる。
4について
第十一条2の最後の文についての「特別の要因」についての注釈参照
第十四条について
1について
1の規定は、締約国団が第十二条4及び第十八条12に定める協議において輸入制限の分野における差別待遇の性質、影響及び理由を十分に考慮することを妨げるものと解してはならない。
2について
締約国が、経常的取引の結果として獲得した残高で差別待遇の措置を執らなければ利用することができないと認めるものを保持する状態は、2で考慮した状態の一である。
第十五条について
4について
「没却する」とは、たとえば、為替上の措置によるこの協定のいかなる条項の字句に対する違反も、実際にその条項の趣旨から著しく逸脱していないときは、その条項の違反とはみなされないことを意味するものである。したがつて、国際通貨基金協定に合致して運用する為替管理上の措置として自国の輸出に対する支払を自国の通貨又は国際通貨基金の加盟国の通貨によつて受けることを要求する締約国は、第十一条又は第十三条の規定に違反するとはみなされない。また、締約国が、追加的な差別待遇の要素を輸入許可制度に導入するためではなく、許容される為替管理を実施するため、当該貨物の輸入を許可する国を輸入許可証に掲げる場合も、その一例である。
第十六条について
いずれかの輸出産品が、国内消費に向けられる同種の産品に課せられる関税若しくは租税を免除されること又はそれらの関税若しくは租税が課せられたときにその額をこえない額だけ払いもどしを受けることは、補助金の交付とみなさない。
Bについて
- Bの規定は、締約国が国際通貨基金協定に従つて複数為替相場を使用することを妨げるものではない。
- Bの規定の適用上、「一次産品」とは、農業、林業若しくは漁業の産品又は鉱産物で、天然の形態のもの又は国際貿易における実質的な量の売買に備えるため慣習的に必要とされる加工を加えたものであると了解される。
3について
- 締約国が過去の代表的な期間において当該産品を輸出しなかつたという事実は、その締約国が当該産品の貿易における取分を獲得する権利を確立することを妨げるものではない。
- 輸出価格の変動に関係なく、一次産品の国内価格又はその国内生産者の収入を安定させるための制度であつて、同種の産品についての国内市場の買手に対する比較可能の価格より低い価格で当該産品を輸出のため販売することになることがあるものは、締約国団が次のことを決定するときは、3の規定の意味において輸出補助金の一形式とみなされない。
- その制度が、また、同種の産品についての国内市場の買手に対する比較可能の価格より高い価格で当該産品を輸出のため販売することにもなつたこと又はそうなるように立案されていること及び
- その制度が、生産の実効的な規制その他の方法により、不当に輸出を促進しないように、又は他の締約国の利益を著しく害しないように、運用されていること又は運用されるように立案されていること。
締約国団による前記の決定にかかわらず、前記の制度の運用の資金の全部又は一部が、当該産品の生産者から徴集した資金のほか政府資金によつてまかなわれているときは、その運用は、3の規定に従わなければならない。
4について
4の規定の趣旨は、締約国が、千九百五十七年の末日までに、残存するすべての補助金を千九百五十八年一月一日以後廃止するための合意に達するように努めるべきであり、また、それができないときは、そのような合意への到達を期待することができるその後の最も早い日まで現状維持を続けるための合意に達するように努めるべきであるということにある。
第十七条について
1について
締約国により設立され、購入又は販売に従事する貿易庁の運営は、(a)及び(b)の規定に従うものとする。
締約国により設立され、購入又は販売は行わないが民間貿易に関する規則を定める貿易庁の活動は、この協定の該当の条項によつて規制されるものとする。
この条の規定は、国家企業が、異なる市場において異なる価格で産品を販売することを妨げるものではない。ただし、その異なる価格は、輸出市場における需要供給の状況に応じて商業的理由に基いて定められるものでなければならない。
1(a)について
対外貿易の運用において品質及び能率の標準を確保するための政府の措置又は、国内天然資源の開発のために許与する特権で、当該企業の貿易活動を統制する権限を政府に与えないものは、「排他的な若しくは特別の特権」とはならない。
1(b)について
「条件付借款」を受けている国は、外国で必要物資を購入するに当り、この借款を「商業的考慮」として考慮に入れることができる。
2について
「貨物」とは、商慣行上の意味における商品に限定されるもので、役務の購入又は提供をいうものではない。
3について
締約国が3の規定に基いて行うことに同意する交渉は、輸入及び輸出に対する関税その他の課徴金の引下げ又はこの協定の規定に合致する相互に満足しうる他の取極の締結を目的として行うことができる。
