自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)

平成26年11月28日

 辻朋之ホクショー株式会社海外営業部部長の講演「EPA:わが社の活用事例」の概要は以下のとおり。

 弊社の会社概要を簡単にご説明した後,弊社におけるEPA利用,EPAの効果,EPA利用のための社内体制について紹介し,最後に,EPA利用拡大に必要な要望について述べる。

 ホクショー株式会社は,エレベーターでは出来ない連続的な垂直搬送技術,各種組立・梱包・積み付け等の自動化技術,様々な形状の商品を超高精度で仕分けられるスライドシュー式仕分け搬送技術,クリーンルームに対応したクリーン搬送技術,冷凍・冷蔵環境下での搬送技術など,時代の要請に呼応して次々と新製品開発を行ってきた物流搬送機器メーカーで,地元石川県の本社を含み国内に6カ所,海外にも2カ所の拠点を持つ他,台湾・タイ・シンガポール・インドネシアのアジア4都市における販売・据付会社と提携している。

 弊社のEPA利用は,2010年に製品の輸出契約を結んだときに,輸入者から「特定原産地証明書」の取得を依頼されたことがきっかけである。当時はEPAの使い方を把握しておらず,日本商工会議所から情報を得て利用を始めた。その後,新規商談の際にEPA活用による輸入関税の免税適用を積極的に顧客へアピールすることで競合他社への差別化を図り,受注に結び付けていった。例えば,弊社の商品販売価格は800万円~10000万円であるが,主な取引先のASEAN諸国ではその関税率が5%であり,EPA活用による免税額は40万円~500万円に上る。

 EPA利用における弊社の社内体制としては,特定原産地証明書の取得を含む貿易業務全般を海外営業部(7名)で行っている。貿易業務全般を自社でコントロールすることによって,顧客の信頼を高まり,商品の付加価値がさらに増している。

 今後のますますEPAを利用していくにあたっては,原産地証明書の発給から入手までの時間短縮が必要と考える。現在,輸入者に原産地証明書の原本が届くまで,国内の郵送や国際宅配便を用いるために,発給後8日以上かかる。弊社の韓国現地法人が,現地で原産地証明書を取得した際には,申請から受取まですべてネット環境で行うことができ,スムーズに行えた。日本でも同様の仕組みの実現を希望する。また,EPA適用国やEPA適用品目が増えることで,中国などの取引の多い地域や,少量・少額であるが頻繁に輸出する予備品・修理部品といった品目にEPAが適用できるようになることも期待したい。


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