G20(金融・世界経済に関する首脳会合)

G20杭州サミット個別セッション

平成28年9月5日

英語版 (English)

1 セッション1:「政策協調の強化と成長への新たな道筋の開拓」

(1)金融市場における潜在的変動,一次産品価格の変動,停滞する貿易,地政学的課題やテロ・難民,英国のEU離脱による不確実性といった様々なリスクに直面する世界経済に対し,G20が如何に政策協調を強化するかについて,首脳間で意見交換が行われた。

(2)G20として,強固で,持続可能で,均衡ある,かつ,包摂的な経済成長を達成すべく,金融・財政政策,構造改革の全ての政策手段を個別にまた総合的に用いることへの決意が確認された。

(3)為替レートの過度の変動や無秩序な動きは,経済・金融の安定に悪影響を与え得ることを再確認。以前のコミットメント(通貨の競争的な切り下げ回避,競争力のために為替レートを目標とはしないことを含む。)を再確認。

(4)構造改革とともに,イノベーション・新産業革命・デジタル経済等も取り上げられ,これらに関する「革新的成長のためのブループリント」が発出された。

【安倍総理の発言要旨】

  • 世界経済の見通しに対する下方リスクに対し,G7として危機意識を共有し,経済を引っ張っていかなければならないと考え,議長として「伊勢志摩経済イニシアティブ」をとりまとめたこと,その中で全ての政策手段を個別にまたは総合的に用いることに力強くコミットしたことを紹介。
  • その上で,新興国を含むG20全体で危機感を共有し,それぞれの国の具体的行動につなげていくべきであり,先進国・新興国が一致結束して,世界経済を成長軌道に戻していくべきことを訴えた。その観点から,日本は率先して取組を進めていることについて,総合的で大胆な経済対策等の具体例を挙げつつ紹介し,今後も果断に行動していく旨発信。

2 セッション2:「より効果的・効率的な世界経済・金融ガバナンス」

(1)金融ガバナンスに関し,成長が強靱なものとなるためには,効果的で効率的な世界経済金融アーキテクチャーに支えられる必要があり,G20として引き続き取り組んでいくことを確認。特に,国際課税に関し,BEPS(税源浸食・利益移転)プロジェクト,税の情報交換,途上国の能力構築,租税政策にかかる協力の推進を含め,引き続き税に関する国際的な協力を指示していくことで一致。

(2)腐敗に関し,各国からは腐敗と不正な資金の流れが,公的資源の公正な配分を損ない,持続可能な経済成長や法の支配などに及ぼす有害な影響について,認識が共有され,腐敗に対する国際協力を高めるG20の取組を強化することで一致。

(3)エネルギーに関し,G20として,(I)開放的で透明性の高いエネルギー市場の構築にコミットし,(II)エネルギーへの継続的な投資の必要性を強調するとともに,(III)よりクリーンなエネルギーの未来と持続可能なエネルギー安全保障に向けて協同していくことの重要性を再確認した。さらに,普遍的なエネルギー・アクセスを向上すべく,サブサハラ地域及びアジア太平洋地域と協力してくことで一致。

【安倍総理の発言要旨】

  • リスクへの対応と持続可能な成長を下支えする,税の公平性,腐敗対策,エネルギーの安全保障について,日本は国際的な取組を主導していく考えである旨発信。
  • その際,具体的な取組として,(I)日本の議長下で進められているBEPSプロジェクトの進展,(II)腐敗に関する法執行の協力やそれに必要な能力支援,(III)油価が低迷する中での投資の継続・促進や国際的なLNG市場の確立,原子力の安全性等について言及しながら,これら分野において,G20が取るべき具体的行動について発言。

3 セッション3:「強固な国際貿易・投資」

(1)G20として,世界的な貿易・投資の鈍化した伸びを懸念し,(I)多角的貿易体制の推進,(II)保護主義への反対,(III)地域貿易協定や自由貿易体制の推進など,貿易・投資の円滑化と自由化に向けて取り組むことを確認。

(2)その一環として,環境物品協定(EGA)交渉の年内完了を目指すことで一致。

(3)過剰生産能力を含む構造問題は,グローバルな経済回復の弱さと市場需要の不振により悪化し,貿易と労働者に悪影響を及ぼしており,鉄鋼やその他の産業における過剰生産能力が世界的な問題であるとの認識で一致。主要生産国が参加するグローバル・フォーラムの設立を通じた,情報提供と協力を促進していくこととなった。