(第二条4の規定及びその規定についての注釈参照)
4(b)について
4(b)の規定において「輸入差益」とは、輸入産品について輸入独占により附される価格(第三条の規定の範囲内の内国税、輸送及び分配の経費、購入、販売又は加工に伴うその他の経費並びに妥当な利潤を除く。)が陸揚価格をこえる幅を示すものである。
第十八条について
締約国団及び関係締約国は、この条の規定に基いて生ずる事項に関し秘密を最高度に守らなければならない。
1及び4について
- 締約国団は、締約国の経済が「低生活水準を維持することができるにすぎない」かどうかを審査する場合には、その国の経済の通常の状態を考慮しなければならず、また、例外的な事情、たとえばその締約国の主要輸出産品にとつて例外的に有利な状態の一時的存在から生ずる事情に基いて決定を行つてはならない。
- 「開発の初期の段階にある」という表現は、経済開発を開始したばかりの締約国のみでなく、一次産品の生産に対する過度の依存を是正するために経済が工業化の過程にある締約国にも適用される。
2、3、7、13及び22について
特定の産業の確立は、新たな産業の確立のみでなく、現存の産業の新たな生産部門の確立、現存の産業の実質的な転換及び国内需要の比較的小さい部分を充足することができるにすぎない現存の産業の実質的な拡大をも含むものとし、また、敵対行動又は天災の結果破壊され、又は実質的な損害を受けた産業の再建にも適用する。
7(b)について
7(a)にいう申請締約国以外の締約国による7(b)の規定に基く修正又は撤回は、申請締約国が措置を執つた日から六箇月以内に行うものとし、かつ、その修正又は撤回が締約国団に通告された日の後三十日目に効力を生ずる。
11について
11の第二文の規定は、締約国に対し、制限の緩和又は除去により第十八条9の規定に基く制限の強化又は新設を正当とするような状態がもたらされる場合に、その緩和又は除去を要求するものと解してはならない。
12(b)について
12(b)にいう日は、締約国団がこの協定の第十二条4(b)の規定に従って決定する日とする。
13及び14について
締約国が、14の規定に従つて措置を執ることを決定し、かつ、締約国団に通告する前に、関係産業の競争上の立場を評価するために、相当の期間を必要とするかもしれないことを認める。
15及び16について
締約国団は、Cの規定に基く措置により貿易に相当の影響を受ける締約国から要請を受けたときは、その措置を執ることを申し出た締約国に対し、16の規定に従い締約国団と協議するように勧誘すべきものと了解される。
16、18、19及び22について
- 締約国団は、申し出られた措置に特定の条件又は制限を附して同意することができるものと了解される。執られた措置が同意の要件に合致しないときは、その措置は、その合致しない限度において、締約国団が同意しなかつた措置とされる。締約国団が特定の期間についてある措置に同意する場合において、当該締約国が、その措置の当初の目的の達成のためその措置をさらに新たな期間維持することが必要であると認めるときは、その締約国は、C又はDの規定及び手続に従い、その期間の延長を締約国団に申請することができる。
- 締約国団は、締約国の経済が大いに依存している産品の輸出に著しい損害を与えると思われるような措置には原則として同意しないものと期待される。
18及び22について
「他の締約国の利益が十分に擁護されること」という表現は、それぞれの場合においてそれらの利益を擁護するための最も適当な方法を十分に考慮することを目的としている。この適当な方法としては、たとえば、C若しくはDの規定を援用する締約国がこの協定の他の条項からの逸脱が有効である間適用する追加譲許の形式又は当該措置の実施から生ずる損害と実質的に等価値の譲許の18にいう他の締約国による一時的停止の形式を採ることができる。このような締約国は、譲許の一次的停止により自国の利益を擁護する権利を有するが、この権利は、締約国団が、4(a)の規定の範囲内にはいる締約国が執る措置に関して申し出られた補償的譲許が十分であると決定したときは、行使されないものとする。
19について
19の規定は、産業が13及び14についての注釈にいう「相当の期間」をこえて存在した場合に適用することを意図するものであり、新たに確立された産業が国際収支のための輸入制限により附随的に与えられた保護によつて利益を受けた場合においても、その産業についてCの他の規定(17の規定を含む。)を援用する権利を第十八条4(a)の規定の範囲内にはいる締約国から奪うものと解してはならない。
21について
21の規定に従つて執られた措置は、17の規定に従つて執られた措置が撤回されるとき、又は、17に定める九十日の期間を経過した後に、締約国団が申し出られた措置に同意するときは、直ちに撤回しなければならない。
