エネルギー安全保障

(福島県いわき市等におけるCCUS/カーボンリサイクル関連施設の視察)(結果)

令和2年3月5日
 3月2日(月曜日)から3日(火曜日)にかけて,外務省は,資源エネルギー庁、東京理科大学、福島県いわき市の協力により,在京外交団を対象とした千葉県野田市、柏市、福島県いわき市におけるCCUS/カーボンリサイクル関連施設の視察(CCUS/カーボンリサイクルスタディーツアー)を実施しました。
 今回のスタディーツアーは,「福島新エネ社会構想」,「第5次エネルギー基本計画」及び「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に基づき,脱炭素化を実現するための我が国の取組を世界に発信することを目的として実施されたもので,合計5か国(5名)の大使館から参加がありました。

1 CCUS/カーボンリサイクルセミナー及び東京理科大学光触媒国際研究センター視察

(1)CCUS/カーボンリサイクルセミナー(於:東京理科大学)

(写真1)CCUS/カーボンリサイクルセミナーの様子1
(写真2)CCUS/カーボンリサイクルセミナーの様子2
 3月2日午前,東京理科大学において,CCUS/カーボンリサイクルセミナーを開催しました。産学官の代表者が一同に会し,参加外交団を含むそれぞれの代表者が脱炭素化等に向けた政策的な取組や最先端の技術開発について発表しました。本セミナーには参加外交団に加え,資源エネルギー庁,東京理科大学教員・学生,企業関係者も含め,約30名が参加し,活発な議論が行われました。

(2)光触媒国際研究センター視察

(写真3)光触媒国際研究センター視察の様子1
(写真3)光触媒国際研究センター視察の様子2
 2日,参加外交団一行は,東京理科大学野田キャンパス内にある光触媒国際研究センターを視察しました。ここでは,カーボンリサイクルを実現する最先端技術として,酸化チタンを使った光触媒による人工光合成やダイヤモンド電極による二酸化炭素還元技術に関して紹介されました。参加外交団一行は,センター職員による説明や実験を興味深く受け止めていました。

2 日立造船株式会社訪問

(写真5)日立造船株式会社訪問の様子1
(写真6)日立造船株式会社訪問の様子2
 2日,参加外交団一行は,千葉県柏市にある日立造船株式会社を訪問しました。ここでは,二酸化炭素と水素からメタンを生成するメタネーション技術について説明があり,メタネーションの実証装置や水素製造装置を視察しました。一行からは,メタネーションに関して様々な質問が寄せられ,活発な議論が行われました。

3 とまとランドいわき訪問

(写真7)とまとランドいわき訪問の様子1
(写真8)とまとランドいわき訪問の様子2
 3日,参加外交団一行は,福島県いわき市にある,とまとランドいわきを訪問しました。ここでは,トマト温室の暖房にクリーンなLPガスを使用し,その排ガス中のCO2をトマト生育促進に利用したり,農地で農業を行いながら太陽光発電も実施するソーラーシェアリングを実施したりするなど,様々な環境に配慮した農業の先進的な取組を視察しました。

4 福島県水産海洋研究センター

(写真9)福島県水産海洋研究センター視察の様子1
(写真10)福島県水産海洋研究センター視察の様子2
 3日,参加外交団一行は,福島県水産海洋研究センターを視察し,東日本大震災による福島第1原発事故以来実施している,福島県沖産魚介類の放射能モニタリング調査に関する説明を受け,放射能計測作業など視察しました。一行からは,福島県沖産魚介類の安全性に関する高い関心が寄せられました。

5 常磐共同火力株式会社勿来発電所,勿来IGCCパワー合同会社勿来発電所視察

(写真11)常磐共同火力株式会社勿来発電所の視察の様子1
(写真12)常磐共同火力株式会社勿来発電所の視察の様子2

 3日,参加外交団一行は,福島県いわき市にある常磐共同火力株式会社勿来発電所を視察しました。ここでは,我が国が誇る世界最先端のクリーンコール技術である石炭ガス化複合発電技術(IGCC)について説明があり,実際に火力発電所を俯瞰しながら各施設の視察の説明を受けました。また,現在建設中で,今年の9月に稼働を予定している,勿来IGCCパワー合同会社勿来発電所も視察しました。参加外交団一行からは,IGCCに対する高い関心が寄せられるとともに,IGCCの今後の展開に関する質問が寄せられました。

(注)CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage):工場や発電所などから発生する二酸化炭素を大気放散する前に回収し,地中貯留に適した地層まで運び,長期間にわたり安定的に貯留する技術はCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ばれています。また,回収した二酸化炭素を利用(Utilization)し,さらにこれを資源と見なし,メタネーションや人工光合成などによって新たな商品やエネルギーに変える(カーボンリサイクル)技術も開発されています。

[参考] 参加外交団(5か国5名)
 イタリア,韓国,ノルウェー,フィリピン,ポーランド


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