食料安全保障
国連食糧農業機関(FAO)第40回総会
1 概要
平成29(2017)年7月3日から8日,第40回総会がローマのFAO本部において開催され,我が国からは,礒崎陽輔農林水産副大臣及び梅本和義駐イタリア大使兼FAO常駐代表(当時)を政府首席代表とする代表団が出席した。総会は,FAOの最高意思決定機関として2年に1度開催される。今次総会にはFAOの194加盟国,1加盟組織(EU)及び2準加盟国からの計1,150名(閣僚105名を含む)の政府代表団に加え,国連世界食糧計画(WFP),国際農業開発基金(IFAD)など関係国際機関が参加した。
2 主要結果概要
(1)世界の食料と農業の現状に関する各国政府代表演説
本年のテーマは「気候変動,農業及び食料安全保障」。我が国からは,礒崎農林水産副大臣が我が国の実施する気候変動への緩和・適応策及びこの分野における国際協力,また気候変動の影響に対し脆弱な人々への支援を通じた世界の食料安全保障への貢献について演説した。
(2)改訂戦略枠組み・中期計画・事業予算計画策定
FAOの長期的な活動方針を定める戦略枠組みについて,5つの戦略目標(注)を継続しつつ,これらの戦略目標達成に向けたアウトカムをより持続可能な開発目標(SDGs)と整合させる形で改訂。また,この改訂戦略枠組みに基づき,今後4年間の2018~21年中期計画と,同計画に基づく2年間の2018~19年事業予算計画を策定。
(注)(1)飢餓・食料不安・栄養不良の撲滅への貢献,(2)より生産的で持続可能な農林水産業の実現,(3)農村貧困の削減,(4)より包摂的で効率的な農業及びフードシステムの実現,(5)脅威・危機に対する生活の強靱性の向上。
(3)次期事業予算総額(2018~19年の2年間)
次期事業予算総額は,これに先立つ本年4月の第156回理事会で承認された予算案について本総会で投票の結果,2016~17年比名目ゼロ成長となる1,005.635百万米ドル(2018~19年為替レート(1ユーロ=1.22米ドル))にて全会一致で決定。我が国は米国に次いで第2位の分担金拠出国(分担率9.681%)。
(4)理事国選挙
全49議席のうち,2017年7月8日(今次総会終了時)及び2018年6月末で3年の任期が終了する32議席(我が国を含む)について改選が行われた。議席は7つの地域毎に割り当てられており,今次選挙では全ての地域においてコンセンサスが成立したことから,理事国は無投票により改選された。我が国は1965年以降継続して理事国を務めており,2018年6月末までの現任期満了以降も引き続き,2021年6月の第42回総会まで理事国となる。
(5)七里FAOアフガニスタン事務所長のB.R.セン賞受賞
七里富雄FAOアフガニスタン事務所長が,アフガニスタンでのFAOの活動拡大における貢献を評価され,現場での技術協力において優れた成果を挙げたFAO職員に授与される「B.R.セン賞」を受賞。これを祝し,我が国から平成29年7月5日付けで外務報道官談話を発出