【安倍総理の発言要旨】

  • G20が,保護主義抑止のコミットメントを再確認し,自由で公正な経済圏を世界に広げていくための具体的行動を取ることの重要性を発信。
  • 鉄鋼等の過剰生産能力については,補助金や輸出信用等の支援措置により市場が歪曲されていることが根本的な問題であると指摘し,主要生産国が参加するグローバル・フォーラムにおける対話を通じ,透明性を確保しつつ,市場メカニズムに則した構造改革を促したい旨発言。
  • 日本は,政治的困難を乗り越えTPPに合意したことを紹介し,発効への動きを停滞させてはならないと訴えるとともに,日EU・EPAやRCEPなど,今後も各国と志の高い経済連携を進めていく考えを発信。
     特に,環境物品協定(EGA)交渉は着地点に達したところであり,本年中に妥結すべく,交渉を加速化したい旨発言。
  • 更に,国際交易を支える海洋における航行及び上空飛行の自由の確保と,法の支配の徹底を再確認したい旨発言。

4 セッション4:「包摂的で連結した開発」

(1)持続可能な開発のための2030アジェンダの実現に向け,G20としての総合的な取組と,各国の自主的な行動をとりまとめた「G20行動計画」を歓迎。

(2)インフラに関し,量と質の両面に焦点を当てたインフラ投資促進のためのコミットメントを再確認。(「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」に掲げられた)(ア)ライフサイクル・コストから見た経済性,(イ)安全,(ウ)自然災害に対する強じん性,(エ)雇用創出,(オ)能力構築及び技術とノウハウの移転の確保など,質の高いインフラ投資の重要性を強調。

【安倍総理の発言要旨】

  • 2030アジェンダの達成に向け,G20として国内実施と国際協力に向けた力強いメッセージを発出すべきであり,G20行動計画を歓迎。また,5月には,SDGs推進本部を立ち上げ取組を強化していることを紹介。
  • インフラに関し,G7伊勢志摩サミットにおいて,質の高いインフラ投資の「原則」に合意したことを紹介し,日本は,世界全体に対し,今後5年間で総額約2000億ドル規模の質の高いインフラ投資を実施し,持続的な成長を後押ししていく旨発信。
  • 保健に関しても,(ア)感染症などの公衆衛生危機への対応強化,(イ)危機の予防・備えにも資するユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進,(ウ)薬剤耐性菌への対応強化が重要である点を強調。
  • アフリカに関し,SDGs達成の鍵であることを強調した上で,8月末に,初めてアフリカでTICADVIを開催した旨を,具体的な成果とともに紹介。

5 セッション5:「世界経済に影響するその他の課題」

(1)英国の国民投票に関し,経済上及び金融上の結果に積極的に対処することを確認。

(2)パリ協定について,各国の手続が許す限り早期に参加するため,国内手続を完了すべきことで一致し,2016年末までに同協定が発効できるようにするための取組を歓迎。

(3)難民危機による影響や,保護の必要,更には根本原因に対処するため,協調した取組を改めて呼びかけ,難民のための人道支援及び開発支援の強化を求めることで一致。

(4)テロに関し,G20の間では,世界経済の持続可能な成長を危険にさらすものとの認識を共有し,テロとの戦いにおける団結と決意を再確認するとともに,G20として,テロ資金供与のすべての資金源,技術及びチャネルと戦っていくことで一致。

(5)薬剤耐性(AMR)は,公衆衛生,成長及び世界経済の安定に対する深刻な脅威との問題意識を共有。新しく必要とされる抗微生物剤の研究開発を開始する方途を追求していく必要性について一致。

【安倍総理の発言要旨】

  • 同セッションの発言冒頭,北朝鮮が,本日午前,弾道ミサイルを3発同時に発射し,3発とも日本のEEZ内に着弾した旨説明。北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射は,関連する国連安保理決議に違反し,これに真っ向から挑戦するものであり,地域全体の安全保障に対する重大な脅威であること,我々が,まさにG20サミットで一同に会している時に,このような許しがたい挑発行為が行われたことに対し,国際社会は国連安保理を含め断固たる対応を取るべきである旨述べた。
  • テロに関し,数多くの無辜の市民が命を奪っているテロ行為は決して許されず,断固非難する,G20として,テロ資金対策の連携強化,途上国へのテロ対処能力の向上支援や,テロの根源にある暴力的過激主義への対策を早急に進めていく必要があり,日本としても全力で取り組む旨述べた。
  • 難民問題に関し,日本の最新の取組・支援を紹介しつつ,G20として,人道支援等の喫緊の取組とともに,中東不安定化の根本原因の解決を促すための中長期的な取組を行っていくべき,貧困や格差,若年層の雇用問題をはじめ,中東諸国の復興・開発を後押しすることが重要である旨強調。
  • 気候変動に関し,日本としても,本年中のパリ協定発効に向けて,早期締結に最大限努力することを強調し,その上で,同協定実施のための指針を,各国の建設的関与を得て,排出削減の実効性を更に高める形で策定したい旨発言。

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