エネルギー安全保障
辻外務大臣政務官の国際再生可能エネルギー機関(IRENA)第9回総会出席
1月12日から13日まで,辻清人外務大臣政務官はアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを訪問し,国際再生可能エネルギー機関(IRENA:International Renewable Energy Agency)第9回総会に出席するとともに,アミンIRENA事務局長及び各国要人との会談,UAE政府要人との会談及び視察等を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1 IRENA第9回総会への辻外務大臣政務官の出席
IRENA第9回総会は1月11日から13日に開催され,160か国の政府,民間企業,市民社会から1200名以上の参加登録がありました。議長は中国(リー・ファンロン・中国国家能源局副局長)が務めました。
今次IRENA総会には,我が国代表として原田環境大臣及び辻外務大臣政務官が出席しました。辻外務大臣政務官は,13日午前に行われたハイレベルセグメント「進歩の評価」において,再生可能エネルギーに関する外務大臣スピーチ(仮訳(PDF)/英文(PDF))を代読しました。
同スピーチにおいては,気候変動問題に対する国際社会の取組の機運が一層高まり,また再生可能エネルギーの発電コストが近年劇的に低下したことにより,世界全体として再生可能エネルギーの更なる導入拡大が求められている中,日本としても再生可能エネルギーの「主力電源化」という方針の実現に向け取り組んでいる旨述べました。また,再生可能エネルギー普及拡大に向けた自身の経験を活かし,他のIRENA加盟国も直面する課題に対する先進的な解決策を有する国として,日本は世界の中で役割を果たしていきたい旨を表明し,日本の先進的な技術とイノベーションと,それらを後押しするための政策の例を紹介しました。その上で,「環境と成長の好循環」の実現と世界のエネルギーアクセス改善に向け,今年日本で開催されるG20や第7回アフリカ開発会議(TICAD7)等の機会も活用し,再生可能エネルギーに対する世界の取組の促進に貢献していきたい旨述べました。最後に,アミン事務局長のIRENAに対するこれまでの多大な貢献に敬意と感謝の意を表明しました。
なお,今次総会の終わりにIRENA新事務局長の選出が行われ,フランチェスコ・ラ・カメラ氏(現・イタリア環境・国土海洋保全省持続可能な開発・エネルギー・気候局長)が選出されました(任期は本年4月から4年間)。
2 辻外務大臣政務官とアミンIRENA事務局長及びIRENA出席各国要人との会談
(1)アドナン・ザヒール・アミンIRENA事務局長との会談
アミンIRENA事務局長(Mr. Adnan Zahir Amin,Director General of IRENA)との会談において,辻外務大臣政務官は,IRENAの発展に対するこれまでのアミン事務局長の貢献に感謝の意を述べました。また,日・IRENA関係の更なる強化のため,IRENAにおける邦人職員の増強を含めた様々な分野で今後も協力していきたい旨述べました。
これに対し,アミン事務局長から,これまでの日本からのIRENAに対する支援に謝意を述べるとともに,再生可能エネルギーの普及拡大に向けた河野外務大臣の指導力に感謝の意を述べました。また,昨年4月に外務省の招へいで訪日し福島県を訪問した際に,再生可能エネルギー分野での日本の研究・開発の水準の高さに感銘を受けた旨述べ,日本が高度な技術とイノベーションの力を一層強化・活用して,世界のエネルギーと気候変動をめぐる課題に貢献していくことへの期待を表明しました。
(2)ショーン・タッパー・カナダ天然資源省副次官との会談
タッパー・カナダ天然資源省副次官 (Mr. Shawn Tupper, Associate Deputy Minister of Natural Resources)との会談において,両者は,昨年のG7議長国であるカナダと本年のG20議長国である我が国の間で,エネルギー分野においても緊密に連携していくことの重要性を確認しました。また,カナダの液化天然ガス(LNG)プロジェクト等,資源・エネルギー分野における日加二国間関係においても,一層協力を強化していくことを確認しました。なお,カナダは今次IRENA総会の機会にIRENAへ加盟することとなったところ,辻政務官からカナダのIRENA加盟に対する祝意を述べました。
(3)ドミニク・リストリEUエネルギー総局長との会談
リストリEUエネルギー総局長(Mr. Dominique Ristori, Director-General, DG Energy,European Commission)との会談において,辻外務大臣政務官は,EPA及びSPAが来る2月1日に発効(SPAは一部規定の暫定適用開始)予定であり,これを契機としてエネルギー分野を含む幅広い分野で日・EU関係を一層強化したい旨述べました。
これに対し,リストリ総局長から,LNG等の分野における日・EUエネルギー協力の進展は喜ばしい旨述べるとともに,LNGや電力などの市場の規制枠組や,水素を含む技術などといった点についても今後更に協力していきたい旨述べました。
3 UAE政府要人との会談及び視察等
(1)マイサ・アル=シャムシーUAE国務大臣との会談
シャムシーUAE国務大臣(H.E.Dr.Maitha Al-Shamsi, Minister of State)との会談において,辻外務大臣政務官は,女性の活躍推進は日本政府の最重要政策の一つであり,シャムシー大臣が推進しているUAEの女性交流が関係強化の支えとなっている旨述べるとともに,教育・経済分野における日・UAE関係を更に強化したい旨述べました。
これに対し,シャムシー国務大臣から,両国がエネルギーを超えた幅広い分野での協力に取り組んでいることは喜ばしく,日本と更なる意見交換を続けていきたい旨述べました。
(2)視察・意見交換
辻外務大臣政務官は,アブダビ日本人学校を訪問し,学校関係者との意見交換や授業の視察等を行ったほか,日本企業関係者との意見交換を行いました。また,日本企業が出資するアルガルビアパイプ鋼管工場等の視察も併せて実施しました。