第二十条について
(h)について
(h)に定める例外は、経済社会理事会が千九百四十七年三月二十八日の決議第三十(4)で承認した原則に合致する商品協定にも適用する。
第二十四条について
9について
第一条の規定は、関税同盟又は自由貿易地域の構成国の領域に特恵税率で輸入された産品がその同盟又は地域の他の構成国の領域に再輸出された場合に、当該他の構成国に対し、支払済の関税とその産品がその領域に直接に輸入された場合に支払うべき一層高額の関税との差額に等しい関税の徴収を要求するものと了解される。
11について
インドとパキスタンとの間に確定的な貿易取極が締結された場合にその取極を実施するために両国が採用する措置は、この協定の目的に合致するならば、この協定の特定の規定からの逸脱を妨げられない。
第二十八条について
締約国団及び各関係締約国は、予想される関税率の変更の細目が早期に漏れることを避けるため、できる限り秘密を保つて交渉及び協議を行わなければならない。締約国団は、この条の規定の援用の結果生ずる各国の関税率のすべての変更を直ちに通報されるものとする。
1について
- 締約国団が三年の期間以外の期間を定めるときは、締約国は、その期間が満了した後の最初の日に第二十八条1又は3の規定に従つて行動することができ、締約国団が再び別の期間を定めない限り、その後の期間は、前記に定められた期間の満了後の各三年の期間とする。
- 千九百五十八年一月一日に、又は1の規定に従つて定められる他の日に、締約国が「譲許を修正し、又は撤回することができる」という規定は、その日に、又は各期間の終了後の最初の日に、第二条の規定に基くその締約国の法律上の義務が変更されることを意味するが、その締約国の関税率の変更を必ずしも前記の日に実施することを意味するものではない。この条の規定に従つて行われた交渉の結果生ずる関税率の変更が遅れるときは、補償的譲許の実施も、また、遅らせることができる。
- 該当の譲許表に含まれるいずれかの譲許の修正又は撤回を希望する締約国は、千九百五十八年一月一日又はその後のすえ置期間の最終日の六箇月前から三筒月前までの間に、その旨を締約国団に通告しなければならない。次いで、締約国団は、1にいう交渉又は協議を行う締約国を決定しなければならない。このように決定された締約国は、すえ置期間の満了前に合意に達するように、申請締約国との交渉又は協議に参加しなければならない。譲許表の保証すえ置期間の延長は、第二十八条1、2及び3の規定に基き交渉後修正された譲許表にも適用するものとする。締約国団は、千九百五十八年一月一日又は1の規定に従つて定められる他の日に先だつ六箇月の期間内に多角的関税交渉を行うように取り計らうときは、その交渉のための取極中に1に定める交渉の実施のための適当な手続を加えなければならない。
- 譲許について直接に交渉を行つた締約国のほか、主要供給国としての利益を有する締約国の交渉への参加に関する規定を設ける目的は、譲許の対象となつた産品の貿易において譲許について直接に交渉を行つた締約国より大きい取分を有する締約国が、この協定に基いて享有する締約国としての権利を保護するための有効な機会をもつことを確保することにある。一方、交渉の範囲を広げて第二十八条の規定に基く交渉及び合意を不当に困難なものとし、又は同条の規定に基く交渉の結果たる譲許に対する同条の規定の将来の適用に紛糾を生ぜしめることを意図するものではない。したがつて、締約国団は、締約国が、交渉前の相当の期間にわたり申請締約国の市場において譲許について直接に交渉を行つた締約国より大きい取分を有していたとき、又は、申請締約国が差別的数量制限を維持しなかつたならば、そのような取分を有したであろうと締約国団が判断するときに限り、当該締約国が主要供給国としての利益を有するものと決定するものとする。よつて、締約国団が、二以上の締約国又は関係国間に近似性がある例外的場合において三以上の締約国が主要供給国としての利益を有すると決定することは妥当ではない。
- 1についての注釈4における主要供給国としての利益の定義にかかわらず、締約国団は、いずれかの締約国の総輸出量の主要部分を構成する貿易が当該譲許の影響を受けるときは、その締約国が主要供給国としての利益を有すると例外的に決定することができる。
- 主要供給国としての利益を有する締約国の交渉への参加に関する規定及び申請締約国が修正若しくは撤回を求めている譲許について実質的な利害関係を有する締約国との協議に関する規定は、撤回若しくは修正を申し出た時における貿易の状態に照らし、かつ、申請締約国が維持している差別的数量制限を考慮に入れて、申請締約国が求めている撤回若しくは修正より大きい補償を与え、又はその撤回若しくは修正より大きい報復を受けるべきであるという趣旨を有するものではない。
- 「実質的利益」という表現は、正確に定義しえないものであるから、締約国団に困難を与えるかもしれない。しかし、譲許の修正若しくは撤回を求める締約国の市場において、相当の取分を有する締約国又は、自国の輸出に影響を与える差別的数量制限がなかつたならば、相当の取分を有したであろうと予想することが妥当である締約国にのみ適用するものと解することが意図されている。
4について
- 交渉を開始するための承認の要請は、必要なすべての統計その他の資料を添えて行わなければならない。この要請についての決定は、要請の提出の日から三十日以内に行うものとする。
- 比較的少数の一次産品に大きく依存し、かつ、自国の経済の多様化を促進するための重要な手段として、又は歳入の重要な源泉として、関税に依存している締約国に対し、第二十八条1の規定のみに基く譲許の修正又は撤回のための通常の交渉を行うことを承認することは、結局不必要であつたと判明するような修正又は撤回をその締約国が行うことになるかもしれないことが認められる。このような事態を避けるため、締約国団は、この協定の譲許表の安定を脅かし、国際貿易に不当な障害となるような関税水準の引上げをもたらし、又はその引上げを実質的に助長すると考える場合を除くほか、前記の締約国が4の規定に基いて交渉を開始することを承認しなければならない。
- 単一の品目又はきわめて少数の品目についての修正又は撤回のため4の規定により承認される交渉は、通常六十日以内に成立するものと期待される。もつとも、この期間は、より多数の品目についての修正又は撤回に関する交渉の場合に不十分であるから、そのような場合には、締約国団がこの期間より長い期間を定めることが適当であると認められる。
- (d)にいう決定は、申請締約国がより長い期間に同意しない限り、当該問題が締約国団に付託された後三十日以内に締約国団によつて行われるものとする。
- 申請締約国が適当な補償を提案しなかつたことが不当であるかどうかを4(d)の規定に基き決定するに際し、締約国団は、関税の大部分を著しく低い税率にすえ置いており、かつ、その限度において、補償的調整を行うための幅が他の締約国より少い締約国の特別の立場に妥当な考慮を払うものと了解される。
第二十八条の二について
3について
財政上の必要というときは、関税の収入面、特に本来収入上の目的で課せられる関税又は前記の収入関税の回避を防止するため収入関税を課せられる産品に代替することができる産品に課せられる関税の収入面を含むものと了解される。
第二十九条について
1について
ハヴァナ憲章第七章及び第八章の規定は、一般に国際貿易機関の組織、任務及び手続を取り扱つたものであるから、1の規定から除外した。
第四部について
第四部において「先進締約国」及び「低開発締約国」とは、関税及び貿易に関する一般協定の締約国である先進国及び低開発国をいうものと了解するものとする。
第三十六条について
1について
この条の規定は、第一部、第二十九条及び第三十条を改正する議定書が効力を生じた場合における同議定書1Aの規定による改正後の第一条に定める目的に基づくものである。
4について
「一次産品」には、農産物を含む。(第十六条Bについての注釈2参照)
5について
経済構造の多様化の計画には、一般に、一次産品の加工に関する活動の強化及び製造工業の開発であつて、個個の締約国の状況並びに種種の商品の生産及び消費に関する世界の事情を考慮した上で行なうものを含むものとする。
8について
「相互主義を期待しない」という表現は、この条に定める目的に従い、過去における貿易の推移を考慮した場合に低開発締約国の開発上、資金上及び貿易上の必要に合致しない寄与を低開発締約国が貿易交渉において行なうことを期待すべきではないことを意味するものと了解される。
8の規定は、第十八条A、第二十八条、第二十八条の二(第一部、第二十九条及び第三十条を改正する議定書1Aに規定する改正が効力を生じた後は、第二十九条)若しくは第三十三条の規定に従い、又はこの協定に基づくその他の手続に従つて措置が執られる場合に適用する。
第三十七条について
1(a)について
1(a)の規定は、第二十八条、第二十八条の二(第一部、第二十九条及び第三十条を改正する議定書1Aに規定する改正が効力を生じた後は、第二十九条)又は第三十三条の規定に基づく関税その他の制限的通商規整の軽減又は廃止のための交渉が行なわれる場合に適用し、また、締約国が行なうことができるこれらの軽減又は廃止のためのその他の措置に関連して適用する。
3(b)について
3(b)に規定する他の措置には、場合により、国内の経済構造の改革を促進し、特定の産品の消費を奨励し、又は貿易促進の措置を執るための方策を含むことができる。